黙して語らない騎士は過保護。4
団長さんと書類を執務室に運んで、私は寮に戻りながら、さっき話していた「命の保証」と言う言葉を考えていた。
そうだよね・・。
キラさんは、すごく強い・・とは思うけど、怪我をする事は他の人より機会が多いわけだし・・、一緒にいられる事を大事にしないとな・・、でも・・・まだ照れくさくて・・そわそわしちゃうんだよな〜。
そんな事を考えていたら、訓練場が見えて、ちょっと覗いてしまう・・。
訓練場の真ん中でもわかる、キラキラ光る銀髪のキラさんが、木刀で打ち合いの練習をしている騎士さん達に、声をかけつつ、指導しているのが見えた。おお〜・・仕事してる。
格好いいなぁ・・なんて、ぼやっと見てしまい、ハッとする。
いかん・・・、今、完全に乙女思考だった・・。仕事だ仕事しよ!!私は寮に足早に向かった。
・・ちょっとだけ、早くお昼にならないかな・・なんて思いながら、私はまた掃除に励むのだった。
カーン、カーンと、お昼の鐘が鳴って、私は掃除道具を手早く片付けて、食堂にご飯を取りに行く。
食堂のお姉さんは、私が来ると籠に2つお弁当を入れて、ニコニコ笑いながら「若いって、いいわね!」なんて言いながら渡してくるものだから・・、なんというか・・照れてしまう。
くそ・・!団長さんめ許すまじ!!
そう思ったら、ちょっとスッキリした。・・次回もやろう。
訓練場へ向かって行く際、騎士さん達に「ものすごくウルキラさん機嫌が良かった」とか、「入り口で待ってますよ」とか「早く行ってやって下さい」とか言われて、恥ずかしすぎて、私は団長さんを心の中で毒づく事で必死になった・・・。
っていうか、キラさんも隠して!感情を!言葉は出ないのに!!
私は、顔が赤くないかな・・と、頬を触りつつ、訓練場の入り口へ入ると騎士さん達の言う通り、キラさんが入り口で待っていてくれた。
「ナル」
淡い水色の瞳が嬉しそうにこっちを見る。
うーーわーー、甘いーーー。キラさんの空気が物凄く甘い!
そして、絶対、私・・今、顔が赤い・・・。
キラさんに向かって、足を進めるたびにドキドキしてしまう。うぅ、あまりこっちを見ないで欲しい・・。
私が持っていた籠を、ひょいっと持つと、手を繋いでいつもの木陰に歩いて行く。・・・無言なのはキラさんらしくて、逆に安心する・・。
「さっき、見てた?」
「え、わかったんですか?結構遠かったはずですよね?」
「気配でわかって、見たらナルがいた」
「あ、気配って人間も分かるんですね」
狼の時も気配で分かるって言ってたけど、キラさんすごいな。
「ナルは特別」
「・・・・・・っ、キラさん、そういうのいきなり・・、本当にやめて・・・」
「・・・・?」
「心底わからない・・って顔してますけど、そういう事言われると、どうしたらいいか分からなくなっちゃうんです」
私は、目を逸らしつつなんとか話す。
キラさんは、キュッと手を握り、
「・・・そうか」
と、なんだか嬉しそうに答える。
わかった?本当にわかったのか?!
不用意に甘い言葉を言うと、私はダメだって、本当に分かってくれた?!・・思わず叫んだよ、心の中で。
木陰に座ると、キラさんが籠からお弁当を出してくれる。
包みを開けると、ホットサンドが入っていて、まだ温かい。ホカホカしているパンに早速かじりつくと、お肉から肉汁が出てくる。うんま〜!!!
「今日のも美味しいですね!」
あまりの美味しさに、さっきの恥ずかしい空気を忘れて、思わずキラさんに言うと、キラさんは優しい瞳でこちらを見ていた・・。一瞬、何が起こってるか分からなくて、理解した途端に顔が赤くなる。
「・・・・き、キラさん・・、見すぎです」
「ずっと見ていたい」
「ダメです!!」
「可愛い」
「そ、そう言うのもダメです!!」
頼む〜〜〜!!!!普通にご飯を食べさせてくれ〜〜!!!!私は叫んだ。・・・・もちろん心の中で。




