黙して語らない騎士の妻、走る!!10
翌日は、シーヤ騎士団の執務室でお仕事である。
先日、ルーンさんが王都から事務員さんをまた正式に送ってくれる事になったので、その準備と・・、主に団長さんへの叱咤激励が私の仕事なのかもしれない。
「団長さん!!ほら、また私明後日にはいないんですから、ちゃきちゃきやって下さい!」
「え〜〜、昨日は夕方頑張ったでしょ?」
「昨日は昨日、今日は今日です!!!」
私の言葉に、フランさんとライ君が同時に頷く。
ほら〜、同意してますよ?
団長さんは、まだ朝なのにへばりそうである・・。
「ほら、王都からの甘くないお菓子あげますから、頑張って下さい!」
「・・うう、完全に僕、子供扱いされてない?」
「・・いえ、まだギリギリ・・。頑張って団長としての沽券を守って下さい」
「すでにギリギリなのかぁ・・」
そう言いつつ、スティック状の塩っぱいお菓子をぽりぽり食べながら、書類をする。・・よし、こっちは大丈夫だ。
私は自分の机に座って仕事をしようとすると、ソファーに座っていたニルギさんがじっとこちらを見ているのに、気づくと・・・。
「ニルギさんのは、給湯室の冷蔵庫の二段目の紙袋に入ってますけど、3時になったらですよ?」
「もう食べたい〜!俺は、昨日ウルキラを送り迎えしたのに・・」
「ニルギー!!ウルキラに言われたからって、すぐ連れて行くんじゃない!!」
団長さんがニルギさんに文句を言いながら、お菓子を食べる・・。
本当にうちの騎士団は落ち着きがないな。
今日はキラさんとラフさんは、先日ルーンさんが建てる為に見せにいった騎士養成校の場所を、ソマニから来たフランさんのお兄さんに紹介しにいった・・。
忙しいなぁ・・。
セトリさんは来てるのかなぁ・・。
チラッとフランさんを見ると、ちょっとニコッと微笑んだ。
・・・来ているらしい。
ならば、早めに今日は仕事をおえないとね!
ペンを握って、気合を入れる!
「ほら、団長さん!!手を止めない!今日は絶対就業時間内に終わらせますよ!!」
気合を入れた私に団長さんは、「は〜い」と、大変気合のない返事をして書類仕事を始めた。頼むよ、本当に・・。
そうして、お昼。
今日は執務室のお昼ご飯を持ってきて、団長さんやフランさん、ライ君、ニルギさんと一緒に食べる。フランさんは、サンドイッチを食べつつ・・
「そういえば、ナルさん王都の騎士団はどうでした?」
「規模も雰囲気も違うので、びっくりしました!あと、貴族の人・・本当にいるんですね〜!」
私がフランさんにそう話すと、団長さんがちょっと笑う。
「え〜、なに?貴族のお姉さん達に絡まれたの?」
からかうつもりで言ったのだろうけど、
それマジです・・。
「あ、あ〜・・、そんな事もあったり、なかったり?でも、騎士さん達はすごく優しい方ばかりでしたよ!」
団長さんは、ニルギさんをチラッと見る。
「ニルギ〜、やっぱあれ作っておいて」
「もうすでにウルキラに頼まれてる」
「え、なに?なんですか?また魔法とか掛けるつもりですか???」
思わず焦ってニルギさんと団長さんを交互に見ると、ニルギさんは猫のようにニマッと笑う。
「もっと楽しいことかな?」
「・・怖い・・、ニルギさんの楽しいとか怖い・・」
全くこの二人はなにを考えているのやら・・。
サンドイッチをもそもそと食べていると、二人でなにやら話し込んでいるので怖いんだけど・・。
フランさんは、ニコニコ笑いながら団長さんに、
「僕達も王都の騎士団に遊びに行ってみたいです〜団長さ〜ん」
「ダメ!やめて!!フランとライ君がいなくなったら、本当に困る!」
「じゃあ、私はソマニに行きますね」
「もっとダメ!!本当にそのネタやめて!!」
うん・・・。
うちの団長さんのこの親しみやすさ・・。
そして、この執務室の過ごしやすさ。やっぱり落ち着くなぁ・・。すっかり自分の居場所になっているこの騎士団が好きだなって、しみじみ思う。
書類仕事の遅さだけがネックだな〜〜。
慌てる団長さんを見ながら、残りのサンドイッチをバクッと食べた。




