黙して語らない騎士、欲しいもの。9
キラさんと別れて執務室へ戻ってまずニルギさんと一緒に目にした物は‥
大量のチョコ!!花束!!そしてなんかプレゼントの箱??!!
色とりどりの可愛らしくラッピングされた箱が執務室の中に山のように積まれている!!
「「ど、どうしたんですか、これ??!!」」
私がプレゼントの中から顔を出して、向こう側にいる団長さんに声をかけると、団長さんはちょっと顔色が土気色である。あ、チョコレート色っていうの??
「これね〜〜、半分は僕とウルキラ、ニルギに、フランにライ君だけど‥、後は全部ナルさんへ!だって‥」
「わ、私???!!」
驚いてプレゼントの山を見上げると、ニルギさんがニヤニヤ笑って「ほらな〜〜」ってドヤ顔である。な、何で??誰から??プレゼントの差出人を見ると、シーヤや、王都の騎士さん達からだ。
え??何で??
私が不思議そうな顔をしていると、ニルギさんはいつも座っているソファーに座って自分に‥と送られて来た箱を開けて早速お菓子を食べ始める。
「そらそうだろ、シーヤ騎士団でイベントやって恋人が出来たり、伴侶を持った騎士もいるし、王都でもナルはイベントを開催して、何ならルーンの嫁まで見つけた訳だし」
団長さんが「ルーン様っ!様をつけろ!!」と慌てて言うけれど、ニルギさんは全く気にせずムシャムシャお菓子を食べつつ私を見て、ニヤッと笑う。
「‥多分、これからもっと届くぞ?」
「ええ??そ、そんなはずないですよ〜〜」
はははっと口を引きつらて笑いながら、プレゼントの箱の山に圧倒されていると、フランさんとライ君が腕いっぱいにプレゼントの箱やら花束を抱えて部屋へ入ってくる。
「あ、ナルさ〜ん、おはようございます〜!これお届け物です〜」
「えええええ!!!!!」
「あとナルさん、隣の部屋にもウルキラさんの分と一緒に置いてあるので確認しておいて下さい」
「ま、まだあるの???!」
私は口をポカーンと開けてしまう。
一体誰から??
ハッとしてニルギさんを見ると、ニヤニヤしながら‥、
「まぁ、ナルからはいつもお菓子を貰っているからなぁ、誰から‥というのは黙っておいてやる」
「ありがとうございます!!!」
「ウルキラが恐らくすぐにでも帰ってくるから早くどうにかしないとな‥」
おっそろしい‥。
キラさんの事だから、こんなに届いたのを見たらどうなってしまうんだ‥。遠くを見つめると、団長さんも遠くを見つめて‥、
「今度王都への騎士団の交流訓練、ウルキラに行ってもらおうと思ってたのに‥、確実に血の雨が降る‥。あ、ナルさん、オルク団長さんとエリス副団長さんと、ルーシュさんからもきてたよ」
「えっ!!??ルーシュさんまで?」
「俺がチョコを買い求めに行った時にルーシュ殿には話したからなぁ」
る、ルーシュさん!ありがとうございます‥。
早急にお礼の手紙と何かを贈ろう‥。
団長さんがプレゼントの山を見つつ、
「あとねー、騎士団にチョコをナルさんが用意しておいてくれて助かったよ‥。貰えなかった騎士が意気消沈しててね〜、食堂でチョコ貰えて生き返ったの。多分、今日食堂行ったら女神って呼ばれるよ」
「どんな女神ですか‥」
本当に大丈夫かな、この騎士団‥。
でもやっぱりチョコは用意しておいて良かった。学校に通ってた時、貰えなかった男子が落ち込んでいるのを見て、ちょっと切なそうだなって思ったんだよねぇ‥。広めておいて知らんぷりも出来ないし。
そんな事を思っていると、事務員さんがドアを開けて、
「あ、ナルさーん、王都からまたプレゼント届きましたー」
「なななな何でぇえええ???!!」
「あとソマニの方からと、騎士団の養成校からも‥」
「ど、どうしたらいいんだ!!!」
これ絶対キラさん怒るんじゃないか?!
思わず頭を抱えると、フランさんが私の肩にそっと手を置く。
「ナルさん、ホワイトデーというものがあるというのを聞いたのですが、詳しくお聞きしても?」
「ふ、フランさん、完全に商売人の顔に!!」
「はい〜!経済効果抜群でしたからね!他に何かあればこの際洗いざらいお聞きしたくて!!」
イキイキとした顔のフランさん‥。
今度は色々な物が買い占められないようにしておこう‥。事前準備はとても大切だ。結局その日は仕事そっちのけで、頂いたプレゼントをリストアップして食べられる物はニルギさんの魔術で保管して貰った。
ちなみにリストアップ書類は団長さんに管理しておいてもらう事にした。
「‥ウルキラにナルさんに渡した人の名前が知られたら、確実にやばい事になるから厳重に保管する!!」
と、いう納得の理由で‥。




