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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
254/566

黙して語らない騎士、海外出張です。19


散々海で遊んだニルギさん。

大変満足したのか、笑顔である。良かったよ・・楽しんで貰えて。


夕方の海を二人でぼんやり座って見つめていると、あと少しで帰るのか・・と、ちょっと残念な気持ちになる。


「シーヤも綺麗だけど、ソマニも綺麗だし・・、もうちょっといたい・・」


「いいんじゃないか?帰らなくても。ラトルが泣きそうだが」

「・・多分、書類の前で号泣してますね」


見える・・。

見えるぞ、大量の書類と、遠い目で見ているライ君の姿が・・。

あかん、早めに帰るからね!!ライ君!!!


ニルギさんは、ちょっと可笑しそうに笑うと・・、ゆっくり立ち上がる。


「まぁ、またウルキラと来ればいいさ。ほら、旦那が迎えに来たぞ」

「・・へ?」



後ろを振り返ると、キラさんがこちらへやって来るのが見えた。


「・・ナルの為に、仕事を終わらせてきたんだろう・・我が息子ながら健気だな・・」


しみじみ言われると、照れるんですが・・。

ちょっと目を逸らしつつも、「そうですね」って同意するとニルギさんは面白そうに笑った。



「ナル!」


嬉しそうな顔をして、そばへやってきたキラさん。

・・忙しいのに、ありがとう。

でも、めちゃくちゃキラキラしてこちらを見るので、若干恥ずかしいです・・。


「お仕事お疲れ様です。この後は大丈夫なんですか?」

「・・・あと一時間したら、首相と会食になった・・。ニルギ、出席してくれ」


「・・まだ老骨に鞭を打てと・・?」


老骨・・・・。

ニルギさんには縁のない言葉だな。

普通に20代に見えるのに・・。


キラさんは、ちょっと呆れたようにニルギさんを見つめて・・、


「会食後のデザートは、最近話題のパティスリーによるものらしい」


「仕方ない・・。自警団に戻って着替えてくるか」


変わり身はっや!!!

ウキウキした顔で、自警団に戻ろうとして・・、私を振り返ってみると、


「あ、戻しておくか」

「・・へ?」


ぱちっと指を鳴らすと、またも私の体が淡く光る。

体を見ると、元の姿に戻ってる!!

・・ニルギさん、凄すぎだな!?私が、自分の体をニルギさんを交互に見ると、ニヤッと笑って・・、


「せいぜい一時間の逢瀬を楽しめ」


そういって、自警団へ戻っていった・・。

なんというか、めちゃくちゃ楽しんでいるな・・ニルギさん・・。



キラさんを見上げると、嬉しそうに私を見つめている。


「・・散歩しながら、自警団に戻りますか?」

「・・ああ」


そう言うと、キラさんは私の手をそっと握ったかと思うと、ゆっくり手を絡める。お、おう・・、ちょっとこれは恥ずかしいな?顔を赤くすると、キラさんは表情筋が動いて、嬉しそうに微笑む。


「・・ナル、可愛い・・」

「あの、ちょっと・・、恥ずかしいので、今は控えて頂くと・・」


「もっと、一緒に居られればいいんだが・・」


ちょっと遠くを見つめる瞳になるキラさん・・。

そうだよねー・・、今回は、交渉も話し合いも、犯人検挙のための見回りも、キラさんがトップだからずっと仕事だもんね・・。



「・・今度、ゆっくり遊びにきましょう。キラさんとのんびり遊びたいです・・」

「・・ナル・・」


キラさんが、嬉しそうに見つめて、

ちょっと顔を寄せてくる。


ちょ、ちょっと、あの、ここは外でしてね?!

人の目がありましてですね・・・!!?

思わず視線をウロウロさせていると、キラさんは小さく笑って頬にキスする。



「・・皆、夕日を見てる」

「う、うーん・・、それはどうかなぁ?!」



キラさんは、ぎゅっと手を握って私の体を自分の方へ引き寄せる。

夕日を見ている人もいるだろうけど、海を見ている人もいる訳で・・、そうなれば私達も見る人も・・いる・・か?思わず首を傾げて考えていると、サッとキラさんはキスする。


「キラさん!!!」



南の島で浮かれているのは、どうも私だけではないらしい・・。

キラさんは、いつもより甘い顔で私を見ている・・。うう、いつもの倍キラキラしてません?照れ臭いわ、恥ずかしいわ・・、気持ちを誤魔化すように手を引っ張って、先に歩き出す私を後ろから小さく笑ってキラさんがついてきた。




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