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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
257/566

黙して語らない騎士、海外出張です。22


海の中は、すごく透明度が高いのでよく見える。


「お魚見えますね!あれ、昨日ニルギさんと見たのと同じだ!」

「・・そうか」

「こっちのは、セトリさんと見た貝です!可愛いですよね?」

「・・・そうか」

「あっちは、フランさんと船の上で見たんですけど・・」


そう話してキラさんを見ると、なんか拗ねている・・?


ちょっとジトッとした目で私を見て、繋いでいた手をキラさんが自分の方へと引き寄せた。うわ・・、この格好で密着するのは・・照れるぞ。



「あ、あの・・キラさん??!」

「・・ナルと、好きを見つけたかった・・」



そっか〜・・。忙しくて、全然一緒にいられなかったもんね。

キラさんを見上げて、微笑む。


「あと少しだけ・・なんですよね?一緒に探しましょう!」

「ああ」



「そうそう、俺達も一緒に探すぞ」



・・・んん・・?

後ろから声がしたかと思うと、ニルギさんが浮き輪で浮いている!!



その横に・・・、団長さんがいる!!??



そう思った瞬間、キラさんがものすごい早さで私をキラさんの背中に隠した!!


「なぜ、ここにいる・・」


キラさんの背中越しだけど、冷えびえとした声が聞こえる・・。

しかし、そこでめげる人達ではない・・。



「ガダへの武器輸出に、ティルが一枚噛む事になったんだから・・、王都の騎士団の補佐である私が呼ばれても不思議ではないだろう?」


「あと、昨日ナルと話してて俺も最近ウルキラと海へ行ってないなぁと思って、家族サービスしに来た!」



キラさんの背中から、ちょっと顔を出して団長さんとニルギさんを見るけど、めっちゃいい笑顔ですね。団長さん、完全バカンス気分で来てますよね?キラさんが思いっきり深いため息を吐くと・・、


「・・・・ニルギ、魔法」

「ほいほい」


そういって、指をパチンと鳴らすと、いつの間にか私の体が男性化している上に、しっかり服を着ている・・。いつのまに・・。キラさんは、団長さんをジロッと見て、



「・・あと二時間で仕事だぞ?」

「え〜〜、そんなんしか時間ないの〜〜?」


「内容が内容だ・・。明日の朝10時に帰るからな」

「え〜〜、ウルキラ〜〜もっと遊びたい〜〜」


「休暇の申請は、団長にしてくれニルギ・・」



・・なんという、困った大人達。

ニヤニヤしているニルギさんと、団長さんに思いっ切り水を掛けてやった!!


「もう!!団長さん!ちゃんと書類終わったんですか!?帰ったら書類が山盛りだったら許しませんからね!!」


「ブワ!!!ちょ、ナルさん!ストップ!!!」

「するか〜〜〜!!!」


バッシャバッシャ容赦無く団長さんの顔目掛けて、海水をこれでもか!!と、掛けていると、キラさんが後ろで吹き出した。ニルギさんはちゃっかり逃げてるし!!


本当に笑ってる場合じゃないですよ!

絶対、書類山盛りですよ!?


「もう!キラさんも手伝って下さい!!主に団長さんに堂々と攻撃するなら、今しかないですよ!!」


そういって振り返るとキラさんは可笑しそうに、口に手を当てて笑っている。

・・・なんだ、可愛いな。



キラさんが、可笑しそうに笑ってから水を思いっ切り団長さんに掛けようとするとニルギさんを盾にしたので、哀れ・・「お前がどけ」「お前が離せ」と、言い合う二人は、キラさんの水を思いっ切り被ったのだった。うむ、スッキリした!



ひとしきり4人で遊び倒し、ヘロヘロになって自警団に帰ってきた。

フランさんが出迎えてくれたけど、団長さんに苦笑していた・・。ですよね!ライ君・・大丈夫かなって、すごく心配なんだけど・・。あ、そうだ・・、セトリさんとどうなったかな・・。



チラッとフランさんを見ると、ニコッと笑って、ウインクしてみせた。



おお・・、と、いう事は・・良い結果になったのかな?

私も微笑み返すと、目敏い団長さんが「何?なんかあったの?」って言うけど、教えませんよ〜。すぐに私達の邪魔をするんですから。まったくもう!!




団長さんの出てくると、話がとっても進む不思議。

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