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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人と家族。
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黙して語らない騎士、成長中!2


ルーシェさんにプロポーズしたものの「難しい」とお断りされて、意気消沈しているエリスさん。しかしこの問題、エリスさんの気持ちもわかるけどルーシェさんの気持ちもわかるからなぁ〜。執務室一同もそう思っているらしく、ライ君がお茶を飲みつつ、



「エリスさんも身を固めたいって訳ではなく、魅力的なルーシェさんと夫婦っていう関係を築きたいのはわかるんですけど、やっぱり相手にも考えがありますしねぇ」

「ライ君が大人な意見〜‥。でもそうだねぇ。しかも違う国同士だし」

「‥そこはニルギ殿にお菓子を献上してどうにかできないか考えてたんですけど」



考えてたんだ!?

ニルギさんは今、王都でルピスさんと何やらまた実験をしているらしいけど、お菓子を献上って‥言うこと聞いちゃいそう。っていうかむしろ楽しんでしまいそうだな、その状況。


お茶を飲みつつ、皆で難しいねぇなんて話していると、ウルリカがうとうとしだした。君はよく寝るねぇ。キラさんが慣れた手つきでトントンとリズムよく叩くとすぐに目を瞑って眠ってしまった。


フランさんがそんな光景を眩しいものを見るような目つきで見つめ、


「いいですねぇ。赤ちゃん‥。しばらく鬱々としていた空気だっただけに心が洗われます」

「フランさんが大分疲れているのはわかりました。この1時間でできるだけ団長さんに仕事をさせておきますね!」

「ナルさん‥、育休中なのに」

「かつて執務室3人衆の私達ですよ?協力できる時は助け合いましょう!」

「ふふ、やっぱりナルさんがいると楽しくていいですね。ね、ウルキラさん?」


柔らかく笑ったフランさんがキラさんにそういうと、ウルリカを抱っこしているキラさんが静かに頷き、



「ナルがいると団長も嬉しそうだ」

「え」

「ちょっと!そこ恥ずかしいからバラさないでくれる?!」



団長さんが恥ずかしがるフリをしつつ書類に判子を次々と押している。

よしよし手は止めてないな。


「団長さんは置いておいて、皆さんにそう言って貰えて嬉しいです」

「ちょっと酷くない?仕事頑張ってるのに〜」

「団長さん、書類の判子を押すのもいいですけど、ちゃんと曜日の確認して下さいね。それだけでまた戻ってくるから」

「うう、ナルさんが久々だけどナルさんだ‥」


泣くフリしながら書類を確認して「あ、これ違ってたわ〜」と言うから、思わず視線があったライ君と虚無な顔になってしまった‥。うう、やっぱりすぐにでも職場復帰したいけれど、ウルリカをすくすくと成長させるのも私の大事な仕事だしな。そんなことを考えていると、執務室にニルギさんが何やら腕に抱えて飛び込むように入ってきた。



「お!ナル、ウルリカここにいたか!」

「ニルギさん?王都にいたんじゃあ‥」

「今、ルピスの所で作り物をしててな!早速実験しようとこれを持ってきた!」



そう言って取り出したのはヘルメットのような物だ。

というか、完全にヘルメットだよね。

半球型の真っ白なヘルメットを皆に見せびらかすようにニルギさんが差し出し、



「これはな!頭に被るとして欲しいことや、気持ちを解析して言葉に表してくれるものなんだ!」

「なんでそれを‥?あ、もしかして尋問用!?」

「なるほど、その手もあったな」

「違ったんですか!?」

「来週ウルリカを連れてナルが騎士団に来るだろう?ウルリカに被せて、その時して欲しいことが分かればいつでも適切な対応ができると思ってな!」

「まさかの実子の為の実験!!?」



いいのか?

魔術師の無駄遣いじゃないのか??

しかし嬉々としてヘルメットの中は傷つかないようにふわふわの素材に拘った!と話をされたら何を言えよう。キラさんはそのヘルメットを見て、


「ニルギで実験はしたのか?」

「当たり前だ!俺は「お菓子を食べたい」で、ルピスは「ウルリカを見たい」だった!」

「いつもの感じですね」

「そうそう。だから早速ウルリカに被せ‥って寝てるのか」

「はい。なので起きたらまた後で」

「そうだな。来週楽しみだ!竜も来るしな」


ニルギさんの言葉にそれまで静かにお茶を飲んでいたエリスさんがポツリと、「竜‥」と呟くと項垂れた。あ、嗚呼、こんな傷心なのにルーシェさんに会えるのか??私がオロオロしているとニルギさんがエリスさんにヘルメットを突然被せた。



『ルーシェさん、大好き‥。結婚したい』



と、ヘルメットが突然喋った!!

皆が驚いた顔をすると、ニルギさんが満足そうに微笑み、


「うむ!これで来週はウルリカを完璧に育児できるぞ〜!!!」

「ニルギさん、追い打ちをかけないでやって‥」

「うう!!私がもう少し格好いいとか、甲斐性があれば結婚してくれたのか!?」

「エリスさんは十分素敵ですよ!ただ、タイミングとか悪かったのかも?」


エリスさんを慰めていると、キラさんが私をじっと見つめて、



「俺は?」

「うん?」

「格好いいだろうか?」



キラさーーーーん!!!!空気!!空気ぃいい!!!

私とキラさんのやり取りを笑うニルギさんに本当にこの親子は〜〜!と思ってしまう私であった‥。





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