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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士、欲しいものはたった一つ。


いつもよりずっと甘いキラさんに目一杯甘えられ、甘やかされ‥キラさんに惚れられる薬だったのでは???と、思ったけど、どうも違う薬だったらしい。



「チョコの成分に似ている薬???」



翌日、キラさんと一緒に執務室へ行くと団長さんがちょっと疲れた顔で教えてくれた。チョコに似てるの???透明の液体だったけど??


「そうみたい、そこに昔から伝わる恋のおまじない‥といっても、しっかり魔術なんだけどね。それを掛けると一時的に好きになる仕組みをどうやら黒魔術の本を読んで知ったらしいよ」


「く、黒魔術‥」


「それがガダからの本だって‥。前にガダがソマニに攻撃して、ボコボコにしたでしょ?その時証拠物件として回収した本が手違いで古本屋へ紛れ込んでいたのを見つけて作ってみたらしい‥」


ガダの悪事とは‥本当に色々影響あるなぁ。

私は遠い目になると、ニルギさんはニヤニヤ笑いつつ私を見る。



「まぁ、そんな訳でナルは大丈夫だったろ?」

「はい‥まぁ??」



キラさんにめちゃくちゃ甘えられましたけど‥。

ちょっと横目でキラさんを見ると、いつもの無表情だけど嬉しそうに机の上で書類を整理している。


「でもなんでそんな薬というかお菓子を?」


私も書類を整理しようと椅子に座りつつ団長さんに聞くと、団長さんがちょっと眉を下げて笑う。



「‥チョコ、欲しかったんだって」

「っっへ???」

「自分も欲しかったんだけど、貰えなくて悔しくて配ったらしい‥魔術を掛けたチョコ。それでカップルの邪魔をしたんだって‥」



団長さんが「国家の転覆を図ったのかと思ったら、そんな理由だったー」って、遠い目をして疲れた顔で話すので私はそっと最近手に入れた美味しいチーズを団長さんの机の上に置いた。



「‥お疲れ様でした」

「うん。まぁでもある意味安心したよ。あと王都へも連絡して、魔術の本もちょっと管理体制を厳しくするって事になったから、良かったかも‥」



確かに。

まじないと何かを掛け合わせると、危険な物が出来ちゃうって分かったし。

管理はしっかりしておいたほうがいいもんね。



と、フランさんが執務室へ入ってくる。


「あ、ウルキラさん〜。チョコ確保できました〜」

「チョコ?????」


私がキラさんを見ると、キラさんが小さく頷く。



「‥ホワイトデーというものがあると聞いて、確保しておこうかと」

「も、もう?!まだ1ヶ月先の話ですけど‥」

「またバリラまで転移は大変だ」

「まぁ、それはそうですね‥」

「あとできれば誰にもナルに渡せないようにしたい」

「ないない!!それはないですから!!むしろお返しをしないといけなくて‥」

「誰に?」

「え?えーと、まず‥」



言いかけて、ハッと口を閉じた。

あっぶない!!今、サラッと言いそうになったよ!血の雨だけは降らせない!



「‥黙秘します」

「そうか」



お?結構簡単に諦めてくれた?

私はホッと息を吐くと、キラさんはニルギさんを見て、



「‥ニルギ、リストアップの名簿はどこだ?」

「お菓子、どれくらいくれるかだな〜〜」


「「こ、こらぁあああ!!!!そこの親子ぉおおおお!!!!」」



私と団長さんの叫び声が重なると、キラさんは団長さんをキリッと見る。



「‥なるほど、団長か」



キラさんが団長さんの机の方へ行こうとするので、私は慌ててキラさんの前に立ちはだかる。


「だ、団長さん逃げて!!あ、いや、守って!!??」


「な、ナルさん!!むしろウルキラを止めて!!多分僕、死ぬし!!」

「そ、そうか!!ま、待ってキラさん!!えーと、チョコ!!チョコ作って一番にキラさんに渡すから!!」


と、キラさんの足がピタッと止まる。



「‥他には?」

「ほ、他?え、えーーと、キラさん欲しいものってあります?」

「ナルだ」

「ぶ、ブレない!!!」



そういうとキラさんはニコッと笑って、私の手を握ると手の甲に王子様のようにキスをする。


ボンっと音がしたんじゃないかと思うくらい私の顔が真っ赤になって、

横で見ていたニルギさんが面白そうにニヤニヤしている。



「‥今日でも、今でもいい」

「1ヶ月後でぇえええええええ!!!!!」



執務室で私はそう叫んだ。

1ヶ月後のホワイトデーが恐ろしくて仕方ない!一体どんなチョコを渡されるのだ!!そしてどんなチョコを渡せばいいんだ〜〜〜〜〜!気が遠くなりつつ、私はチョコはこりごりだとしみじみ思った‥。




できればホワイトデーで終わらせたかったけど、うまくできず‥!!!

でも書いててめちゃくちゃ楽しかったです。

キラさんの愛がドンドン深まるんですけど、他の小説書いてると、キラさんがずっと私の後ろになって「ナルとの日常を書いてくれ」と立っている気がして‥。愛が、愛が怖い!

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