黙して語らない騎士は過保護。2
なんと異界人から、こちらの世界の住人になってた・・。
それ自体は、良かった・・非常に良かった。
しかし、その理由が恥ずかしすぎた・・。
キ、キスって、接触って・・!!!
キラさん・・、何も皆の前で言わなくてもよくない???
団長さんはめちゃくちゃニヤニヤしてるし、ニルギさんは微笑ましくこちらを見てるけど。・・・キラさんは、恥ずかしすぎて見られない・・・。今、絶対見ない!!!
大事な異界人の人権保障の確約書を封筒に仕舞いつつ、団長さんが聞いてくる。
「で、ナルさん・・、どーする?ここで働く?それとも職場を変える?何か希望があれば、斡旋できるけど」
あ、そうか・・。
保護する理由も含めてここにいたから、職場を変える方がいいのかな。でも、やっと慣れてきたんだよね・・。そう思うと、もうちょっとここで働きたいかも。
何より、キラさんが繋いだ手をぎゅうぎゅう握ってきて、若干痛いのだ・・。落ち着いてくれ・・・。
「・・そうですね、できればここでの仕事の仕方を覚えてきた所なんで、このまま働かせて頂けると助かります。あ、部屋は防犯上宿舎だったんですよね?って事は移動した方がいいですよね?寮の方に移ろうかと思うんですが・・」
言いかけて、キラさんはますます手を握ってくる。いでで・・
「・・・ウルキラ、彼女の言っている事は筋が通っている。手を離しなさい」
ニルギさんが静かにキラさんを見て話すと、キラさんは渋々・・といった様子で、そっと手を離すので、私がびっくりする。
「キラさん・・・、ニルギさんの言う事、聞くんですね・・」
「ウルキラは、私が育てたからね」
「えっ・・!!!?」
衝撃の事実に、私は思わず、ニルギさんとキラさんを交互に見る。
団長さんがニヤニヤしながら、
「ニルギ、もう少しで40だよ」
「まだ38だ」
「え!!!!全然見えません!!!25くらいかと、ずっと思ってました!!!」
私はまたも、ニルギさんをまじまじと見てしまった・・・。いや、本当に若いよ???
と、キラさんがまた手を繋いでくるので、キラさんを見ると
「見なくていい」
・・・・いや、見ますよ、あなたの育ての親とか言われたら、見ちゃいますよ?
あ、そうか・・だからキラさんの事を知ってたし、気にかけてたのか!今やっと納得した!
クスクスと笑いながらニルギさんがキラさんを見る。
「・・ウルキラ、あまりわがままを言うな。ナル、ブレスレットへはウルキラが遠征に行くまでは、念のため魔力を流しておいてもらえ」
「あ、はい、・・・って、遠征?」
キラさんと団長さんを見ると、
「ちょっと北の地方で魔物が暴れてるから、討伐にね。本当にこの国の王様は人使いが荒いったら・・ま、いつもの事だけど・・1週間くらい行く予定なんだ」
団長さんがため息をつきつつ、お茶を一口飲んた。
「ま、遠征に行くまでは宿舎に住んでなよ。魔力も流すなら、その方が楽だし、別にすぐ移動する必要もないし。遠征に行ってる間にでも引越しした方が、ウルキラに邪魔されなくていいと思うけど?」
・・団長さんが、またニコニコ笑って意味ありげにキラさんを見て言うものだから、キラさんはまた繋いだ手をギュッと握る。・・・本当に、この人は・・。
私は、ニルギさんを見て、
「すぐからかってくる人の口を閉じる魔法って、ないですかね?」
と、真剣な表情で聞いたら、ニルギさんが大爆笑してた。
団長さんは、ブーブー言ってたけど、私は本気だ。
キラさんは・・・、私を嬉しそうに笑って見てた。
ちょっとスッキリした!!




