黙して語らない騎士、変わらず騎士。18
私やウルクさんのお嫁さんのフィアナさんも、ポプリの匂いを嗅いだ瞬間、見えなくなってしまったらしい。それだけでないらしい。ライ君がざっと状況を確認したところ‥、
「お店の物を買った人が、もれなく見えなくなった」
と、言うからこれって犯罪では!??と、私は真っ青になる。
人を消しちゃう何か呪いなのかな‥。
キラさんは玄関の前でライ君の話を聞いて、ふっと黙り込む。
「‥ライの言っていた場所へ俺も向かう。その店の人間は?」
「行商の一人です。すでに騎士団に抑えておいてもらってあります」
「わかった。一旦騎士団に俺からも連絡して、ニルギにこっちへ来てもらう。それとウルリカを連れてくるから待っていてくれ」
「「え」」
ライ君には私の言葉は聞こえてないけど、完全に同じ「え」だった。
つ、連れて行くの?ウルリカを??と、思ったけど消えている私に何ができよう‥。見えない相手にウルリカだって小さくても戸惑っちゃうか‥。キラさんは私の方を見て、
「ナル、ここで待っていてくれ。俺が玄関へ戻ってきたら手を握って欲しい」
というので了解とばかりにキラさんんお手をギュッと握ってから、そっと手を離す。キラさんはそれはもう心配そうな瞳で、透明の私を見つめたかと思うと、また駆け足でリビングへ戻り、横抱きの抱っこ紐にウルリカを入れて戻ってきた。
‥よく寝る子で本当に良かった‥。
っていうか、まんまお散歩ルックだな。
とりあえず玄関へ戻ってきたキラさんの手をすぐに握ると、キラさんの無表情はあからさまにホッとした顔になった。ごめんね‥心配かけちゃって。
「ナル、なるべくゆっくり歩くが足元に気をつけてくれ」
返事がわりに手をギュッと握ると、キラさんはライ君を向いて、
「すぐ行こう。ニルギにも花の解析についてはもう頼んである。この騒ぎを聞きつければすぐこちらへ飛んでくるはずだ」
「わかりました!こっちです!」
キラさんに手を引かれ、私はまたライ君と公園の方へ足を進める‥けど、
「あれ?」
思わず足を止めると、キラさんが私の動きに気付いて足を止めた。
「ナル?どうかしたのか?」
「あ、今、そこの人‥」
って、言葉が聞こえないんだ!
しかも急いでたから、紙とペンを忘れちゃった!
えーっと、どうしよう!でも、そこの道端で女性が座り込んでいるのが気になるんだ。だってなんだか体全体が淡く緑色に光ってるし。これ、なんなんだろ?
足を止めた私をキラさんは私の様子に心配そうに見ている。
そうだよね、見えないし、聞こえないし。
でも、私はそこでうずくまっている人も気になる!だって一応騎士団で働いてる身だし?やっぱり今からでも家に戻って紙を取りに行こうかと思っていると、胸下でニルギさんにもらったカメラがキラリと光る。
そうだ!カメラ!!
急いで片手で持ち上げて、緑色に淡く光っているその人をバシャッと撮ると、写真が一枚地面に落ちて、キラさんがすかさず拾う。
「これは‥、もしかして消えた人、か」
「確かにその場所ですが、人は見えませんね」
「ナル、そこに人がいるんだな」
人がいるのは私はわかってたけど、消えてたの?!兎にも角にもキラさんの手をギュッと握ると、キラさんがそちらへずんずんと歩いていく。
「‥ここにいる人は、貴方か?」
写真を見て、見えないけれど座っているであろう人に示すと、その人が顔を上げて写真を見た瞬間、驚いた顔になった。
「は、はい!私です!どうして?誰も気付いてくれなかったのに‥」
「あ、良かった。声が聞こえた!」
私がホッとしてそう言うと、女性は私を見るなり泣きそうな顔になった。
「あ、貴方話せるし、私を見えるんですか!?」
「はい‥。と、いっても、私もキラさん‥あ、周囲の人には見えてないし、言葉も聞こえないみたいなんですけど」
「え、えええええ…」
「あ!でも大丈夫!絶対!絶対助けてくれますから!」
なにせ私の旦那さんですし、騎士さんですし!
ひとまずその人にも一緒に付いてきてもらうことにして、私とキラさん、ライ君はまた公園まで歩いていったけど、その間にも消えてしまった人を写真に何枚も収めることになったけど‥、ま、枚数大丈夫、かな?
明日も更新の予定ですが、台風で停電の可能性もありまして・・。
更新がなかった場合は、すみませんがちょっとお待ちくださいませー。
(皆様もお気をつけ下さい^^;)




