黙して語らない騎士は過保護。7
遠征用の物資を運んで来てもらった木箱に詰め終わると、ちょうどお昼の鐘が鳴った。
「よし!お昼が終わったら、ナルさんまたここへ来て下さい〜。とりあえずお昼ご飯食べましょ!」
「はい、わかりました」
手をはたいて倉庫から出てくると、お日様が眩しく感じる。
薄暗い所だったから、ちょっと外へ出ると目がチカチカする・・。目を擦りつつ、食堂へお弁当を取りに行くと、すでに籠にお弁当が用意されている。仕事が早くないか?食堂のお姉さん・・・。
私はお礼を言って、籠を持って訓練場へ歩いてく。
そうすると、さっきの騎士さん達の会話が思い出される・・。
可愛い子・・、嬉しそうに・・・、珍しい・・。
もやもやが胸の中いっぱいになって、苦しくなる・・。
「ナル」
声にハッとする。
どうも考え込んでいて、キラさんが目の前に立っているのに気が付かなかったらしい・・。私ってやつは・・。
キラさんが、そっと頬を撫でつつ、私をじっと見る。
「具合が悪いのか?」
「あ、ごめんなさい・・今、ちょっと考え事してました・・」
「・・・そうか」
そう言うと、私が持っていた籠を持ち、手を繋いで木陰へと歩いて行く。
「あまり無理するな」
「無理はしてませんよ、あ、今日は遠征の物資を詰める仕事してたんです。色々持って行くんですね〜」
「・・・ああ」
横目でキラさんを見ると、ちょっと遠くを見ている。
「行きたくない」
「え?」
「ナルのそばにいたい」
ドキッとして、思わず足が止まる。
「・・・・・・・キラさん〜・・・、だからそう言うの・・・」
「仕方ないな」
キラさんがこちらをじっと水色の瞳で見つめる。
「好きだから」
この人・・、私をどうしたいの?心臓止めたいのかな・・??私は一気に真っ赤になって・・いたたまれなくなって、手を離して木陰に走って行こうとする。・・・すぐ捕まったけど。
くそ・・、この人反射神経良すぎない?
私はちょっとジト・・とキラさんを見上げて、
「ウルキラさん、手を離してください」
「・・・嫌だ」
「ずっとウルキラさんって呼びます」
「キラと」
「じゃあ、手を離してください・・」
キラさんは、ちょっと迷ったような目をして、
「離したくない、キラとも呼んでほしい」
至極真面目な顔で言うものだから、吹き出してしまった。キラさんもそんな風にわがまま言うんだ!私は面白くなって、笑ってしまった。
「キラさんも、そんな事言うんですね〜」
「ナルだけだ」
ちょっと照れくさそう・・に見える?
キラさんは、結局手を繋いで木陰まで私を連れて行く。
私はさっきまでのモヤモヤがどこかへ行ってしまって、ようやくスッキリした気分になった。
お弁当の中身はパニーニみたいなしっかりした生地だった。
分厚いハムがどっかり入っていて、存在感がすごい・・。
早速噛り付いて、食べていると・・、キラさんが肩を指でトントンと叩く。
「ん?何か口に付いてました?」
私は、指で口の周りをちょっと確認しつつ、擦ってみるが、キラさんは首を振る。そして、籠を指差すので見てみると、ガラスの瓶に入っていたピクルスを指差す。
「食べさせて」
お分かりだろうか・・、私の顔が一瞬で真っ赤になった。
「無理です!!!」
「・・・野菜、食べたくない」
「食べてください!野菜!!自分で!!!」
「・・・ナル」
「そんな情に訴えるのは卑怯ですよ??遠征に行っても、ちゃんと食べるんですからね!あ、なんで目を逸らすんですか?もう、本当に野菜は大事なんですよ?」
私が切々と野菜の大切さを訴えても、キラさんはずっと私を楽しそうに見ていて、話を聞いていない。本当に大切なのに・・。私はちょっとぶすくれて、
「野菜、食べないとずっとウルキラさんって呼びます」
と言ったら、やっと一本食べた。んーーーー、もうちょっと食べて!!!




