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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士、欲しいもの。3


バレンタインデーが差し迫っていたのに、まさかの魔物討伐隊に選ばれたキラさん。


ものすごく不満げな顔で討伐へ行ったけど、

それは一緒に討伐隊に選ばれた騎士さん達も同じですね‥。クリスさんなんかは今回に結構賭けていたらしく、泣きそうな顔だった。手紙!手紙もあるから!!



私はというと、ルーナさんとリルケさんに協力して貰って、騎士団の食堂を借りてチョコを使ったお菓子作りに奔走した。今回貰えないかもしれない騎士さん達の為と、討伐隊で出かけた騎士さん達の為である。チョコはニルギさんの完全なる好意で譲って貰った。



「‥ニルギさん、どんだけチョコ買ったんですか」

「大丈夫だ!ラトルにも半分経費で落として貰った!あとルーシュがナルによろしくと言っていたぞ」



ルーシュさん!!!うちのニルギさんがお世話になりました‥。

あとでお礼の手紙も書いておこう。

そう思いつつ、リルケさん、ルーナさんで作ったお菓子を袋詰めしていくと、騎士さん達がそわそわしながら食堂を覗いていく。明日!明日配るから!!



「で、ナルさんは明日ウルキラさんの所へ行くの?」

「はい、キラさんと騎士さん達の慰労も込めて」


「大変ね〜〜、でもラトルがすっごく感謝してたわ〜」

「お役に立てて何よりです‥」



リルケさんとルーナさんとのんびり話しているけど、本番は明日‥。

キラさん、それまでに魔物を殲滅させておくって気合いたっぷりだったけど、相当強い魔物なんでしょう?大丈夫かなぁ。まぁ、ニルギさんも明日は一緒だし、何かあれば手伝うだろう。



二人に別に用意したお礼のお菓子と、小物をプレゼントすると驚かれて‥、大変喜んで頂けた。リルケさんはプレゼントをニコニコして見て、



「そうよね!プレゼントする日っていう風に捉えてもいいわね!」

「私の世界では友チョコの文化もありまして‥」

「へえ?他にもあったの?!」

「あとはお返しするホワイトデーなんかもあって‥」



3人でバレンタインデー前日を楽しんで、あっという間に翌日である。

食堂には皆さんに!と、チョコ菓子を置いておき、ちゃんと一人一つ!とメモしておいた。


討伐に行っている騎士さん達のお菓子はカバンにしっかり詰め込んだし、万が一泊りになったら‥と思って、一応着替えも持ったし、準備万端である!



騎士団の執務室へ行くとニルギさんが既にワクワクした顔でスタンバイしている。


「ナル!!チョコは持っているか?」

「あ、はい、ニルギさんのはこちらに。今回はチョコを譲って頂いてありがとうございます」


あれだけチョコを食べていたのに、チョコのお菓子の詰め合わせを貰って嬉しそうである。ライ君とフランさんにもあげると、照れ臭そうに受け取ってくれた。



「‥これは、確かに頂くと照れ臭いものですね」

「フランさん、ちゃんとセトリさんへも忘れずに!ですよ」



そういうと、嬉しそうに微笑んだ。

どうやら既に貰ったし、渡しもしたらしい。幸せそうで何よりです。

ライ君からはなんと、可愛い手鏡を貰った。


「えええ〜〜!!ライ君ありがとう!」

「お花もって思ったんですけど‥、どこにも売ってなかったんで」

「‥いやいや、十分嬉しいよ〜〜!」


二人でふふっと微笑みあって、ニルギさんの方を向くと団長さんが私を見て、



「あれ!?ねぇ、何か忘れてない!??」

「ああー、そうでした、そうでした。団長さんへはウイスキーボンボンです!こっちの世界にもあるんで助かりました!」



団長さんは目を丸くして、私のチョコを受け取る。

シーヤにはないけど、ルーシュさんのいるバリラにあったので、ニルギさんに買っておいて貰ったのだ。



「中にお酒が入ってるんで、お休みの時に召し上がって下さいね」

「ナルさーーーん!!!」

「手当ての方はくれぐれもよろしくお願いします!」

「‥わーい、ナルさんだー」



もちろんですとも!

チョコ菓子をたっぷり詰めて、まさか行くとは思わなかったけど‥。

ライ君、フランさん、団長さんに手を振って、ニルギさんといざ!キラさんのいる北の地方へ!早速転移で向かうのだった。



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