黙して語らない騎士は過保護。1
朝食後、早速団長さんに呼ばれ、今回はキラさんと一緒に、最初に行った詰め所にある団長さんの部屋へ向かう。
1ヶ月前なんて、嘘みたいだな‥。
木の扉を見て、あっという間の日々を思い出す。
「ウルキラ入ります」
キラさんは、さも当然のように私の手を繋いで部屋へ入っていく。‥あの、恥ずかしいんですけど。
部屋へ入ると、ニルギさんと団長さんがソファーに座っていた。
「ニルギさん!」
「や〜、ナル大変だったな。体はどうだ?大丈夫か?」
「あ、はい、おかげさまで」
ニルギさんは、穏やかな笑みで挨拶してくれて、それだけで癒される‥。
団長さんが、ソファーを勧めつつ、
「え〜、ナルさん僕も頑張ったのに、さらっと無視してない?ひどーい」
と、美形が頬を膨らませて口をすぼめる。可愛いがムカつく。ジトっと団長さんを見つつ、私達はニルギさんの横のソファーに二人で座った。
団長さんは座った私達を見て、一枚の紙を出した。
「反対派を鎮圧した事で、異界人の人権保障を王族側に確約してもらった。元々、反対派は王族と対立していたから、泳がしていたようだ。今回ナルさんが誘拐された事で、捜索の手を入れられて、その他でやらかしていた事実を突き止めたんだ。反対派のトップだったから、芋づる式に潰せた」
「‥え、たった半日で??」
私は驚いて、書類を見て‥、また団長さんを見た。
「‥証拠は掴んでいたんだけど、なかなか尻尾を出さなくてね。トップが体調を崩して、寿命を得られると、手下の魔術師に吹き込まれたんだ。まぁ、その嘘‥こっちが流したんだけど」
「嘘!!??」
思わず叫んだ。
だって団長さん、あたかも真実のように私に言ってたのに‥。
「スパイがいた‥と、聞いたよな?」
ニルギさんが、私に聞いてくる。
「は、はい‥」
「フランが、手下の魔術師に操られていたんだ」
「えっ‥!!!?」
「本人も気が付かないうちにね‥。今は療養していて、元気だから大丈夫」
「よ、良かった‥」
ホッと胸をなで下ろす。団長さんはまた話を続けた。
「そのフランを通して、あえて嘘を流し誘い込みを図った所で、ナルさんが攫われた。言い訳にしかならないけれど、まさか騎士団に来て攫っていくなんて思ってもみなかったけれど‥。だから、本当に申し訳ない。一歩間違えていたら、そんな言葉では済まされなかった」
団長さんが苦しそうに言うと、キラさんが私の手を強く握った。
「団長さんは色んな事を考えて、助けてくれようとしたんですから。キラさんにもまた会えたし、気に病まないでください。あ、でも、からかうのだけは止めてください。ニルギさん、後で団長さんのした事、聞いてくださいね!」
私がニルギさんにそう言うと、ニルギさんは面白そうに頷いた。
キラさんは少し手の力が弱まり、団長さんは、ええ〜〜〜っと嫌そうな顔をした。許さん。
「異界人の人権保障‥頑張ってくれて、ありがとうございます。きっとこの世界では多くない人達のために、力を尽くしてくれた事‥嬉しいです」
団長さん、ニルギさん、そしてキラさんを見て微笑んで、ペコッとお辞儀をする。厳しい世界に来たけれど、優しい人達がいた。それは本当に良かった‥。フランさんも元気になって戻ってきたらお礼を言おう。
そうして思い出した。
私、現在も異界人で、人権保障するっていうけど、結婚したほうがいいのかな。
「あ、そういえば結婚の話ですけど‥、」
言った途端、キラさんと繋いだ手に力がこもる。痛いです‥キラさん‥。
ニルギさんが、ちょっと面白そうに笑って、私を見る。
「ナル、こっちの住人になってるけど、ウルキラと何かした?」
「‥‥へ‥‥?」
「何かしら接触して、こちらの住人になる事もあるんだ」
接触‥?思い当たる事がなくて、首を捻っていると、キラさんが
「キスした」
「き、キラさん!!!!」
私は顔が瞬間湯沸かし器もびっくりなくらいの速さで真っ赤になった。ニルギさんは、その一言で納得して、
「と、言う事みたいだから・・結婚は急がなくて大丈夫」
と、笑うものだから、喜んでいいのか、なんなのかわからなくなって、曖昧に笑うしかできなかった‥。とりあえず、恥ずかしいので今すぐこの場から逃げたい!!!




