黙して語らない騎士は過保護。
キラさんに告白され、その日の内に攫われ、体が消える力のおかげで逃げたものの、殺されそうになり、光の速さでキラさんが助けに来てくれた。ジェットコースターもびっくりな1日を過ごした。私は馬に揺られてる時点で、疲れてぶっ倒れて寝た。もう仕方ないよね。
次の朝、キラさんが横で寝ていて、思いっきりびっくりして叫んだら、ベッド横の椅子に座ってた団長さんが思いっきり笑うものだから、私はまた叫んだ・・。団長さん許さん・・。
結局帰ってきた翌日、体が思うように動かず、1日ベッドで寝てる事!と言われて、朝昼晩と甲斐甲斐しく様子をキラさんが見に来てくれたらしい。けれどあまりに疲れていた私はそれに気付くことなく懇々と寝ていた・・。キラさんと言い、団長さんといい体力どうなってんだろ・・。
そうして更に翌日の朝。
そう、朝である。
鳥の鳴き声が聞こえて、目が覚める。
まだ体が痛い・・。
打った所かな・・そう思って、腕を見ると、包帯が巻いてある・・。きっとキラさんが手当してくれたんだろうな・・。昨日は本当にずっと眠っていて、記憶があんまり無い・・。朝イチで叫んだ記憶はあるけど。
と、反対側に人が寝ている気配がする。
スースー・・と寝息が聞こえる。
そ・・・っと、首を横に動かすと、キラさんの綺麗な顔が目の前にあった。
え?
え・・・??
言葉にならず、キラさんの顔を見る。
サラサラの長めの前髪が朝陽を浴びて、キラキラ光っている。
いつもは綺麗な顔だな・・って思うけど、ちょっと幼く見える・・。
・・・うん、キラさんの事だ・・、心配で一緒に寝たのだろう・・・。
でも昨日に続いて今日も一緒ってどういうこと!?
あと今気付いたんだけど、手を繋いでる・・それも結構がっしりと。私はじわじわ顔が赤くなる。
だって、先日まで逃げ回っていて、やっとキラさんの告白で自分の気持ちを受け止めたのに、キラさんが横で寝てるって・・・、大変心臓が辛い。ドキドキが前より酷い。申し訳ないけど、一旦起きて離れてもらおう・・そう思って、キラさんの方を向くと、キラさんも体の向きを私の方へ向けて、そのまま抱きしめてくる。
え、ちょっと待って??
誰かーーーーーーーーー!!!!??
こんな展開を求めていたわけじゃない・・。
いや、頼む・・起きてくれ・・。
キラさんを見ると、気持ちよさそうに寝ている。うん・・、可愛い。
まぁ、もうちょっと寝ててもいいか・・・。
もう一度、目を瞑ろうとすると、キラさんが瞼をパチっと開ける。
あ、起きた・・。
目が合うと水色の瞳は、ゆっくり嬉しそうに笑う。
う・・・、好きだなこの瞳。
「キラさん、そろそろ起きましょうか・・?」
「嫌だ」
「いやいや・・、お仕事とか」
「休む」
「多分、無理だと思いますけど」
「ナル」
じっと綺麗な水色の瞳がこっちを見る。
「好きだ」
「は、はい・・・」
「好き?」
キラさんの指がそっと頬を愛しいものを触るように、撫でていく。
次の言葉を、促すように・・優しく笑う。
「・・・・・・・・好きです」
「・・・そうか」
いつものキラさんの返事に、なんだか胸がいっぱいになって、顔をキラさんの胸に埋めてみた。
「・・・・また会えて、良かったです」
「・・・そうか」
キラさんにまた会えて良かった・・助けに来てくれて、本当に嬉しかった・・。
やっと好きだってわかったのに、このまま死んでしまうのかと思ったら、無口なキラさんの水色の綺麗な瞳を見られなくなるかもしれない・・そう考えたら、胸が痛かった・・。
「ナル・・」
キラさんの手が、顔をそっと上げる。
泣きそうになった目で、キラさんを見ると、眉を少し下げて笑って顔を近付けてくる。
「可愛い・・・」
うわ!そんな事言うの?!
キラさんがそっと目を瞑るから、私も瞑ろうとすると・・
ドアがバッターーーンと全開で開き、団長さんが私達を笑顔で見る。
「おはよ〜!起きた〜!?あ、ごっめーん!!いい所だったね!続きどうぞ〜!!!」
ドアが再び勢いよく閉まり、一時停止したのち・・・・私は叫んだ。
ちなみにキラさんは、めげる事なくキスして来たことも追記しておこう・・。
団長さんは許さない。
ニルギさんに5倍は脚色して言いつけることも、心のノートに書きつけておいた。




