黙して語らない騎士、王都合同訓練。
キラさんとシーヤに帰ってきた!!
港に着くと、いつもの風景が広がっていて・・、帰ってきたな〜って思う。
「やっぱり我が家はいいなぁ・・って思いました」
キラさんに感想文みたいにしみじみ話しつつ、翌朝一緒に出勤する。キラさんは、私がプレゼントしたバングルを着けて大変ご機嫌だ。
船の中でニルギさんにバングルを指して、「劣化しないのと、壊れない魔術あったか?」と、聞いていて・・親子で試していた。ブレない・・。本当にブレないよ・・。
「またナルと行きたい・・」
そうキラさんが言うと、ニコニコして私を見つめる。
・・うん、キラさんの「好きな場所」が増えるのはいい事だ。
執務室へ行くと、ライ君とラフさんに早速山盛りのお土産を渡す。
フランさんからもすでに貰ったらしいけど、二人のデスクは私達のお土産ですでに山になっている・・。だって、本当に申し訳なくて・・。
ライ君は、私を見て・・目を潤ませ・・
「帰ってきてくれて、良かったです!!!」
って、言うから団長さんの罪は相当重いと思う。
ライ君の横でラフさんが苦笑してる。
「・・書類をサボりにサボっていてなぁ・・」
「・・あまりに仕事をしなかったら、キラさんとニルギさんを連れてソマニに異動してやるって言ったら、ちゃんとやるっ!って言質取りました」
私の言葉にライ君が目を見開く。
「ダメです!!!ナルさん行かないで下さいーーー!!!!」
「・・ライ君やフランさん、ラフさんがいる限り、頑張るよ!!!」
目の前に迫って懇願するライ君の肩に手を置いて誓ったさ・・。
悪いのは全部団長さんだ。
「・・僕、ものすごく悪者な感じ?」
・・団長さんが執務室へ書類を持って入ってくる。
え、それ・・まさかやってない奴・・・?
「・・今更何を言ってるんですか・・、こんな可愛いライ君を泣かせておいて・・。団長さん非道ですよ」
私の後ろでキラさんが静かに頷く。
同意ありがとうございます。
ちょっと口を尖らせた団長さんが、書類を机に置いて・・
「はいはい、すみませんでしたー。だって、王都との合同練習もあるし〜、忙しいし〜」
なぜ忙しいのに、ソマニに来て全力で遊んだ・・。
ああ、でも合同訓練もあるのか・・
「合同訓練ってどこでやるんですか?」
「ああ、ここでやるんだ。シーヤの街外れに騎士団養成校を作る見学も兼ねて」
「見学って・・、ルーンさんとか?」
「そ、ルーン様も来るよ〜」
と、いう事はルピスさんも来るのかな?
オルクさんも来るのかな?
うわ〜〜、ちょっと楽しみだな!ワクワクしてキラさんを見ると・・
ものすごい嫌そうだ。(無表情だけど)
「・・キラさん・・・?」
「・・あいつが来るのか・・」
「あいつとは・・?」
「・・・ルーン・・」
「キラさん、不敬罪ですよ〜。せめてさん付けしましょうね」
「・・ナルさん、ウルキラ・・様付けでお願いしまーす」
私とキラさんが話している横で、団長さんにツッコミを入れられる。あ、そうだった・・王族でしたね。
キラさんは、一度ルーンさんに迫られた私を見て、大変ヤキモチを焼いて・・しばらくはルーンさんから私を隠し、そばに絶対寄らせなかったのだ・・。もう流石に結婚しているって分かっているから、大丈夫だよ〜。
「キラさん、大丈夫ですよ」
「・・ああ」
「あと言い忘れてたんですが、そろそろ手の甲の名前を・・」
「ダメだ」
「ええ〜・・・」
「ダメだ」
さっきの話を聞いたら、絶対消さない気配はしてたけど・・。
これはニルギさんに相談しよう・・そう思っていると、
「ニルギが消したら、呪いが掛かる」
「ねぇ、仮にもお父さんですからね!?あとそんな罠みたいなの本当、こっそりかけないで下さい!!!」
今回、眠り薬で眠らされてしまったので、毒耐性の魔法と、意識がなくても悪意があったら弾かれる魔法をこっそりキラさんは私に加えたらしく・・、ニルギさんに爆笑されたのに!!!横目で団長さんが、
「ほら〜、仕事するぞ〜」
って、言うけれど・・
それは貴方ですからね。
キラさんと顔を見合わせて、早速仕事に取り掛かる事にした。ちなみに団長さんの書類は予想を超える多さで、キラさんに殺されそうな視線を受けていた・・。




