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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士、呼んで欲しい。7


アビーという青い竜は、気難しいけれど懐くと、とっても甘えん坊らしい。


ルーシュさんにドナドナの牛のように訓練場に連れて行かれた私は、そう説明を受けるけど‥、竜と戦っているシーヤの騎士さんの姿を見ていると、正直それどころではない…。



アビーという竜は、相当私を気に入ったらしく、

ドスドスと地響きを立てつつ私の後ろを歩きながら、時々私のポニーテールを面白そうに顔で突いている。‥もしや、この髪が気に入ったとかでは???


訓練場の中へ入って行くと、ヴァン団長さんやクリスさん、ノーツさんが話をしている。


キラさんはどこかな?

周囲を探すけど、見えない‥。

ルーシュさんが私を見て、


「どうしましたか?」

「ウルキラ副団長補佐は、どこかな?と‥」


「ああ、彼なら上にいます」


上?

ルーシュさんが上を指差して見上げると‥、



薄い灰色の竜に乗っている人が見えたけど‥、もしかしてあれって‥



「「キ‥、ウルキラ団長補佐!???」」



竜の手綱を握って空中を回転しながら、他の竜騎士さん達を戦っている!??あれ??キラさんって、竜騎士だっけ?!目を丸くして空を見ていると‥、ルーシュさんが上を見て、



「ウルキラ団長補佐は、竜に乗っての飛行をした事がないのに、あっという間に体得して乗りこなしています。すごいですね!」



あ、褒めたりもするのか‥。

新たな発見にちょっと驚いていると、訓練がひと段落ついたのか、私達の側へ竜と一緒にふわりと降りてきた。


す、すごいんだけど!??

私は呆然とその光景を見ていると、キラさんはひょいっと竜から降りてきたかと思うと、竜がキラさんに頭を撫でろとばかりに、キラさんの手に頭を押し付ける。



竜って甘える時は、皆ああするんだなぁ。

ちょっと可愛くて、思わず笑っているとキラさんは灰色の竜の頭を撫でつつ、こちらへやって来る。


「ナル、どうしてここへ?」


ルーシュさんが私を見て、



「午後に騎士の養成校へヴァン団長が乗せて行くと話をして来たのですが、竜に乗った事のない彼女をいかに訓練されている竜だとしても危険だと判断して、私が今から飛行訓練を実施する所です!」



はい、そのようです‥。

ちょっと遠い目で頷くと、青い竜のアビーは私の腕の下に顔を突っ込み、自分の体の方に寄せようとする。君、結構強引だな!?キラさんがそれをちょっと不満そうに見て、小さく笑ってしまう。



アビーにグイグイ押されて、アビーの背中に括り付けられている鞍の方をみると、二人乗りできるように二つ座席が付いている鞍が乗せられていた。



キラさんの竜には一人用の鞍が付いていたから‥、わざわざ乗せてくれたのかな?そう思っていると、ルーシュさんが私をヒョイッと持ち上げて鞍に乗せてくれた。



え、流石、力持ちだな!??

驚いて後ろを振り返ると、ルーシュさんはキリッとした顔をして私を見て、



「膝を閉じる!」

「は、はい!!」

「姿勢は真っ直ぐに!」

「はい!!」

「目線は、前を向き、行きたい方向は足を蹴って指示!」

「はい!!」



「では、上昇!!!」

「「えっ」」



一拍空いたかと思うと、アビーは一気に空へ舞い上がった。

叫ぶ間もなく、空へ舞い上がり、下を見ると‥



き、キラさんが、めちゃくちゃ小さい〜〜!!!!

っこ、怖い〜〜!!!!!



鞍にギュッと、両手でしがみつくと、ルーシュさんがまた‥


「「姿勢は真っ直ぐ!!」」

「はいぃいいいいいいい!!!」


めちゃくちゃ後ろに怖い人もいたぁあああああ!!!!

キラさん〜〜!!助けてくれぇえええ!!



そんな思いも虚しく、ルーシュさんに飛行訓練されたけど‥、乗馬の訓練しておいて良かった‥。割と似ていた乗り心地だった。必死に飛行訓練を終えて、ヘロヘロしながら降りて来ると、ニルギさんが私の様子を写真に収めていて、



「ナル!!飛行のシーンはバッチリ撮ったぞ!」



って、いい笑顔で言うものだから、思わず力が抜けた‥。キラさんが、すぐそばに来て支えてくれたけど‥、午後を乗り越えられる気がしなかった‥。す、すでにクタクタなんですけど〜〜!??



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