黙して語らない騎士、海外出張です。6
ガダへの武器輸出を止める為の大体の打ち合わせは終わり、これから騎士団を配置をする事になった。
自警団も、もちろん動くが・・どこから情報が漏れるか分からないので、人数は最小限に留めるらしい。ニルギさんは、久々のお仕事で楽しそうだ。
「ひとまず、皆さん今日はお疲れでしょう。店を予約してありますから、まずはゆっくりお食事して下さい」
ユーリクさんがにっこり笑うけど、えっとお仕事なんですけど、いいのかな・・?ニルギさんをみると、笑顔全開!だったので、良しとしよう。このメンバーでは最年長だし。
「セトリ、ご案内してあげて」
「かしこまりました」
セトリさんは、スッと綺麗に立ち上がる。
私達は、ユーリクさんに挨拶をすると書類をカバンにしまって、部屋を退室する。
セトリさんは、早速案内すべく、カツカツと歩いていくので、それを後ろから付いていく。うーん、綺麗で格好いい・・。ああいうのが似合うの、ちょっと憧れる。
お店は、商会を出たすぐの所にあるらしい。
歩いていくのは構わないけど、この大事な書類を持って歩くの・・、ちょっと怖いなぁ。そう思っていると、キラさんがすかさずやってきて、手を出す。
「・・書類を持とう・・」
「え、でも・・」
「持つ」
なんというか、気迫を感じる・・。
そろりと、書類を入れたカバンを渡すと、キラさんは嬉しそうに笑う。
私の後ろでニルギさんがニヤニヤしてるのを見たキラさんは、ブスッとして、
「・・ニルギ、笑い過ぎだ・・」
「ウルキラが可愛くてなぁ・・」
ああ、なるほど・・。
俺の息子が可愛い!ってヤツですね・・。本当にニルギさんは息子が大好きだな。思わず笑って、キラさんを見ると、ちょっと困ったような顔になって、目を逸らす。
「・・どうかしました?」
「・・やっと笑ってくれた・・」
「え、あ、ああ・・そうでしたね・・」
その理由が、なんでか分かってないでしょうけどね・・。
思わず、スッと無の顔になってしまうと、キラさんが今度は慌てた顔になる。
「・・・笑っていて欲しい・・」
切実に、キラさんは私を見て言うものだから・・、
おかしくなって笑ってしまう。
キラさんは、私の顔を見て嬉しそうにニコニコ笑って、手を繋ごうとするが、仕事中なのでそれはノーだ。
セトリさんが、「こちらです!」という店を見ると・・、
まず門構えから違った。
大きな木のアーチがあり、綺麗な模様が彫られている。
中へ一歩入ると、至る所に植物が植えられていて、異国情緒な雰囲気がして・・、道の脇には池があったり、滝がある。店に入ってないこの段階で、ドキドキしてきた・・。
フランさんは、店までのアプローチを見て、
「ヘェ〜、素敵ですね〜」
「ユーリクさんがこちらを作られて、お料理は先日、賞を取られたシェフが腕によりをかけて・・」
とか、セトリさんと話しているけど・・、これ、場違い感半端ないのでは?!!!
ニルギさんを見ると、美味しい食事・・と、楽しみなようだ。そうだった!!この人、王都にもしょっちゅう行ってる!おハイソな空気なんか全然大丈夫だった!!キラさんを見ると、いつもと変わらない表情だった。そうだった・・、育ての親はそこにいるニルギさんだった・・。
あまりにもラグジュアリーでゴージャスで、マーベラスな空間に圧倒されて、美味しいはずのご飯の味が、緊張してあまりよく分からなかった・・。
ちなみにシャンパンもあったらしい。
私?飲もうとしたら、キラさんがいつの間にか飲んでいて、静かにキラさんの分のデザートを代わりに渡された・・。




