表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
423/566

黙して語らない騎士、欲しいもの。2


チョコ恐慌に、花束恐慌。

買いに行くけど、商品がない!本当にない!

一体チョコや花束はどこへ消えているんだろう‥。


なんか日が経つごとに騎士さん達や、食堂の調理さん、事務員さんまで買えなくて、顔が険しくなっていく。ブツブツと「あと3日しかないのに‥」「まだ3日ある‥」「チョコぉ」と呟いていて怖い。



騎士さん達なんて街中をパトロールしつつ、お店のチェックをさり気なくしているらしい。


「2丁目のあの店にチョコが入ったらしい!」

「この際、飴でもいい!」

「花が明日の8時に入荷されるらしいぞ!」

「この際、外に摘みに行くか‥」


切実か。

シーヤ騎士団、国防の要なのに‥いいのか?そんなんで??仕事帰りに買いに走っている姿はいっそ涙ぐましい‥。切実に皆お菓子と花束の確保に奔走している。



執務室では団長さんがそんな事態に、小さくため息をつく。


「‥フラン、張り切り過ぎだろ」

「そうかなぁ〜、こんなに広まると思わなかったんだけど‥」


不思議ですね〜って、微笑むけど‥、いやぁ十中八九フランさんの手腕ですね。私とライ君は同時に頷く。



団長さんはお茶を飲みつつ、私を見る。



「ナルさんはチョコ手に入ったの?」

「‥ニルギさんという強力なお菓子大好き!な助っ人がいますから‥。騎士さん達が最悪貰えなくて死にそうになるエンドだけは回避できそうです」


「どんなルートで手に入れたか聞いても?」

「‥バリラまでニルギさん、飛びましたね」


「バリラ‥まで!??」



団長さんが遠い目をした。

ええ、竜騎士さんのいらっしゃる国です。

違う国ならいけるんじゃないか!?と、ニルギさんとキラさんとでかなり広範囲の転移の魔術を新たに開発したんです。凄すぎです。



しかし団長さんの顔はまだ暗い。

何かあったの?

団長さんは、机の山積みの書類をペラっと一枚掴む。



「‥今日、魔物の討伐依頼のお知らせが来て、早速昼には行って貰います」

「えっ!!?」

「しかも一週間は帰れません」

「ええっ!!???」

「かなり強い魔物も多いので、ウルキラとクリスに行って貰うことが確定です」



シンと執務室が静まり返って、我ら執務室三人衆は団長さんを一斉に見る。



「骨は拾いますね?」

「嫌だぁああああああ!!!!なんで!?なんでこんな時にこういう事起こるの?!僕、いつもいい子なのに!!!」



いつもいい子かはちょっと分かりませんねー。

我ら執務室三人衆は団長さんに口々にお別れの言葉を言うと、「待って!!せめてここにいて!」「ウルキラに言うまではせめて待って!!」と引き止められたので、私は仕方なく団長さんの隣の机で作業する。



と、キラさんがあと少しでバレンタインデー!と言わんばかりの無表情だけど、嬉しそうな顔で執務室へ入ってくる。



一瞬固まる執務室三人衆と団長さん。

しかし、早急に魔物の討伐に向かわなくてはいけない‥。

事は一刻を争うのだ!!団長さんはゴクリと唾を飲み込み、キラさんを呼ぶ。緊張が走る三人衆!!



「‥ウルキラ、昼までに北の地方でまた魔物が出たんで討伐にクリスと行ってくれ。期間は約一週間だ」


「嫌だ」



間髪入れずにキラさんが切って捨てた。

早い!!判断が早い!!!


団長さんが、泣きそうな顔で、



「あ、アホかーーーー!!!!仮にも団長補佐が一拍迷うくらいの判断を見せろ!!!行って!!早急に!!!騎士団の矜持を思い出せぇええええええええ!!!!!」


「団長さんが壊れた」

「結構、緊張してましたしね〜〜」

「ほらほらキラさん、そんな風に言わずに準備しましょうね‥」



ライ君とフランさんが団長さんを慰め、私がキラさんを慰める。


キラさんは切なそうな瞳で私を見る。


「‥ナルから、チョコが欲しい」

「うん、そう言うと思ったんで間に合うように送ります」

「直接がいい」

「そ、それは難しいかな???」


そう言うと、ニルギさんがバリラで買ってきたチョコを袋いっぱいに入れて執務室へやってきて、「遠征先まで送ってやるぞ〜」なんて言うから、団長さんが私を見て、


「お願いナルさん!!遠征先まで行って!!ニルギに送って貰って!!!」

「団長さん、必死か!!」

「お願い!!バレンタインデーにだけ行ってくれるだけでいいから!!」

「お給与あげて下さい!」

「手当てつけます!!!」


それならいいか?

私は頷いて、キラさんを見上げると、キラさんはちょっと悩ましい顔をしている。



「キラさん?」

「一緒に行きたいけれど、危険だし‥。3日後なら討伐も終えられているか?と」



‥うちの騎士団も、キラさんも大丈夫なんだろうか。

3日後に行きます!そう約束して討伐隊に選ばれた騎士さん達は泣く泣く出発していった‥。頑張れ〜〜!!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ