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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
231/566

黙して語らない騎士、誕生日。2


お昼を屋台で軽く食べて、海辺に並んでいるお店を二人で見ていく。


・・ここで、キラさんが興味を示したものを買うんだ!!

っていうか、キラさんが好きそうなものを探す!探し当てる!!気合いを入れて、キラさんの手に取る物をじっと見る。


けど、なんていうか・・

私が見ると、キラさんは私を見る。・・おんやぁ?私を見てどうする・・?



「ナル、これ・・」

「ん?なんですか?」


可愛い貝殻の形をした小物のトレーがある。

真っ白いけど、中が海の色で描かれていて綺麗だ。


「あ、可愛いですね!海の色が綺麗!!」

「そっちにも色違いがあった・・」

「ああ〜〜、これも可愛いなぁ!!あ、しかも水色だ!!」


ニコニコして、キラさんに話すけど・・


ハッとする。

いや違うよ、キラさんの好きなものを探したいのに、私が好きな物を見つけてどうする?!


「き、キラさんは、何か興味持ったものあります?」


もうあえて聞いてみた。

キラさんはちょっと考えて・・、


「嬉しそうに、話すナル・・」


「ん、んん〜〜〜・・・・そこじゃないなぁ・・?」


キラさん・・そうじゃないんだ・・。

そうじゃないんだよ。


キラさんの好きなものって、本当にないのか?いや、この世界にきっとあるはずだ!!


いや、もしかして・・、そもそもこのファンシー空間じゃなくて、武器とか防具とか見に行った方がいいのか?でもなぁ〜・・仕事道具を見に行って喜ぶかなぁ・・。


なんだかんだで、私が可愛いと言った貝殻のトレーを買ってもらってしまった・・。

キラさんと次はどこへ行こうかと話しながら歩いていると・・、



「お〜〜い、ナルさ〜ん、ウルキラ〜〜!」



めーっちゃ聞き覚えのある声がする・・。

私とキラさんで振り返ると、団長さんとフランさんがこちらへ手を振りつつやって来た。


手に書類を持っているから、仕事かな?


「こんにちは、お仕事ですか?」

「そうなんだ〜!今日は港に、荷物のチェック!!」


団長さんはニヤニヤして、キラさんを見てから、私を見る。


「・・・・で、見つかった?」


「・・・・いいえ・・・?」


くそ、意味深な言い方をしおって・・。

フランさんが、呆れたように団長さんを見てるぞ?


キラさんは、何事かと思って私を見て、団長さんをじっと睨むように見る。

あ、そこは気にしないでいいですから・・。



フランさんが、ちょっと困ったように笑って・・、


「団長さんが、お茶しようと話していたんです・・。もし良ければ一緒にどうですか?」


「フランさんが言うなら行きましょう」

「え、なんで、そんなに態度違うの?ナルさん??」


信頼度ですかねぇ・・・。

無言でにっこりと微笑んでおいた。



フランさんが、よく行く・・というお店へ行くと・・、少し路地裏にあるそのお店は、白く塗られた店内は天井が高くて、シーリングファンっていうの?天井でゆっくり回っていて、観葉植物が所狭しと置いてある。


「お、お洒落・・」


思わずポツリとこぼすと、横にいたキラさんもコクリと頷く。

フランさんは、ニコニコ笑って、


「なかなか素敵でしょう?お気に入りなんです」

「素敵です〜〜!」


ラタンで編まれた大きなソファーには白いクッションがいくつも置いてあって、座り心地が良くて最高である。お、大人な空間だ!!!



そこに、フランさん、団長さん、キラさんの三人の各種取り揃えたイケメンが座っている・・。周囲にお茶をしている人達が見惚れているけど、分かります・・。ちょっと異空間です。



頼んだケーキセットもお洒落で、なんていうか・・素敵がすぎて・・、感動していると、キラさんがにっこり微笑むから、あれ・・?もしかして、私が今日誕生日だった?って、勘違いしてしまいそうになる。



しかし、団長さんが絡んで何か穏便に済むわけがない。

ケーキを食べ終わると、にっこり笑って・・、



「今日はね、この裏の店で武器の裏取引があるんだ!ちょっと手伝ってね!」



・・・団長さん、今日はキラさんの誕生日な上に、さっき窃盗犯を捕まえてきたんですけどー・・。私とキラさんは、一緒にジトッと団長さんを見つめる。




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