黙して語らない騎士、王都合同訓練!19
ガサガサと音がして、目を開ける。
と、執務室のソファーの上に横たわったままだけど、何か雰囲気が違う。
執務室の机の上を誰かがあさっている気配がする。
不意に、会話が聞こえて慌てて目を閉じる。
「・・書類は見つかったか」
「いや、こっちには・・」
「事務員の方の部屋か・・」
「こっちに紛れ込むように送ったのに・・」
と、何やら会話が聞こえる。
なに?何を送ったって・・?書類を送った・・??でも、とにかくジッとしておいた方が良さそうなので、寝たふりをする。
「あいつらはまだ起きないな・・」
「急がないと、勘づかれる・・ひとまずすぐに出よう」
「黒髪の女を殺しておけって言われたけど、どうする?」
「爆薬を仕掛けておけ、守護魔法で弾かれるだけだ」
めっちゃ不穏な会話してますや〜〜〜〜ん!!!??
私を殺す?!
でも、守護魔法を知ってるのか?!
キラさんの毒耐性の魔法が効いているから、多分目覚めるのが早かったのだろう・・。薄目でニルギさんとルーンさんを見るけど、まだ寝たままだ。
爆薬とかいうのを仕掛けられたら、困る!!
とにかく耳を澄まして、どこに仕掛けるかを聞いておかねば・・。
「団長の机に置いておくか・・」
「そりゃいい、30秒後に爆破出来るようにしておこう」
「よし、行くぞ」
そう言って、足音がいくつかして扉を閉めると、ご丁寧に鍵を掛けていった。
頭の中でカウントしつつ、足音が小さくなった途端に起き上がって、団長さんの机に駆け出す。
四角い箱みたいのが置いてあって、時間が小さくカウントされてる!!!
い、今、15秒??!!
どっちに投げる!?
っていうか、私のしょぼい腕力で遠くへ飛ばせるか!?窓を見て、ひとまず投げようと思って持ち上げると、
「ナル!!こっちへ寄越せ!!」
ガバッとニルギさんが起きて、私は驚きつつもニルギさんに駆け寄ると、手を淡く光らせて爆薬らしき箱をシュウッと音を立てて、消してしまった。
「だ、大丈夫ですか?」
「消し炭にしたから大丈夫だ。しかし・・、ナル、目覚めるの早かったな・・」
「キラさんの毒耐性の魔法のおかげですね・・」
「ああ、そういえば新しく付けたっけな」
ちょっと呆れたように話したニルギさんだけど、ニルギさんは・・?思わず顔を見ると、
「俺は、そもそもあまり毒が効かない体だから・・。どれ、ルーン様を起こすか・・」
そういって、ルーンさんの頭に手を置いて、淡い光を発すると・・、ルーンさんが目を覚ます。
「・・なんか久しぶりに寝られたな」
・・セトリさんと同じ事を言ってるけど、お願いこの世界の人達・・。眠り薬で眠ったのは快眠とは言わないよ?私は思わずルーンさんにひざ掛けを渡して、
「・・この際なんで、休んでおいて下さい」
って言ったら、笑われた・・。ルーンさんが面白そうに私を見て、
「お前が添い寝でもしてくれれば、寝られそうだ」
「・・そういう事を言うと、キラさんの警戒レベルが上がるので・・」
と、言いかけた瞬間、
バン!!!と、大きな音を立てて扉が開く。
驚いて、扉を見るとキラさんがじろっとこちらを睨んでやってきた。
あれ?!キラさん、一緒にオルクさん達と行ったんじゃ・・、そう思っていると、キラさんは私を手招きするので側へ行くと、そのまま腰に腕を回される。
ちょ、おい!?
慌ててキラさんを見上げると、キラさんはルーンさんを冷たく見下ろし・・、
「・・ダメだ」
低い声で、ダメ出しする。
・・いや、私もダメって言いますよ?あと、一応王様ですよ?
私はキラさんと、ルーンさんを交互に見ると、ニルギさんと同じように笑って見ている。
「相変わらず仲がいいな・・」
「そりゃ〜、シーヤ騎士団の仲良し夫婦だからな〜」
ルーンさんと、ニルギさんに言われて思わず顔を赤くしたけど、キラさんは私を見下ろすとニコッと微笑む。うん、何があっても変わらないキラさん・・安心するけど、まず何が起こっているのか説明して欲しいな・・。あと、腕を離して欲しい・・。




