黙して語らない騎士、ちょっと父気分。8
今回フランさんが見に行ったのは植物だった。
どうもあまり見た事のない植物だったらしく、エリスさんはあちこち聞いて調べてくれて、フランさんもかなり植物に詳しいと聞いて、お願いしたようだ。
‥フランさんの引き出しは無限だな。
「と、言う訳でフラン殿のおかげでそれがソマ二にしか自生していない植物だと分かったんだ」
「そっか、それでフランさんを‥」
と、夕方の街を歩きつつルーシェさんに教えてもらう。
せっかくこちらへ来たし‥と、ルーシェさんからフランさんの商会が始めたお店で夕飯を食べようと誘われたのだ。そんなの二つ返事でオッケーですよ!!キラさんは残念ながら仕事が残っているので、また後日になっちゃったけど。
港を目指して二人で歩きつつ、今日の出来事を聞いてフランさんを連れていった謎が解き明かされたけど‥。
「フランさんもですけど、エリスさんも植物に詳しいんですね‥」
「確かに。私も竜が気をつけなければいけない草しか知らないな」
「竜が気をつけた方がいい植物あるんですか?」
「竜によってはお腹を壊したり、死に至る植物もあるからな‥」
「そうなんですね‥」
あんなに大きくて強くても、やっぱり苦手な物ってあるんだな。
そう考えると、竜をちゃんと守る為に覚えているルーシェさんもすごいなって思う。
「‥皆さん、やっぱりすごいなぁ‥」
「そうか?ナルさんもすごいと思うぞ」
「え?そうですか?」
「どんな状況でも笑顔でいられるのは凄い」
お、おお?
そんな褒められると思わなかったので、照れちゃうぞ?
照れ臭いけど、ルーシェさんにお礼を言うと、いつもの厳しい顔からちょっと柔らかい笑みで私を見つめる。
「‥出産や育児は、私には想像できない世界だが、一人で抱え込まないようにな。いつでも何かあれば言ってくれ」
「ルーシェさん‥」
やばい、泣いていい?
そんな風に言ってくれて、すごく心強いんだけど。
こんな風に寄り添ってくれる言葉を掛けてくれる人がいる‥。それだけで、私はなんだか無敵になった気分だ。
もちろんキラさんもいてくれたら、もう鬼に金棒だけど。
私はうるっとしそうになった目を誤魔化そうとゴシゴシ擦っていると、ルーシェさんがふと船から積荷を下ろしているのを見る。
「ルーシェさん?」
「ああ、うちの国は港らしい港がないから珍しくてな‥」
そっか。
確か国全体が大きなカルデラの中にあるような場所で、あんまり漁は盛んじゃないって言ってたしな。
じっと船を見つめるルーシェさん。
流石にオフなので、今日はシャツとパンツという軽装だ。けど、それでも背もスラッと高いから夕日に照らされた姿がなんとも様になってしまう。うーん、エリスさんこんな格好見たらどうなっちゃうんだろ?
ルーシェさんはちょっと興味津々な様子で、船から積荷を下ろす人達に近寄る。
「すみません、その荷物はどちらから来たんですか?」
「ああ、これかい?ソマ二だよ。最近ソマ二の商会が店を始めたのもあって、色んな会社から荷物を頼まれるんだ」
そうなんだ〜。
フランさんの商会の影響力すごいな。
流石バレンタインという文化を根付かせた手腕を持つフランさん。
積荷を次々と倉庫に運ぶ様子を見つつ、どんな会社が依頼しているのかを聞いてる辺り騎士さんっぽいな〜なんて思っちゃう。色々聞いてから船員さんにお礼を言ってルーシェさんは私の方へやってくる。
「フラン殿の商会の影響力はすごいな」
「本当ですね‥。チョコもお陰で買えなくなったくらいだし」
「あの時はウルキラ殿がバリラまで買い付けに来たな」
「そ、その節はお世話になりましてぇえええ!!!」
「あれはあれで楽しかったぞ。まさかチョコの為に騎士団長補佐が来た!?と、頭の硬い上層部が目を白黒させていて、ものすごく笑った」
キラさんに続いて割と無表情のルーシェさんがものすごく笑ったという一言に、私は思わず目を丸くすると、ルーシェさんは私をチラッと見て、
「‥私もたまには笑うぞ?」
「いや、それは知ってますけど、大笑いした所、それならぜひ見てみたいなって」
そういうと、ルーシェさんは照れ臭そうな顔をして「‥今度な」って言うけど、今はダメですかね?ちょっと見たいんですけど!!!




