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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人。
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黙して語らない騎士の口を動かすお仕事です2


森や、林をいくつも馬に乗って駆け抜けて行くのは、なかなか面白かった。

私の体は経験のない乗馬で、ものすごく悲鳴を上げていたが・・、主に臀部。明日も馬ならば、私の臀部はどうなってしまうのだろう・・。


やがて、道らしい道が見えてきて、遠くに町らしきものが見えた。


「キラさん、あれがキラさんの町ですか?」


ふり返って見上げると、キラさんはフルっと頭を横に振る。


「ここは、手前にある町だ。今日はここへ泊まる」

「ああ、はい」


簡潔に答えてくれるので、大変わかりやすい。

町の中へは門番の人へ挨拶すると、大きな木の扉が開かれて入れてもらえる。わぁ・・中世のヨーロッパみたいだな。


馬でゆっくり町の中を歩くので、私はここぞとばかりに周囲を見る。

薄い茶色のレンガで出来た道は、綺麗に舗装されていた。


白いレンガでできた家が並び、屋根は薄い茶色のものが多い。

窓から育てているのかな・・お花やグリーンが飾られていて綺麗だ。とても白い家に映える。町の人達は、男の人はシャツとズボン、女の人はシャツとスカート・・と、割と見慣れた格好をしている。


髪の色も、私と変わらない人もちらほらと見えたけど、私のようにロングヘアの人はあまり見なかった。


「・・・私の住んでた世界にちょっと似てますね」


思わず呟くと


「ナルの住んでいた国にか?」

「あ、いえ違う国ですけど・・。似ていて、ちょっと安心しました」

「・・・そうか」


前を見ながら会話していたけど、キラさんの声が穏やかだったように思う。

そうして、夕陽が傾いてきた時、馬のマークが描かれた看板の店の前に止まるとキラさんは馬から降りて、店の前にいた若い男の子に声をかける。


男の子は、店に一旦入って、戻ってくると「大丈夫です」と答える。


キラさんは、馬に乗っている私に手を伸ばすと、またも鮮やかな手つきで馬から下ろし、そのまま私を横抱きする。



「・・・・へ?」


想像して欲しい。

今まで彼氏もいたことの無い女を20年・・営んできたのにも関わらず、美形に横抱きされる状況を。体重とか気になるだろ?!顔の産毛とか気にするだろ?!!慌てるよ。恥ずかしいの前に、慌てる!!


「き、キラさん・・・・?!!!」

「・・馬に乗った事ないだろう?多分、体が動かないぞ」

「お気遣いなくー!!!っていうか、事前に言ってください!」

「そうか」


言葉・・!コミュニケーション!!

騎士団とかって、そういうの大事にしてないの?!

声を大にして言いたかったが、確かに体が動かない・・。


店に入って、そっと下ろしてくれたけど、生まれたての小鹿みたいに、足がプルプルしてる。


カウンターの横の壁で体を支えたよ・・・。遠い目でな。

キラさんはカウンターにいる、柔らかい表情で応対しているお店のおばちゃんに何やら話してから、お金を渡し、鍵を渡されていた。そうだ!お金!!・・・働いたら、キラさんに返さねば。


宿屋なのかな・・

周りを見ると、クリーム色の壁には花が飾られていて、可愛い。

カウンターの横にドアがあって、そこからいい匂いがする。食堂かな?

そういえば昼ご飯食べてなかった・・お腹がぐうっと鳴る。


「ナル、まず部屋へ行くぞ」

「あ、はい」


壁から体を起こして、歩こうとすると、また横抱きされる。


「いやいや、頑張って歩きますよ!?」

「無理をすると、明日に響くぞ」

「・・・・・・・すみません、お世話になります・・・」


部屋へ行ったら、まず顔の産毛チェックをする事を心に誓って、外に一旦出て、外階段を登って部屋へ行く。鮮やかな緑色の扉を開けると、真ん中に衝立があって、ベッドが2つ・・・。


よし・・・一緒か・・・。

まだベッドが2つだ・・・大丈夫だ。

私は、再び遠い目をしながら、自分の荒ぶる感情を抑えた。必死に。



一言、同じ部屋だと言わんかい!!!!!


と、いう叫びと一緒に。



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