黙して語らない騎士、呼んで欲しい。19
良い具合にほろ酔いの皆様。
ルーシュさんが「絶対来る」と、予言した通りヴァン団長さんがまずやって来た。うん、こちらすでにお酒が入ってニコニコが更にニコニコだな。
「ナルさん、今日は本当にお疲れ様でした!竜もいいものでしょう!」
「あ、はい!竜ってあんなに可愛いんだって驚きでした」
「そうでしょう!どの竜も可愛いんですよ!!」
竜の話を嬉しそうにするヴァン団長さん。
本当に竜が可愛いって顔をするので、微笑ましい。ルーシュさんはそんなヴァン団長さんをジトッと見て、
「ヴァン団長、飲み過ぎですよ」
「まだ腹3分目だぞ」
「‥明日もあるんですから、もうそろそろ終えて下さい」
腹3分目とは??
あっちのテーブルにあるワインの空ビン、さっき5本くらい空いてたよな?ウェイターさんがもう片付けてくれたけど‥。
「それに、そろそろお迎えが来てしまいます」
「お迎え?」
私がルーシュさんを見ると、上で翼の音がする。
不思議に思って上を見上げると、竜が二頭レストランの上空を飛んでいる!??
「あれ、竜??」
竜騎士さん達が、ニヤッと笑って…、
「あれルーシュ副団長と、ヴァン団長の竜なんです。いっつもあの二頭だけは、二人が1時間もいないと側にいるか確認しに来るんです」
「あ、愛がすごいですね!!」
私が思わずそう話すと、ヴァン団長さんとルーシュさんがニコッと微笑む。
「「可愛いだろ?」」
二人同時に言うので、思わず目を丸くしたけど‥
なるほど、これだけ竜に愛し、愛されているから竜騎士の団長と副団長になれるのかもしれない。上で「クエ!」って鳴き声が聞こえて、二人に返事をしているようだった。
レストランの上を旋回して、二人がいることを確認すると二頭は店のデッキに静かに降り立ち、くつろぎ始めた。はぁ〜〜!竜って賢いなぁ!
エリスさんもワイングラスを持ちつつ、こちらへやって来た。
「‥竜に愛されるとは、ああいう事なんですね」
二頭を見て、そう話すとヴァン団長さんはニヤッと笑って、
「そう!だから竜騎士と竜は一度相手を愛すると、それは大変だ!相手を大事にして離さない!」
お、おお、なかなか愛情深いんだな。
私はちょっと情熱的な言葉に、顔が赤くなってしまう。‥キラさんもそんな感じかもしれないな。
チラッとキラさんの方を見ると、他の竜騎士さん達を何やら話していたけど、私の視線に気付いたのかこちらを見て、小さく微笑む。
目がいくつあるんだろ。
そう思うけど、キラさんはいつだってあんな感じで何かあると私を見て、微笑んでくれるな。
ちょっと照れくさくなって、キラさんに渡されたジュースを飲んだ。
ヴァン団長さんに竜がいかに可愛いかを語られ、ルーシュさんが静かにさせようとするけど、エリスさんがそれに乗っかってくるので、結局私の座っていたテーブルは大分騒がしい。
ルーシュさんは宣言通り、私を防波堤のようにして静かにワインを飲んでいたけど、うーーん、防波堤は一人では心許ないかな〜〜???
と、アビーが私を見て「クエっ」って鳴く。
まるでこっちへ来いって言ってるみたいだなぁ。ルーシュさんを見て、
「‥どうせなら、可愛い竜の所へ行きません?」
「それはいい案だ」
ルーシュさんが小さく笑って、アビーの方へ歩いて行くので私もついていく。
アビーと、ヴァン団長さんの灰色の竜は嬉しそうに顔を上げて、クエって鳴く。それだけで可愛いなぁ〜。アビーがルーシュさんの手に頭を擦り付けると、灰色の竜は私の頭に顔を近付けて匂いを嗅ぐ。
「〜〜〜〜可愛い!!!」
「‥竜騎士は難しいが、育成士には向いているかもな」
「そんな職業あるんですか!?」
「まぁ。ただ、たまに育った竜に甘えられて、よく吹っ飛んでいるが、皆楽しそうだ」
‥そこまでの愛情はあるかな〜〜〜?
でも、灰色の竜もすぐ馴れてくれて嬉しい。頭を撫でていると、ルーシュさんに「才能がある」って言われた。バリラ、今度本気で遊びに行こうかな?




