黙して語らない騎士は心配性。8
キラさんの突然の指をな、なめる・・という事件から、私はあまりキラさんの顔を見られない。
水色の瞳を、今までどんな気持ちで見ていたっけ・・と、
来た当初の事を思い出そうとするけど、わからない・・。
そんなわけで、ここ最近キラさんが遠くに見えるとすぐ隠れるし、
食事が一緒の時は、うまく話せないし、
名前を呼ばれると、狼狽えてしまうし・・・で、自分の気持ちが常にざわざわしていた。
でも、そんな私を尻目に、キラさんは水色の瞳でこちらをじっと見る。
声をかけてくるし、朝も起こしにくる。魔力も流しに欠かさず来る。
目線が泳いでしまう私を、長めの前髪から見ている。
・・・なんとなく、その瞳に熱が篭っているのも、ちょっと感じていたけど、私はどうする事もできなかった。
そんなある日、
「ナルさーん、今日はニルギくるから、そこの掃除終わったら上に来て」
「あ、はい」
今日は、ニルギさんがブレスレットの具合を確かめに来る日。
なんだかんだで、3回目の確認になった。
私がワタワタしている間に、そんなに経ったのか・・と、ちょっとびっくりだ。
私は、団長さんの部屋でニルギさんに見てもらう。
「・・うん、今回も大丈夫だ。ウルキラは魔力を一定に流せて上手いな」
「そういうのもわかるんですか・・。すごいですね」
「ああ、あと流した人の心理状態もわかる」
「え」
「心理状態もわかる」
思わずニルギさんの顔をまじまじと見てしまう。え、ちょっと待って・・
「言わないでください!!!」
「・・・・いいのか?」
私は顔を両手で覆った・・。
そうだよね・・・やっぱり、そうだよね・・。
なんとなく、そうなのかな・・って思っていたけど、もう逃げられない気持ちになってしまう・・。
後ろで爆笑してる団長さんの椅子を蹴り飛ばしたい!!
「に、ニルギさん・・・」
「ナルは、ウルキラをどう思ってるんだ?」
「・・分かってるような、分かりたくないような・・・」
「ああ・・まぁ、あれだしな・・」
私は思わずニルギさんを拝んだ・・。私の中の常識人よ!!!!
後ろでまだ笑ってる団長さんとは雲泥の差だ。
「・・・あまり思い詰めるなよ。なんか困ったら、連絡しろ」
「ニルギ様・・・」
もう一度拝むと、ちょっとつり目がちな瞳が柔らかく笑った。本当に団長さんと大違いだ。私は深く感謝した。
ひとまずブレスレットの点検も終わったので、私は掃除道具を寮の方へ片付けるべく歩いて行くと、夕方の訓練が終わったのか、訓練場から人が出てくる。
あ、やべ・・キラさんが出てくる前に急いで寮へ行こう。
今、エンカウントしたくない!
足早に掃除道具を持って、寮へ駆け込み、道具を所定の場所に戻す。うん、今日の仕事はこれにて終了。
宿舎へ戻ろうと、寮のドアを開けると、目の前にキラさんが立っていた。
・・・・・・・閉めたよ。ドアを・・。
え、待ってなんでそこにいるの?
そう思っていると、ガチャっとキラさんが扉を開ける。
「あ、何か寮に用でした?」
「ナルと宿舎に戻ろうと思った」
「い、今・・・?」
「今」
デスヨネー。
さっきニルギさんに言われかけた言葉を、ふっと思い出して、顔が赤くなる。
うぅーーー、心頭滅却!!火もまた涼しーー!!!!頑張って、己の心を鎮めたよ。すごくない?
「・・・帰りますか」
「・・ああ」
そういうと、私の歩幅に合わせて、キラさんが歩いてくれる。
その事実に、この間気付いた時は、悶えた・・。
あんな最初はコンパスの差も気付かなかったのに・・、そう思ったら、恥ずかしいし、照れくさいし、ますます顔が合わせられなくなった・・・。
そっと、キラさんを見ると、水色の瞳は夕焼けの色を映して、キラキラ光っていた。
こちらをじっと見つめつつ。




