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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
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黙して語らない騎士の妻、走る!


ルーンさんから、まさかの「王都のイベントやってみろ」発言を頂き、まっさか〜?私、一般人ですよー!って言ったのに!言ったのにー!!!!



『ナル・ディートリア 王都の騎士のお祭りを手伝うように ルーン 』



ご丁寧に、王様しか使えない印鑑とサインまで書いて、ルピスさんが直々にシーヤ騎士団に持ってきた・・。本気だ、本気のやつだ・・。わざわざ忙しいのに執務室に持ってきてくれたルピスさんに、お茶を出してお礼を言う。


「すみません・・、忙しいのにわざわざ持ってきて頂いて・・」

「こちらこそ、ルーン様が申し訳ない・・」


お互い顔を見合わせて、ちょっとため息をつく。

そして、同時に執務室の団長さんの横の机・・キラさんの方を見る。



めちゃくちゃ不満顔である。



表情筋が動いてるね・・。

眉間のシワもすごいよ。

私の横のソファーに座っているニルギさんは、面白そうに私達の様子を見て、キラさんと話す。


「どうせ王命は断れないんだ。ウルキラ諦めろ」

「嫌だ」

「じゃあ、お前も行くのか?」

「行く」

「それなら、俺も行くかな」


団長さんが、「ねえ待って、そこの親子・・・」と、泣きそうになってる。

その団長さんの机の上は、相変わらず書類の山だ。


ルピスさんが私を見て、


「シーヤ騎士団からなら、ナルさんが信頼されている方をお手伝いに寄越しても大丈夫だとルーン様が、お話しされていました」


「あ、そうなんですか?それは確かに助かります。一人だと流石に無理だし・・」


でも誰に手伝って貰おう・・。

一人じゃ不安だけど、キラさんだって仕事は忙しいし、ニルギさんは来週から騎士団の養成校を作る為に、王都の魔術師さんと仕事するし。


気心知れたライ君とフランさんだって、いなくなったら書類の山がエベレストになるかもしれない・・。



ふと団長さんとラフさんを見る。



「あ、リルケさんと、ルーナさん・・」


あの二人は?!今、お仕事はセーブしてるっていうし・・、多少の融通は利くかもしれない。それに女性同士だし、イベントを二人も前に体験済みだからいいかも!!


「団長さん、ラフさん、奥様を貸して下さい!!」

「「「ええ??!!」」


「お二人とも気心知れてますし、イベント体験者ですし・・、女性の観点があるといいかな〜って」


団長さんとラフさんは、ちょっとためらっているけどニルギさんが横で「決定だな」と、ニヤニヤ笑っている。・・こらこら、同意を得てからですよ?



「どうせお前達、仕事で忙しくて奥様方を心配掛けさせるだけだろ?せめて、奥様達に自分達の仕事を知ってもらう機会として、イベントを手伝わせればいいじゃないか?相互理解が深まるぞ」



なるほど・・、ものはいいようだ。

ああ、でも私もキラさんの仕事やキャンプに参加して、騎士さんの仕事を知っていったしなぁ・・。確かに良い機会にはなるかも?


団長さんとラフさんは、私がニルギさんの意見に同意すると、二人はどこか思い当たる節があるのか、まず聞いてみてくれる事になった。やったー!!!



嬉しそうに笑う私に、ルピスさんも微笑んでくれるが、横のキラさんはまだ納得していない・・。こちらは後で説得しよう。朝夕の送り迎えはルピスさんがしてくれるそうな。


通いであれば、幾分キラさんの心も落ち着くだろう・・。



「では、二日後の9時に迎えに来ますね」

「わかりました!よろしくお願いいたします」


私がそういって、ルピスさんを見送ると・・ちょっとニコっと笑って


「妹が遊びに来てくれるみたいで、楽しみです・・」


キラさんに似たルピスさんに言われて、思わず照れてしまう。妹かー!!こんな格好いい兄がいたら嬉しいわ!あ、でも、義理のお兄さんだ。



ルピスさんを見送ると、キラさんは大変不満顔のまま執務室横の部屋へ私を連れていくと、ギュウッと抱きしめて「嫌だ」と、ポツリ呟く・・。人前でイチャつくのは嫌だという配慮は有り難いが、今、仕事中です・・。とりあえず頭を撫でておいた。




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