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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人と家族。
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黙して語らない騎士、変わらず騎士。9


出産前はどうなるのかと思ったけれど、キラさんの素晴らしいカバー具合に感謝しかない。私は今日も今日とて素晴らしい朝食を食べ終え‥、いやいや!?このままではダメだ!


だってあと5ヶ月したら、職場に復帰だ!当然キラさんも!

しかも復帰したらお互い忙しい身ではないか。


今や喉が渇いたなぁって思ったら、キラさんが見計らったようにお茶を出してくれるし、夜のミルクも担当してくれるけど、基本的には私が育児をする事が多くなるのだ。これだけご厚意に甘えまくって何言ってるんだって感じだけど、そろそろ体も動かしていかないと、確実に私がやばい!



「と、いう訳でキラさんたまにはゆっくり休んで下さい」

「え?」

「だってキラさん常にご飯は作ってくれるし、掃除はさっとやっちゃうし、ウルリカの面倒もほぼ見てくれてるじゃないですか。いつ休むんですか?今でしょう!!」



‥って、自分で言っておいてなんだけど、随分と懐かしい言い回ししちゃった?

しかしキラさんは静かに首を横に振り、


「‥家事は体が鈍らないようにトレーニングも兼ねているからな」

「まさかのトレーニング!?」

「復帰した時にすぐに動けないと困る」

「あ、そっか‥。そうですよね」


いやいや、ダメだ!納得するな私!


「じゃ、じゃあ、家事は私も一緒に‥」


と言った瞬間、私が抱っこしていたウルリカがふにゃっと泣いた。

君ぃ!今こそいい子でいる時じゃないのか!??ウルリカを見て「ちょっとお母さん話しているから、泣かないでね〜」と話すと、キラさんが可笑しそうに笑う。


「もう!キラさんに甘えっぱなしじゃ嫌だから家事したいのに‥」

「ナル。家事は確かに大事だが、一人で背負うものじゃない」

「くっ!!世の中の主婦が聞いたら喜ぶやつ!そして私も嬉しい!嬉しいけど‥。あ!じゃあ、私ちょっと牛乳買ってきます!」

「え?」

「そろそろ切れそうですよね?買い物くらいなら行けます!」


伊達にだだっ広い庭をウルリカと一緒に散歩していた訳ではないのだぞ?

お腹は切ったものの、回復魔法も掛けてもらって傷は治ってるし、筋肉も徐々に歩いて復活だ!そうと決まれば善は急げ!!ちょっと揺らしてあげると、すぐに泣き止んで私をじっと見つめるウルリカを見て、



「ウルリカ!お母さんちょっと牛乳買ってくるから、キラさんと待っててね」

「‥だが、ナル」

「大丈夫だってキラさん。牛乳買ってすぐ戻ってきますよ?」



そう言ってキラさんを見上げると、ものすごく寂しそうに私を見つめていて‥思わず驚いてキラさんをまじまじと見上げた。


「‥キラさん?」

「すまない。ナルはちゃんと戻ってくるとはわかっているが‥‥」


キラさんは口元に手を当てて、ちょっと瞼を閉じてからゆっくり水色の瞳が開く。



「‥心配過ぎて、動揺してる」

「え?!!そんなに?」

「‥皆がこの街を警備しているし、守護魔法だって掛けてあるとわかってるのに、ナルがもしいなくなったら、と」



不安そうにキラさんの瞳が揺れて、私とウルリカをそっと抱きしめる。


「怖くて、仕方ない」

「キラさん‥」

「だから一緒に行こう」


「‥‥キラさん、念の為言っておきますけど、私達5ヶ月後には職場復帰しますからね?あと、キラさんは魔物討伐とか王都へ行くとか、色々ありますよ?」

「‥今から考えたくない」


思わず遠い目をするキラさんに、私は不謹慎だと思いつつ吹き出してしまった。



「キラさん、心配性過ぎですよ!大丈夫、ちゃんと帰ってきます」

「‥だが」

「私が帰ってくる場所はここですよ?」



ウルリカにも「そうだよね〜?」と話すと、キラさんはそれはもう本当に苦渋に満ちた顔でウルリカに手を伸ばした。


「何かあればすぐ知らせてくれ」

「はいはい。お店まで50mしかないですけどね?」


クスクス笑いながらウルリカを手渡して、買い物籠を持つと、キラさんはウルリカを抱っこしつつ私を心配そうに見ているが‥、キラさんや私はそんなに危なっかしそうに見えるかね‥。



「じゃあ行ってきまーす!」



玄関先で心配そうに私を見つめるキラさんを見ていると、なんだか私まで心細くなってしまう‥。いかん、いかん、気を引き締めねば!手を振って、お店へ向かうけれど足は極力早足だ。


「すみませーん!牛乳大瓶ひとつ下さい!」


急いで牛乳の瓶を一つ買って、ちょっと離れて見える我が家へ戻ろうとすると、


「あれ?ナルさん?」

「へ?」


呼ばれた方を振り返ると、そこにはジェイ君と、ネリちゃんが警備隊の人と買い物をしていた。


「ナルさん一人なんですか!?」

「えっと、うん。ちょっと買い物を‥」

「ウルキラ団長補佐、絶対心配してますよ!すぐ戻りましょう!!」

「警備隊長!奥様を家まで送ってきます!」

「いやいや、二人ともそんな大事では‥」


「「ダメです!!!」」


うう‥。

たった50mしか離れてないのに‥。

結局私とジェイ君とネリちゃんと家に戻ることになった‥。なぜだ。




書いていて、いやぁまさかこんなにキラさんが素晴らしい夫になるとは‥

と、書いてた私が一番驚いてます。最高だよねスパダリ。

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