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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
242/566

黙して語らない騎士、海外出張です。7


美味しい食事・・だったのだろう。

あまりにも素晴らしい空間に圧倒されて、味が分からなかったお店を出て、また馬車に乗って自警団に戻る。


キラさんから書類を受け取り、部屋へ戻ろうとすると・・

後ろからキラさんがついてくる。



「・・・キラさん、お部屋はあちらでは?」


「・・・ナルと、いたい・・」

「仕事はもう終わったんですか?」



静かに頷いて、キラさんは私の手を繋ごうをする。

ちょっと待って欲しい・・。

私はですね、怒ってたんですよ・・?なんでかまるで分かってないキラさんを見上げると、瞳が不安そうにゆらゆら揺れている。


・・・ず、ずるい・・!!

本当にずるい・・。そんな顔されたら、怒れないではないか・・。


「・・じゃあ・・、お部屋でちょっとだけお話ししますか・・?」


ちろっとキラさんを見上げると、キラさんは嬉しそうに笑って私を見つめる。

く・・、可愛いなぁ・・。



と、廊下の向こうから、慌てた様子でフランさんが走ってくる。


「ウルキラさん!騎士団から、動きがあったと報告きました!」

「今、行く」


そういって、キラさんは瞬間仕事モードの顔になった。

来た瞬間に動きがあるなんて・・、騎士団が来ているのは知らないはずなのに・・。


フランさんが「一階の奥の部屋です〜」って、言って踵を返すと、キラさんは私を見る。


「・・・行ってくる・・・」

「はい、行ってらっしゃい」


ちょっとブスッとしている顔をしているけど、無表情である・・。

なんだかそんな顔が可笑しくて、小さく笑うとキラさんは、



チュッと音を立てて、キスをする。



驚いた私が目を見開く。

な、なな・・・、ろ、廊下なんですけどーーーーー!!!!??


真っ赤な顔で、キラさんを睨むと・・、なんだかすっかり機嫌がなおってるし・・。ちょっと名残惜しそうに、私の唇をゆっくり指でなぞると、今度こそ行ってしまった・・。



こっちは真っ赤なんですけどー?!!

く・・、怒ってたのに!悔しい!!でも、頬が緩んでしまう・・。ええ、ええ、単純ですよ・・どうせ。そう思いながら部屋へ戻って、明日の仕事の準備をする。

ちょっと笑っちゃってますけどね・・頬が。



翌朝・・。


爽やかな潮風と、青空の中・・気持ちよく目覚めた。

ほどよく暖かくて、湿度もなくて、気持ちがいい!!


「あ〜〜!!これは、最高だな・・」


ぐっと体を伸ばして、窓の外の海を見る。綺麗な海の色が異国情緒〜!っていうか、異世界だった〜!


フランさんに、暖かいから服は薄着で大丈夫ですよ〜って、言われてたけど・・本当だったな。この日の為に急遽買っておいた半袖の紺色のワンピースを着て、下の階へ行く。



下の食堂の方へ行くと、すでにいい匂いがする。


ああ、でもやっぱり匂いシーヤ騎士団とは、違うな。スパイスの香りが結構する・・。やっぱり外国なんだなって思っていると・・、


「おぅ、ナルおはよう」

「あ、ニルギさん、おはようございます」


「昨日は仲直りしたのか?」


ニヤニヤしながらニルギさんが聞いてくる・・。

まったく朝から、この人は・・。


「・・黙秘します」


そういうと、クスクスと可笑しそうに笑うから・・。団長さんに似てるって言ってやろうって思うと、キラさんも食堂に入ってくる姿が見えたので、手を挙げると嬉しそうにこちらへやってくる。


「・・昨日も、仕事で遅かったのに、あいつは元気だな・・」

「ああ、ニルギさんも行ったんですか?」

「少しな・・。確認だけはしておいた」


ちょっと声を潜めて話すニルギさんに合わせて、私も小声だ。

誰がどこで聞いているか、分からないからね。



キラさんは、遅くまで騎士団の人と、武器を取引しようとしていた人の動きを追っていたらしい。遅くまでご苦労な事である・・。そんな事を微塵も感じさせないくらい、今日も朝陽を浴びて、銀髪をキラキラと光らせているキラさんは、私を見て今日も笑顔である・・。う・・、朝から可愛い・・・。




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