黙して語らない騎士、王都合同訓練!8
お昼まで団長さん達は会議をするらしいので、私とフランさん、ライ君で執務室の横にお昼を用意すると、キラさんとラフさんが数人の騎士さん達と戻ってきた。
キラさんは、私を見ると少し嬉しそうに笑って執務室へ向かう。
・・忙しいなぁ・・。
「足を止める間もありませんね」
フランさんが、ちょっとため息をつきつつ、お昼を置いたテーブルを見る。
本当・・。王都の騎士さんも、シーヤの騎士さんも休めるといいな。
医療室へ書類を渡しに行くと、王都の数人の騎士さんが囲みつつ、怪我をした騎士さんをお医者さんがちょうど手当しているところだったので、慌てて、隣の部屋で待っていると・・、
「一体、誰がこんな事を・・」
「こっちは、あまり王都の騎士にはいい感情を持ってないから・・」
そんな声が聞こえてきて、私はいてもたってもいられなくなる。
王都の騎士だからって、そんな事しない!
シーヤの人は・・、騎士さんはみんないい人だ!!・・って、言いたいけど、流石に手当して貰っている人に言っても、説得力ないか・・?
「・・それは、まだ確定しない事だろう。憶測でいうのはよせ」
低い・・、静かな声が聞こえる。
・・この声、なんか聞き覚えがあるけど、部屋は見えないしなぁ・・。
他の騎士さん達は、「はい」って返事して・・、それきり静かになってしまった。
そうして、数人の騎士さんと怪我をした騎士さん達が医務室を出て行ったのを確認して、私はそっとお医者さんの方へ歩いていくと・・、
医務室にローブを着ていないルピスさんが立っていた!
「あれ?!ルピスさん!」
「・・おや、見つかった・・」
そういって小さく笑うルピスさん。
あ、あの低い声・・。
ルピスさんだったのかな?そう思いつつも、会えたのは嬉しいので、笑顔でそばへ駆け寄ると、ルピスさんも心なしかニコニコだ。
「・・あ、もしかして、怪我した騎士さんを心配して?」
「一応、怪我の確認をオルクにしておかなくてはいけないからな・・」
なるほど・・。
エリス副団長さんも何やら会議してるしなぁ・・。
「怪我、大丈夫だったんですか?」
私がお医者さんとルピスさんを交互に見ると、カルテを書きつつお医者さんが、
「ま〜、矢で腕を掠めたくらいだから、すぐ治るだろ。毒とか、魔法が掛かってたら話は別だけどよ、そこはルピスさんが見てくれたら大丈夫だ」
「・・良かった・・」
いや、怪我は嫌なんだけど。
でもすぐ治るなら、ちょっと安心だ・・。
ルピスさんは、私を見て・・
「何かと心配をかけるな・・」
「いえいえ、それもお仕事ですから!」
「・・そうか・・」
ルピスさんが笑うので、私も笑い返した。
お医者さんに書類を渡すと、ルピスさんもお医者さんにお礼を言って、一緒に部屋を出る。
外はすっかり秋晴れで、気持ちいい風が吹いている。
ルピスさんは、そんな空を見て・・
「こちらは晴れているんだな・・」
「あ、王都は天気が悪いんですか?」
「今日は雨だった・・。帰るのが憂鬱だ」
へ〜〜!!!ルピスさんもそんな事、言うんだ〜〜と思わず目を丸くすると、ちょっとおかしそうに私を見る。
「シーヤに来ると、大体いつも良い天気だからな・・」
「ああ、なるほど・・。キラさん晴れ男だからかなぁ」
「・・晴れ男・・・」
クスクスと小さく笑うルピスさんの横顔が、キラさんに似てるなぁって思ってしまう。そんなルピスさんが、ちょっと声を潜めて・・、
「・・しばらく、引っ掻き回されると思うから、気をつけろ」
そう言って、ルピスさんは自分の口に指を当てる。
・・何かが起こっているのだろう。静かに頷くと、また少し笑って転移の魔法で王都へ帰っていった。私はというと、ドキドキしすぎて、執務室の階段を上っている途中で転びそうになった・・。うん、ちょっと落ち着こう。




