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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の番外編。
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黙して語らない騎士、父になる!?4


家に帰って、ようやく落ち着いた私。

キラさんがお茶を淹れてくれたけど、ソファーに座って大きく息を吐くと、キラさんが小さく笑って頭を撫でてくれた。



「落ち着いたか?」

「うっ‥、す、すみません‥、泣いちゃって」



騎士団の前で「帰りたくない」なんて泣いてしまっただけに、ちょっと照れくさい。気まずくて目を横に逸らすとキラさんが私の額にキスして嬉しそうに微笑む。


「あんな風に駄々をこねる姿も可愛い」

「‥そんな風に言うのキラさんだけですよ」

「まぁ、いつもナルは可愛いが」


サラッと言ってのける我が夫。

なんで君はこう二人になると2倍甘くなるんだ。



「あ、そういえばプレゼントの箱を開けてみましょうか!どんなのを貰ったのか気になってたんですよね」

「それもいいが、まずは花を花瓶に活けるか」

「そうでした!あ、そうだ。ケーキも貰ったんだ。仕舞っておきます」



よっこいしょ‥と、ソファーから立ち上がると、お腹の中からウルリカがぐぐ〜〜っと手足を伸ばして、内側から伸びをするかのように押してくる。


「あ、あでで‥」

「ナル!?」

「ああ、すみません。ウルリカが内側から押してきて‥。最近、動きが活発なんですよね〜。なんかお腹の中から蹴破って出てきそうなんです!」


私がそう言うと、キラさんは目を見開いたかと思うとお腹に手を当てて、



「もう少しだから、お腹を押さないように」



めちゃくちゃ真剣にウルリカに訴えた‥。

それ、ウルリカ聞いてくれるのかな‥?ともあれ、お腹を押していた手足はキラさんの言葉を聞いて、引っ込められたようだ。


「おお、すごい。ウルリカはキラさんの言葉をちゃんと聞いて偉いね」

「ちゃんと大人しくなったのか?」

「どうやらそのようです」


私が言うと、キラさんは嬉しそうに小さく微笑んでお腹を撫でて「賢いな」と話しかける。うーん、キラさん赤ちゃん生まれたら、今みたいに言い聞かせるのかな?泣きわめいても冷静に「静かに」とか言いそうだな。そう思ったら、それはそれでまた面白いかもしれない。



二人で花を花瓶に活けたり、お菓子を片付けてから、早めに夕飯を食べようと話して一緒に夕飯作りをする。けれど、キラさんの素晴らしい料理の出来栄えに私はいよいよ出る幕がないかもしれない。さ、皿洗いとか片付けだけは頑張るもんね!!



「それにしてもキラさん、最近ますます料理上手になりましたね」



美味しいビーフシチューを食べつつしみじみ言うと、キラさんは照れ臭そうにはにかんで、


「ウルリカにも食べてもらいたくて‥」

「キラさんの愛がすごい。私を通して確実にウルリカはこの味を堪能していると思います」

「そうか」


キラさんは嬉しそうに頷くと、私のお皿にお代わりをのせようとしているけど待ってくれ、私自身はそんなに食べられない。美味しい味は確実に伝わっているから安心してくれ。



お腹いっぱいになってから、キラさんとお皿を片付けていて、貰ったプレゼントを開けていないのに気が付いた。


「あ、そうだ!プレゼント。キラさん一緒に見ましょう」

「そうだな‥。今なら」


今なら?

不思議に思いつつ箱を開けると、小さな地球儀のような物が出てきた。



「なんだろ、これ‥?」



丸い地球儀の上にはガラス玉がはめられていて、地球儀の周りには皆からのメッセージが書かれている。それを読めってことかな?そう思っていると、キラさんがその地球儀のような物をソファーの前のローテーブルに置くと、私をソファーに座らせる。


「流してくれ」


キラさんがそう言って、地球儀を手でギュッと掴むと、ガラス玉の上に映像が浮かび上がって私はあっと口を開けた。



地球儀がクルクルと回り始めると、次々と騎士さん達が出てきて、


『ナルさん、また戻ってきて下さいよ!』

『ウルキラ団長補佐、産休中は任せて下さい!』


手を振っては照れ臭そうに笑う映像が流れる。

合間に、騎士団の場所が映し出されたり、キャンプへ行った河原や、牧場、温泉、海辺、騎士団の養成校まで出てきて、目を丸くしてキラさんを見上げると、小さく笑う。



「ナルが寂しくないように、色々な場所をニルギが撮りに行ってくれた」

「写真だけじゃなくて、え、映像になってるけど‥、これって」

「ナルの話を聞いて、術式をルピスと作ったらしい」

「まさかのお兄さんとの共同制作!??」



驚いて映像を見上げると、フランさんやネリさんがソマ二を紹介してくれたり、ルーシェさんがアビーと一緒に照れ臭そうに手を振っていたり、ルーンさんやアリアさんまで出てきた時にはもう「えーー!??」と叫んだ。



皆、優しくて暖かい言葉をかけてくれて、映像はやがて消えたけれど‥、

せっかく泣き止んだのに私はまたも号泣だ。



「‥もう寂しくないか?」

「みんな今すぐ抱きしめにいきたいくらいです。寂しさは吹っ飛んじゃいました」



そう言うとキラさんはまるでイタズラが成功したように笑って、私を抱きしめてくれた。‥嗚呼、私この世界の皆が本当に大好き!そう思って、一番最初に抱きしめたいキラさんを私もギュッと抱きしめ返した。





寝坊して更新をすっかり忘れてしまってました‥。

わぁあんすみません‥。

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