黙して語らない騎士、海外出張です。13
ジュースを貰って飲んだ事までは覚えている・・。
ちょっと目を瞑って・・、それでここ??
とりあえずセトリさんは大丈夫だろうか?そう思って、様子を見ると・・静かに寝息を立てているので、ホッとした。
立ち上がって、小さなはめ込みのガラスの窓を覗くと・・、海だ!
海の上にいる。
じゃあ、ここは・・船の中・・?
ソマニに乗ってきた船とは違って、小さいサイズだろうけど・・、恐らく船だろう。扉もあったので、そっとドアノブを回すがやはり鍵が掛かっている。だよねー・・・。
窓の外をもう一度見ると、向こう岸がチラッと見えた。
ソマニだろうか・・。
これがガダの近くだったら・・?そう思ったら、ゾクッとした。ソマニは、ガダにも近い・・。これまた三時間くらいで着いてしまう・・。今は夜だとしたら・・、余裕で着いている可能性もある。
ふと、考え込んでいると・・口元にもっていった手を見る。
手の甲が、白く・・淡い光を発している。
『ウルキラ』
まるで、どこにいる?と、ばかりに淡く光るから・・、胸がぎゅっと痛む。
「・・・キラさん・・・」
思わず、名前を呟く。
どうすればいい・・?誰かが入ってくれば、キラさんの守護魔法で弾け飛ばせるけど・・、こっちにはセトリさんもいる。一人で守れる自信はない。
そう思っていると、突然・・
船がドスン!!と、何かが落ちてきたような音がする。
「・・え、なに・・?」
思わず、体が跳ねて・・
慌ててセトリさんの方へ駆け寄る。
何かあったら、セトリさんをとにかく守らないと・・!!
そう思っていると、外から怒号が聞こえて、またも体がビクッと跳ねる。こ、怖いよ〜〜!!!!キラさん〜〜!!!!
セトリさんをなんとか抱えて、部屋の端っこへ連れて行く。少しでも視界に入りづらい場所へ移しておかないと・・。その間に、外では鈍い音がしたり、何かが激しく割れる音や、ぶつかる音が聞こえて・・、その度に体がすくむ。
「・・・キラさん・・」
手の甲のキラさんに、呼びかけるように囁く。
何かあったら知らせて欲しい・・と言ったけど、気付いてくれるだろうか。
と、ドアを激しく叩く音が聞こえる。
こ、怖い!!!
どうしたらいいの〜〜〜!!??
バキ!!!と、扉が破壊されて、
ドアが開く。ぎゃあああ!!!まさかの破壊!!!!肩が跳ねて、もはや涙目である。
「ナル!!!」
「・・・っへ?」
キラさんが、すごい勢いで部屋へ入ってきて、私は目を丸くした。
助けに・・来てくれたの??
ホッとして、キラさんの所へ駆け寄ると・・、不意に何かが打ち上がる音が聞こえた。
「・・え?」
ドン・・!!と、花火が打ち上がって、私は思わず破壊されたドアの外を見る。花火・・?お祭りって、明日じゃなかったっけ?あれ〜?もしかして、お祭りまで寝ちゃってた?
キラさんを見上げると、私を見て固まっている。
「・・キラさん・・?」
「・・・その、格好は・・」
「ああ、これですか?水着です。セトリさんと、ここへ来るまで泳いでたんで・・」
「泳いで・・・」
キラさんは、そう言って私を上から下までゆっくり見て、
顔を真っ赤にする・・・。
そうだよねー・・・。
足首出しただけで、真っ赤になっちゃうキラさんだもんね。
この格好は、かなり恥ずかしいよね・・。あ、それだとセトリさんの格好を見たら、もっと真っ赤になっちゃうかも?そう思いつつ、ちょっとスカートの裾をつまんでみる。
・・ちゃんと下に履いてるけどね・・。
と、キラさんがすごい勢いで私の裾をつまんでいる手首を掴んで、そっと下に降ろすと・・、キラさんが着ていたシャツをズボッと頭から被せた。
「・・誰にも見せないでくれ・・・」
そう言いつつ、私が見られないのか・・、真っ赤になって横を向いているキラさん・・。なんか、私まで照れてしまう。えっと、すみません・・?




