黙して語らない騎士。
キラさんは、今回の遠征で目処がたったので、一足先に戻ってきたらしい・・。
ちょっと、何度もキスしちゃって・・いい加減、酸欠になるかと思って、ストップかけまして・・。それでようやくキラさんが帰ってきた理由がわかったんですけどね・・うん。
「ナル」
キラさんが、嬉しそうな水色の瞳で私を見る。
まだ離したくないらしく、ベッドの上で私はまだ体をぎゅうぎゅうに抱きしめられている。・・うん、照れる。
ふと視界に入ったデスクを見て、ハッとする。
「あ、そうだ!リルケさんっていう人からお手紙渡されて、そこのデスクに置いてあるんで、確認して下さいね」
「ああ」
「えーと、あと私まだ仕事中だったので、ちょっと仕事へ」
「嫌だ」
「キラさーん・・・」
「嫌だ」
キラさん・・疲れてるのかな?なんかバグってない??
私はちょっと頭を撫でてみた。サラサラの髪は、指通りが良くて、ちょっと羨ましかった・・。シャンプー何使ってんだろう・・。キラさんを見てみると、顔が赤い。え、赤い???
「え、キラさん・・・顔、赤いけど大丈夫ですか?」
「・・・ナルが」
「はい、私が?」
「・・・可愛いから」
「・・・・・はあ・・・?」
よくわからん。頭を撫でると可愛いと思ってもらえるのか??じゃあ、もうちょっと撫でておくか・・。キラさんは、ちょっと照れくさいのか目を伏せるので、なんか可愛い・・。これ、キラさんの方が可愛いの間違いでは?
「キラさん、ちょっと疲れてると思うので休んで下さいね。それで、もし余力があったら、一緒に夕食食べましょ」
「迎えに行く」
「・・わかりました。寮で待ってます」
そういうと、ようやく腕を離してくれる。
キラさんが、起き上がった私の手首を少し引っ張るので、頬にキスした。口は恥ずかしい!!今はこれが精一杯です!
ベッドからおりると、キラさんが扉まで見送ってくれる。
うーん、甘い・・。まぁ、帰ってきたばかりだし・・うん、そう納得した。
手を振って、私は階段を下りていく。
うん・・、多分、今、めっちゃにやけてる・・。気を引き締めよう。
顔をペチペチ叩いて、外へ出るとフランさんが駆け寄ってくる。
「ナルさん!!キラさん帰って来ましたよ!!会いに行って来て下さい!!」
フランさん・・・なんって優しいんだ・・・。
私はフランさんの優しさをずっと守る・・そう心に誓った。
「お気遣いありがとうございます。先ほど会えたので、大丈夫です。お仕事まだ残っているので、終えたら会いに行きますから・・」
「いいの??久しぶりなのに??」
「・・フランさん、その優しさずっと持ってて下さい。お給料頂いているんですから、その分しっかり働きます」
「偉いね〜〜・・。団長さんに聞かせたい〜」
あははっと二人で思わず笑ってしまった。
ちなみに団長さんは、後発で戻ってくるそうだ。きっとブーブー言って戻ってくるであろう・・。
先発で帰って来た騎士団の人達の荷物の片付けを夢中になってやっていたら、あっという間に夕方になっていた。
訓練場に持っていく荷物を、木箱に入れて運んでいると、キラさんがちょうどやってきて手伝ってくれた。
「すみません・・帰ってきて、疲れているだろうに」
「十分休めた」
え・・まだ半日経ったか、経ってないかだけど・・。と、夕方の鐘が鳴る。
今日はこれでおしまいだ。
「夕飯、部屋で食べるか」
「あ、私・・寮に引越ししたんで、食堂でもいいですか?」
キラさんがピタッと止まる。
「なぜ?」
「防犯上の理由でいたんですから・・寮に寝泊まりするのが普通ですよ?ニルギさんもそう言ってたじゃないですか」
「・・嫌だ」
「キラさーん」
・・ちょっと早まったかなぁ・・と、思いつつ、渋るキラさんはちょっと可愛かった・・。




