黙して語らない騎士に宝石を。11
夕食はめちゃくちゃ豪華で、お城で食べたのと同じくらい美味しかった!
魚介類が多めで本当に嬉しい。久々に完食できた。
お腹一杯食べて、ニルギさんはデザートのケーキをもう一つ欲しがっていたけど、お昼のものすごいパフェ食べたでしょ!と話すと、「そうだっけ?」と、態とらしくとぼけていた‥。
食後のお茶を飲んでいると、執事さんがやってきて‥
「フラン様、明日10時にダーナ様がこちらへご挨拶へ伺うとの事です」
「あららそうですか、わかりました」
執事さんはそれだけ伝えると、スッと後ろに控える。
けど‥、ちょっと待って?普通「行ってもいい?」って聞いて、了承されてから伺うものじゃない??いきなり来ちゃうの?私は思わずニルギさんに問いかけるように視線だけ動かすと、ニルギさんが面白そうに笑って頷いてくれた。
「そうだな、ナルが思ったように普通は了承を得てから来る」
「ですよね?いきなり来るんだなぁ〜って、ちょっと驚いて‥」
私がそういうと、フランさんが小さく微笑む。
「そうですね。ただ今回の相手はガダですから。それとなく色々覚悟も用意もしてありますよ」
おお、なんて頼りになる!
感心したようにフランさんを見ると、横に座っていたセトリさんがサッと手帳を胸のポケットから出すと、パラパラと開く。
「明日、朝6時には一旦騎士団との連絡を、7時半には朝食。8時半までに仕事の調整をしておきます。10時からのお話は最長2時間までと先方にはお話してあります」
「ありがとうセトリ。と、いうわけで2時間の枠で引き出せることがあれば引き出しておきます!」
穏やかに微笑んでそう話すフランさんだけど‥。
流石、シグルド商会!皇族相手でも全然焦ったり、緊張する様子が見られない!私なんていきなりやって来るなんて聞いてドキドキしちゃってるのに。
そんな私を横目にニルギさんは、ちょっと考え込む。
「‥皇族の割に、随分こちらの世情に詳しいな。町歩きしている姿もなんというか珍しそうな感じではなかった」
「そうですね。なんでもダーナ様は留学経験もあるそうです」
留学!
こっちにも留学制度はあるんだ!
まだまだこの異世界、知らない事があるな〜。そう思っていると、ドアがノックされる。執事さんが応対すると、マントを着けたキラさんが入ってきた。
「キラさん!」
「お、ウルキラお疲れさん」
「ウルキラさん、お疲れ様です。お茶でもいかがですか?」
「‥一杯だけ」
キラさんがそう言って、ニルギさんと私の隣に立っているジェイ君とネリちゃんを見る。
「立ち位置はいいな。だが視線をこちらだけに向けるな。常に気配は周囲に。扉が開いた瞬間も警戒しろ」
「「はい!!!」」
お、おお、訓練も兼ねて来た感じ?
キラさんに言葉を掛けられて、ジェイ君とネリちゃんが緊張した顔つきになる。護衛騎士さんって本当大変だなぁ‥。今は砕けてもいいんじゃない?って思うけど、練習しないとだしね‥。
執事さんがすぐに私の隣に席を用意してくれると、キラさんは私の隣に静かに座る。うーん、風格たるや騎士団長!!って、補佐だけど‥。
「ナル、今日はちゃんとご飯は食べたか?」
「あ、あれ〜〜??急にそんな感じに?」
「フラン、食事は?」
「はい、大丈夫ですよ。今日は夕飯もあっさりめにしたので完食です!」
「あの、キラさん‥仕事の話に来たのでは?」
「‥ナルの食事が心配で‥」
「心配性極まれり!!」
でも、確かに今日の夕飯は豪華だったけど、味付けはシンプルであっさりしてた。シーヤは「肉!!!」「魚!!!」って存在感が大きくて結構濃い味付けだからな〜。今日のは本当に食べやすかった。
「フランさんのお家のご飯が美味しかったんで食べ切れましたから‥」
ちょっと照れつつそう話すと、執事さんはちょっと誇らしげになるし、フランさんは「じゃあ今度はもっと腕によりをかけます!」って言うし、キラさんは「レシピを教えて欲しい」って言うので落ち着いて欲しい。ニルギさんが「俺も作る!」って言う言葉に対して、私とフランさん、キラさんで
「「「お気持ちだけで」」」
と、声を揃えて遠慮したけど、ジェイ君とネリちゃんが笑いを堪えるのに必死になっていた。ご、ごめんね!!お仕事中に?!




