黙して語らない騎士、呼んで欲しい。4
ルーシュさんと、ヴェン団長さんに挟まれつつ、周辺を案内して私の精神は大変疲労骨折した。日本語が変?もう言葉にできない〜〜。
‥団長さんも、一応仕事しているんだけど、ヴァン団長が私の側へ来て色々聞くので答えていると、ルーシュさんから「言葉遣い!」「騎士団の一員としての自覚!」などなど‥。
ええ、ありがたいご忠告が飛んできて、あれ〜〜?これ、アリアさんの所へ一人行った時みたいだな?って思った。メイヤさん元気かな〜?ビシビシ鍛えられるのは、あれ以来だな〜。
今回は、騎士団へ戻ったら夕飯を食べて、早めに休むそうだ。
良かった‥休養を取る人間で。
ヘロヘロしながら、執務室へ戻ると団長さんが静かに微笑みながら、チョコをくれた。
「‥お疲れ様、今日は色々ありがとうございました」
「明日は、休みます」
「え、待って明日は、近くの街にも行くんですけど」
「「無理です。明日の私も終了致しました」
団長さんとの応酬にニルギさんが、ぶっと吹き出しつつソファーに座って、ニルギさん専用の棚からお菓子を出すとポリポリ食べつつ、
「明日はどっちにしろナルは無理だろ。竜に乗って移動もあるんだろ?」
竜だって!??
あれに乗るの!?私はそんな話を一度も聞いてないぞ?私がジロッと団長さんを見ると、団長さんがニルギさんを慌てて止める。
「「え、ちょっとニルギ!!」」
「・・・・・・団長さん?」
もしや、面白そうとか思ってない??
私がジトッと見ていると、キラさんが執務室へ戻ってきた。
「あ、キラさん!団長さんが‥」
「「愛称呼びぃいいい!!!」」
ぎゃあぁあああ!!!キラさんの後ろにルーシュさんがいた!!
ピッと直立不動になって、思わず「はい!!」って敬礼までしちゃったよ。
後ろですかさず注意するルーシュさんと、私をキラさんは交互に見て団長さんを、じっと見つめる。
「「ラトル団長、後で話があるので少々よろしいでしょうか?」」
‥静かになんというか禍々しいオーラを放ったキラさん‥。
団長さんがコクコクと無言で頷いた。
ニルギさんがすかさず、「夕飯を食べたい。ナル、ちょっと付き合ってくれ」と言ってヒョイっと私を引っ張るように執務室から連れ出してくれた。た、助かった〜〜〜〜。
「‥私、明日の仕事どうしたらいいんだろ」
「まぁ、なるようにしかならんだろ。竜でも見にいくか」
「え?竜を見に行ってもいいんですか?」
「竜の休憩場所を作ったのは、俺だぞ?」
確かに。
馬房の近くにあるし、チルにも会いたいし、ちょっと見てみたい!
ニルギさんと一緒に馬房まで歩いていく。
休んでいたチルを沢山撫でまわして癒されてから、竜の休んでいる小さな洞窟みたいな場所へ行く。
「‥あの中にいるんですか?」
「そうだ、この辺にいれば興味を示して顔を出してくれる」
そう言って、ニルギさんが洞窟のちょっと手前に立つと、青い竜がのっそりと顔を出す。おお〜〜〜、こうして見るとやっぱり迫力があるなぁ!!思わず目をキラキラさせて見上げる。
「静かに手を出して、匂いを嗅いでもらえ」
「あ、はい」
私が手を差し出すと、青い竜は黄色の目をキョロっと動かして、私の手の平に顔を近付ける。わ、わぁ〜〜、ドキドキする。青い竜の、ふんふんといいながらの鼻息をくすぐったく感じつつ、私はその様子をじっと見る。ちょっと馬のチルにも似ていて可愛い。
竜は匂いを嗅いで満足したのか、もう一歩出てきて私の頭や首元も匂いを嗅ぐ。こ、これ動かない方がいいの??ニルギさんをちらっと見ると、ニマニマ笑って、
「撫でてみたいなら、顎からだぞ〜」
と、いうのでそっと顎を触ってみると、クルル‥って喉を鳴らして気持ち良さそうに目を細める。う、うわぁああ!!可愛い!!竜も可愛い〜〜!!顎を撫でると、頭も撫でろとばかりに手の平に押し付けてくるので、たんまり撫でさせてもらった。
と、バリラの騎士さんがこちらへやって来て驚いた顔をしてる。
「よく、触れましたね‥。ルーシュ副団長の竜なんですけど、気難しいんですよ」
「「えっ」」
思わず、青い竜からそっと手を離した。
す、すみません!!つい撫でてしまいました!!!ルーシュさんはいないのに、思わず心の中で思い切り謝っておいた。
驚いた事にあっという間に500話‥。
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