黙して語らない騎士、海外出張です。15
助けに来てくれた船には、フランさんと騎士団の人が乗っていた。
すぐにセトリさんを船に運び、犯人を乗せた船をロープで繋ぐと港まで運ぶ。キラさんは、テキパキと騎士さん達に次の行動を指示して、私を着替えるようにと船室へ案内する。
はぁ・・、犯人達を逮捕しても忙しいんだな・・。
キラさんの背中を見ながら、廊下を歩いていくと、キラさんが船室のドアを開けて、中へ入るよう促すので一緒に入った。
「・・キラさん、なんかごめんなさい・・」
「・・なぜ・・?」
「いえ、さっき面白がっちゃって・・、からかちゃったけど、心配してたんですよね。なんか、忙しいのに・・悪かったなって・・」
ちょっと目をウロウロさせながらキラさんに謝ると、キラさんは小さく笑って、そっと私を抱きしめる。
「・・そんなことはない。元気な顔が見れるのが一番だ・・」
キラさんは、私に甘すぎではないか?
そっと見上げると、優しい顔で私を見ている・・。
「・・ただ、キスはしたかった」
「・・・へ・・?」
思わず間の抜けた顔で、キラさんを見ると、嬉しそうな顔をした
キラさんが、すかさず私にキスをする。
「・・可愛い・・」
低い声が耳元へ響いて、ドキっとしてしまう・・。
いや、待て、仕事中だぞ?睨むようにキラさんを見ると、可笑しそうに笑って私を見てる。
「・・キラさん、私をからかってましたね!」
「お返しだ」
「なっ・・・!!!」
キラさんから、そんな言葉が返ってくるとは!!
ちょっと驚いたのと、恥ずかしいのと、嬉しいのと?!・・なんか複雑な感情になってるのに、キラさんはそっと私から体を離すと、棚から服を出してくる。
「とりあえず、これに着替えてくれ」
「は〜い・・。水着、可愛くないですか・・・?」
そう言いつつ、受け取った服をチラッと見る。
いや、見せないでっていうのは、そんな不埒な格好をして欲しくないって事は分かってるんです・・、似合ってる以前の問題とは分かってるんですけどね・・。
キラさんは、私の独り言のような言葉を聞いて、
「あ、・・その・・、うん・・」
と、視線を彷徨わせてから、私の耳元で内緒話をするように小声で・・、
「・・似合ってる。でも、可愛いから誰にも見せないで欲しい・・。さっきのは、その、そういう意味で・・」
キラさんが・・、
あのキラさんが・・!!
ちゃんと言葉にして、気持ちを言ってる!!!
私は、ついそっちに感動してしまった・・。
「・・・ナル・・?」
感動している私を、ちょっと目元を赤くしてキラさんが見つめる。
あ、そ、そうですね・・。
可愛いから見せて欲しくないんですね・・。いかん、今頃じわじわ嬉しくなってきたぞ・・?
「・・分かりました・・。でも、海で一緒に泳ぎたい時はどうすれば・・?」
そうだよ・・。
海で、一緒に泳ぎたいんだけど・・着衣水泳は流石にできる自信がない。
キラさんは、うっ・・と、言葉を詰まらせ・・、悩みに悩み・・、
「一緒にいる時だけなら・・」
渋々了承してくれた!
やった〜!!時間ができたら、一緒に泳ぎたい!って思ったんだ〜〜!!嬉しそうに微笑むと、キラさんはちょっと眉を下げて笑った。
「・・でも、今は服を着てくれ」
一瞬で、元の無表情に返ったキラさんに、小さく笑って頷くと安心した顔をする。・・うちの夫は心配性だな。
着替えようと思って、ふと手の甲を見る。
『ウルキラ』と書いてある、この手の文字は、そういえばいつ消えるんだろう・・。そう思って、キラさんを見上げる。
「キラさん、この文字って消えるんですか?」
「・・消さないと、ダメか?」
「・・なるほど〜?シーヤに帰るまではいいですけど・・、戻ったら消して下さいね。団長さんにからかわれるの・・、ちょっと嫌ですし・・」
そう言うと、キラさんは静かに頷き・・「団長にも、ルーナと書いておくか」と言うので、吹き出した。確かに!それ、いいかも!!・・ちょっと検討しておこうと思っちゃった。




