黙して語らない騎士、王都合同訓練!14
とうとう王都からオルク団長さんが来る当日だ!!
しかし・・相変わらず王都の騎士さんとはあまり良い雰囲気ではない・・。
エリス副団長さんはあれ以来、何かと挨拶はしてくれるけど・・、事務員さんともギクシャクしたままだし・・。眉間にしわを寄せつつ、執務室で片付けをしていると団長さんに、
「ナルさ〜ん・・顔!口角上げて」
「団長さんにまで言われた・・」
思わずズーンとした顔をしたが、いや・・ここは何とか吹っ切ろう!!ここまで、色々あったけど、どれも何かスッキリしない事件ばかりで・・、モヤモヤしっぱなしだけど。
キラさんパワーのおかげで、今日も晴天!!
王都の騎士団の人も心なしか笑顔だし、うん、とりあえず口角をあげよう。
玄関へキラさん、フランさん、ライ君と向かうと、もう団長さんやラフさんがシーヤ騎士団の皆と並んでいた。お、おお〜、全員キリッとした顔で整列してると格好いいなぁ〜。キラさんも、団長さんのすぐ隣に並ぶ。
クリスさんとノーツさん両副団長が、入り口前に並び、
「「騎士団、整列!!!」」
と、号令を掛けると、ザッと大きな音を立てて敬礼し、そこへ王都騎士団の皆さんがオルク団長さんを先頭に颯爽と玄関の門を潜って入ってきた。
か、格好いい〜〜!!!
思わず呟くと、隣に並ぶライ君が小さく頷く。
馬もキリッとした顔をしてるし・・、これが王都から来たのか〜・・見惚れちゃうだろうなぁ・・街の人とか。しみじみと騎士団が入って来る様子を眺めてしまった。
オルク団長さんはサッと馬から降りて、団長さんの前に来ると挨拶をし、固い握手を交わすと、執務室へとエリス副団長さんと一緒に行く。
キラさんは、ラフさんと何かを話してから、一緒に執務室へ行き、クリスさんとノーツさんは王都から来た騎士さん達を馬房や、寮へと他の騎士さん達と手分けして案内を始める。・・なんか、一気に賑やかになったなあ・・。私はライ君と一緒に、寮の説明をしたり・・荷物を預かる役をした。
ようやくひと段落ついたかな・・と、ライ君と話す頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。手持ちのランプで書類を確認してから・・、
「荷物は、皆さん引き取りに来たし執務室に戻ろうか?」
「そうですね〜」
荷物の受け渡しの書類を持って、訓練場の前を通りかかると、
不意に何かが聞こえた。
「・・何か、聞こえた?」
「え?そうですか?」
「訓練場の方から・・」
私がそっとランプを訓練場の方を照らすと・・
ウルクさんが倒れてる!
慌ててランプを持って、ライ君と一緒にそばへ駆けつけた。
「ウルクさん!!大丈夫?何があったの?」
「馬鹿兄貴!!おい、しっかりしろ!!」
「・・・痛い・・のに、ライ、ひどい・・優しくして・・」
「アホか!!!やっぱそこで寝てろ!!」
「・・お願い、兄弟喧嘩は後にして・・」
サッとウルクさんの体を見ると、切られてはいないがかなり殴られたようだ・・。
「ナル!!」
後ろを振り返ると、キラさんがこちらへ走ってきた。
「キラさん!良かった・・ウルクさんが大変なんです!!」
「すんません・・ウルキラ団長補佐・・」
「ひとまず医務室へ行くぞ」
そういうと、軽々とウルクさんの巨体をサッと肩に抱えて歩き出すキラさん・・。そうだった〜・・、あの巨体どうしようって思ったけど、キラさん強かった上にすごかった・・。横で目を丸くするライ君と一緒に医務室へ急いだ。
「・・打撲がひでぇな・・」
そう言ってお医者さんは、面倒臭そうにウルクさんの背中に湿布を貼る。
「冷て!!」と、言うウルクさんをサラっと無視して、カルテをお医者さんが書くと、キラさんはウルクさんを見て、
「誰にやられた?」
「・・暗くてよく見えなかったんですけど、王都の隊服が見えました」
王都の騎士!!??
私とライ君は、ウルクさんを見る。
「・・そうか」
キラさんは少し考え、ウルクさんを見ると・・ウルクさんは、静かに頷いた。
「とりあえず黙っときます」
「「え!!??」」
私とライ君が、目を見開く。と、ウルクさんはちょっと可笑しそうに笑って、口元に指を当てて、
「みんなで内緒っすよ!」
って笑うけど、そうなの?
それでいいの!?私とライ君は、キラさんをものすごい勢いで見上げると、キラさんもウルクさんと同じポーズを無表情でするけど・・、それでいいの!?




