黙して語らない騎士、呼んで欲しい。12
ルーシュさんの意外な顔を見つけて、ちょっとほっこりしたが、流石竜騎士副団長である。すぐにいつもの顔に戻って、生徒さん達に説明をした。
一方のオルク団長さんは、私達を見つけて笑顔で手を振ってくれた。
‥今のルーシュさんを見ても、オルク団長さん‥、もしやまったく気付いていない感じ??騎士としては向かう所敵なしだけど、恋愛には疎いのか?
私は思わずキラさんを見上げると、
キラさんは静かに頷く。
あ、やっぱりそうなの?
「‥オルク団長は、あんな感じだ」
「「キラさんにあんな感じと言われるオルク団長さん‥」」
キラさんの言葉にちょっと衝撃だ。
なんか真面目で優しくて、無敵!って感じだったけど、なんだか可愛いなぁと思って、顔が緩む。そんな話をしていると、私たちのほうへちょっと糸目のエリス副団長さんがやってきた。
「お久しぶりです!ウルキラさん、ナルさん」
「エリスさん!!お久しぶりです!!お二人一緒にいらしてたんですね!」
「はい、バリラの竜騎士の団長、副団長が来るとあって‥、オルク団長はすぐにこの後、王都へ戻りますがご挨拶を先にしておきたいと一緒に来たんです」
そっか〜〜!!
確かに国の団長と副団長だもんな〜〜。
そんな話を聞いていると、訓練場から声がして、そちらを見ると生徒さん達が竜騎士さん達の竜を触らせてもらって、嬉しそうにしていたり、緊張した顔で竜の頭を撫でている。
だけどアビーだけは近付いてくる生徒に、プイッと顔を背けたり、尻尾を振って近寄らせない。
気難しいって言われてたけど、本当だったんだ!!
私が驚いていると、アビーが私の姿を見つけて「クルル」と鳴いた。
すると、ジェイ君やネリちゃん達が私達の姿を見つけて、嬉しそうに手を振ってくれた。うう!!生徒達が可愛い!!嬉しくてニコニコしちゃう。
エリス副団長さんは、私とキラさんを見て、
「よろしければ一緒に見にいきませんか?」
「いいんですか?」
私が聞くと、エリスさんはニコッと笑って頷いてくれたので、生徒さん達に会える嬉しさもあってキラさんを見上げると、小さく微笑む。
「‥一応、竜には気を付けてくれ」
「はい!!乗らなければ、大丈夫かと」
私がそういって、思わず目を逸らすとキラさんが面白そうに笑った。
エリスさんが不思議そうな顔をするので、説明しつつ訓練場の方へ向かうと、可笑しそうに笑って、
「分かります。竜はただ乗るだけならいいのですが、上下されると‥」
「エリスさんも乗った事があるんですか?」
「以前、バリラへ視察へ行った際に乗せて頂きました。見るのはいいんですけどね‥」
糸目なはずなのに、ものすごく遠くを見つめているように感じるのは何故だろう‥。
「そうですね、見るのは確かにいいですね」
私がそう話すとキラさんは、飛ぶのも楽しいが?って顔をするけど、それは飛び回れるキラさんだけかな〜?
私達が近付くと、アビーが嬉しそうに鳴いて、
ドスドスと歩いて近寄ると、頭を私の腕や手に擦り付けて来るので、生徒の皆が驚いて見ている。ルーシュさんがちょっと可笑しそうに小さく笑って、
「竜にも相性がある。ただ、自分の実力を見せて竜が認めると、ちゃんと一緒に戦ってくれる友になる。私にとっては、アビーは戦いの道具ではなく、大事な仲間だ。君達も、剣や盾、馬を使うだろうが、どれも等しく大切にして欲しい」
おお、か、格好いい!!!
竜だけでなく、道具にまでそんな風に想って扱う。
そんな心意気が格好いいなって思って、キラさんを見上げる。
キラさんもそうだろうな。
馬のチルを大事にしているし、剣の手入れも欠かさない。
やっぱり騎士さんって格好いいな。
そう思っていると、アビーに顔をベロっと舐められた。な、舐められた!!??驚いてアビーを見ると、「こっちを見ろ」とばかりに、私の顔をまたベロっと舐める。
それを見たルーシュさん、
「舐めるのは、相当気に入ってるという現れだ。求愛に近い」
求愛!!??
目を丸くした私にキラさんが、アビーの前からサッと私を自分の後ろに隠した。あ、あの‥人前ですが‥?何故私が逆にこんなに照れ臭くなるのだ。
あけましておめでとうございます〜!!
変わらず更新していきますので、どうぞ今後も楽しんで頂ければ幸いです!!




