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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士に宝石を。22


王がソマニへ転移してやってくる。

予定変更があるのも想定内だ。とはいえラトルは王都へ連絡に回り、ノーツと一緒にソマニに潜伏した敵はもういないかと自警団、シーヤの騎士団との連携をして見回り、ニルギは、転移をする為に魔術師を王都から連れて来たりと大忙しだ。



ナルはちゃんと医者に診てもらっただろうか。

城に用意された会議室で相談をしながら、ナルは無茶をするから心配だ‥と、呟いたらラトルに「お前が言うな!!!」とつっこまれた。失礼な奴だ。



昼にはルーン王が来て、この城で和平条約を結ぶ。

再び王都へ戻るまで、そしてガダの皇族達を安全な場所まで送るまでは油断はできない。すぐにナルの元へ駆けつけられないくらいの忙しさに舌打ちしたくなる。


「おい、ウルキラ。あの例の紙はどうした?」

「ああ、ここに」


隊服の胸ポケットから、手の平くらいのサイズの薄さは2ミリくらいの硬質の板を差し出す。一見写真かと思うが、右の方へ少し擦ると、ナルと変幻した俺が馬車の中へ連れ去られ、「殺す」とか「連れ去る」などの会話が聞こえてくる。



「すごいな、これが「動画」ってやつか」

「ニルギがナルから聞いて、「写真」の魔術の式を作り直したらしい」

「本当、ニルギはすごいな‥」



ダーナ卿がネリを通じて、ナルもネリも狙われていると早くからコンタクトを取ってきた。それに合わせてニルギが有力な証拠となる方法として思いつき、これを渡された。本当は前回の事もあるからナルを巻き込みたくなかったが‥、大変不本意だったが、これがあれば言い逃れができない。


ラトルはニヤッと笑って俺を見る。



「ナルさんをちゃんと守れるよう、うまーく敵を誘導した僕って偉くない?」

「‥そういう知恵を回せるのは確かに」

「なんかトゲがない?」

「‥ナルを巻き込む形でなければもっと良かった」

「まぁ、色々考えたけど‥、あれだけ守護魔法がどっさり掛かっているから‥。剣の切っ先さえも通らないんだろ?」



それとこれとは別だ。

ジロッとラトルを睨むと、ラトルは肩を竦める。


「王が王都に戻ったら、すぐナルさんの所へ行っていいから〜」

「当たり前だ」


即答する俺を可笑しそうに笑うと、ラトルは王の元へ。俺はノーツと城の周辺を警護に当たる。



早く。早くナルに会いたい。

城の周辺を警備しながらはやる気持ちを抑える。



無事に和平条約が無事に結ばれ、ルーン王と魔術師達を見送ると、騎士達も皇族のリラ様もホッとした様子だった。無理もない、ずっと気を張っていたからな‥。


皇族のリラ様、ダーナ卿が部屋へ戻る頃には夕方で‥、俺は急いでナルの部屋へ行くと、部屋にはネリとジェイしかいない。



思わず体が固まる俺に、ネリが心配そうな顔をする。



「ナルさん、さっきまでお仕事を手伝ってくれてたんですけど、目眩を起こして‥。ニルギさんが医務室へ連れて行って‥まだ戻ってないんです」



その言葉を聞いて、俺は急いで医務室へ駆け出す。

そんなに悪かったのか!?

いや、悪化したのか?!



ドクドクと鳴る胸を抑えながら、医務室の扉の前に駆け寄る。

急いで扉を開けようとしたその瞬間、扉が開かれ、ナルが驚いた顔をして立っていた。



「き、キラさん?!どうしたんですか、そんな急いで‥。あ、もしかして体調が悪いんですか!?」



いつもと変わらないナルを見てホッとするものの‥、



「ネリとジェイに、ナルの体調が悪いと聞いて‥」

「え?!あ、ああ‥」



顔を伏せて、言いにくそうにするナルに嫌な予感がする。

もしかして酷い病気だったのか?

動揺している俺を見て、ナルは慌てたように両手を胸の前で組むと、顔を赤らめ‥、小さな声で呟く。





「えっと‥、妊娠、してまして」





ん?

妊娠??



事態がイマイチ掴めなくて、ナルの後ろに立ってニヤニヤと笑っているニルギが、大きな声で‥



「おめでただ!3ヶ月だと!!」



驚いたナルが「そ、そんな大きな声で言わなくても!!」とニルギに言う。

妊娠?おめでた?病気じゃなかった??



ナルは照れた顔で俺を見上げて、



「‥言われてやっと気付いたんですけど、どうも「つわり」だったようです」



へらっといつもの笑みで笑ったナルを瞬間抱きしめた。



「き、キラさん!??」

「‥ナル」

「は、はい」

「‥嬉しい」



病気じゃなかった。

安堵したと同時に、新しい命の存在を聞いて、嬉しさでどうにかなりそうだ。


「キラさん人前!!」と言う声はこの際無視した。ギュッと、嬉しくて、愛しいナルの体を抱きしめていると、やがておずおずと俺の背中に手がそろりと回る。



「‥嬉しい、ですか」

「嬉しすぎて、おかしくなりそうだ‥」

「そ、そうですか‥。良かった」



照れ臭そうに話すナルにそっとキスをすると、真っ赤な顔になって慌てていたが、嬉しくてしばらくナルを離せなかった。



ソマニの美しい夕焼けが落ちる頃、ナルに新しい命が宿った知らせはその日、どういうわけかソマニだけでなくシーヤ、王都、あとバリラまで駆け抜けた。なぜだ。




さらっとご懐妊!って話を書こうとしたのに、そうは問屋が卸さないキラさん達。

明日から2話更新で突き進みます〜〜。

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― 新着の感想 ―
[一言] わーい♪((o(^∇^)o)) キラさん、ナルちゃんおめでとー(≧▽≦) のんさんのネタバレ回収回?( *´艸) 団長さんのフラグたてからの、眠かったり、食欲不振だったり( *´艸)あれ、…
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