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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の番外編。
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黙して語らない騎士、父になる!?7


シーヤにこんな大雪が降ったのは、実に30年ぶりだとニルギさんが教えてくれた。



「まぁ、俺が王都にいた時に聞いたから、薄っすらしか記憶がないがな」

「そうだったんですか‥。それじゃあ今日みたいな日はパニックですね」

「なにせ雪が降らないからな」



そう言いつつ、ニルギさんが私が作ったアイシングを使って、クッキーに花や可愛らしい模様を描いていく。すごい!!上手!!流石可愛いお菓子というお菓子を食べているだけあって、数々のデコレーションを見てきたのだろう。デザインが素敵。私ではこんな可愛いの作れなかったな。


「ニルギさん、すっごい上手ですね!」

「まぁな。マフィンも作るなら、それにもデコレーションしてやるぞ」

「そういうの本当にお願いしちゃって良いですか?」

「構わないぞ」

「あと写真!写真撮って下さい!可愛い!どれも可愛い!!」

「おう、いいぞ!」


得意そうに笑って、次々とクッキーを可愛くデコレーションしてくれるので有難い。なにせ私のクッキーだとキラさんのとは違って、質実剛健!!ザ・平凡なクッキーだ。



ニルギさん手作りのクッキー‥ではないので、皆の胃袋も守られたし、出来栄えは最高にいいし、文句なしであろう。あらかた作り終えて、ニルギさんが写真を撮ってくれた。



「これはなかなか楽しいな!明日もまた作ろう!!」

「デコレーション!!ぜひデコレーションで!!」



お菓子を作ったら危険!!

慌ててそういうと、「もちろんだ!」って笑顔で言うので私はちょっと罪悪感とみんなの胃袋を守れた安堵の狭間に立った‥。ウルリカ、お母さん頑張ったと思うよね?



「よし、じゃあ早速騎士団に持っていってやるか」

「すみませんがお願いします。晴れてたら私が持っていきたかったんですけど」

「‥晴れててもウルキラは許さないだろ」

「ええ?!!晴れてても」

「ウルリカもナルも心配で仕方ないようだからな」

「‥キラさん、実際生まれたらどうなっちゃうんだろ」



ニルギさんが可笑しそうに笑って、「まぁその時に考えろ」と言うと箱に綺麗に並べたクッキーを大きなカバンに詰め込んでいく。数多のお菓子を買って帰っているだけに、梱包まで完璧である。本業は魔術師なんだけどな〜〜。


「じゃあ、また明日な」

「は、はい!今日はありがとうございました!」

「おう。くれぐれも外へは出るなよ〜」

「は〜〜い」


うむ、ニルギさんにまで心配をかけては悪いからね。

ちゃんと室内にいますよ。笑って手を振ると、ニルギさんは転移で早速騎士団へ飛んでいった。



シンと静かになった部屋の窓から外を見ると、まだまだ灰色の分厚い雲から雪がチラチラと落ちてくる。ああ、キラさん‥、火の魔術で溶かしまくっているって聞いたけど、大丈夫かな〜〜。溶けたのがまた凍ると危ないって知ってるかな?


そんなことを考えていると、あっという間にお昼が過ぎてた!


「まずい!お菓子作りですっかり時間が経ってた」


お昼をパパッと作って食べてから、ウルリカが生まれる前に病院にいつでも行けるように準備だけしておく。キラさんが何かと心配するから、ちょっとだけでもね‥。



荷物をカバンに入れて、ホッと息を吐く。

すると、お腹の中からググッとまた押された。


「ウルリカ、キラさん今日は帰ってこられるかね〜」


グニグニとお腹の中で動いて、まるで返事をしているみたいで面白い。どんな顔をしているのかな、どんな声なのかな、どんな子なのかな。そう考えると早く会いたくなる。



「‥早く会いたいね」



キラさんにも。

ウルリカにも。



お腹を撫でて、明日は何を作ろうかなとキラさんのレシピノートを見ると、どれも私が好きだといったレシピが載っている。それを見ただけで嬉しくなって、口元がゆるゆるになってしまう。外は寒いのに心は温かくて、ちょっと暑いくらいだ。


「キラさんの好きな物ももっと探しておかないとなぁ」


そう呟いてレシピノートを見たけど、無表情で



「ナルが好きだ」



って言う夫の姿しか目に浮かばないのはどういったことか。いや、いつもの事‥か。





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