黙して語らない騎士、誕生日。2
お昼を屋台で軽く食べて、海辺に並んでいるお店を二人で見ていく。
・・ここで、キラさんが興味を示したものを買うんだ!!
っていうか、キラさんが好きそうなものを探す!探し当てる!!気合いを入れて、キラさんの手に取る物をじっと見る。
けど、なんていうか・・
私が見ると、キラさんは私を見る。・・おんやぁ?私を見てどうする・・?
「ナル、これ・・」
「ん?なんですか?」
可愛い貝殻の形をした小物のトレーがある。
真っ白いけど、中が海の色で描かれていて綺麗だ。
「あ、可愛いですね!海の色が綺麗!!」
「そっちにも色違いがあった・・」
「ああ〜〜、これも可愛いなぁ!!あ、しかも水色だ!!」
ニコニコして、キラさんに話すけど・・
ハッとする。
いや違うよ、キラさんの好きなものを探したいのに、私が好きな物を見つけてどうする?!
「き、キラさんは、何か興味持ったものあります?」
もうあえて聞いてみた。
キラさんはちょっと考えて・・、
「嬉しそうに、話すナル・・」
「ん、んん〜〜〜・・・・そこじゃないなぁ・・?」
キラさん・・そうじゃないんだ・・。
そうじゃないんだよ。
キラさんの好きなものって、本当にないのか?いや、この世界にきっとあるはずだ!!
いや、もしかして・・、そもそもこのファンシー空間じゃなくて、武器とか防具とか見に行った方がいいのか?でもなぁ〜・・仕事道具を見に行って喜ぶかなぁ・・。
なんだかんだで、私が可愛いと言った貝殻のトレーを買ってもらってしまった・・。
キラさんと次はどこへ行こうかと話しながら歩いていると・・、
「お〜〜い、ナルさ〜ん、ウルキラ〜〜!」
めーっちゃ聞き覚えのある声がする・・。
私とキラさんで振り返ると、団長さんとフランさんがこちらへ手を振りつつやって来た。
手に書類を持っているから、仕事かな?
「こんにちは、お仕事ですか?」
「そうなんだ〜!今日は港に、荷物のチェック!!」
団長さんはニヤニヤして、キラさんを見てから、私を見る。
「・・・・で、見つかった?」
「・・・・いいえ・・・?」
くそ、意味深な言い方をしおって・・。
フランさんが、呆れたように団長さんを見てるぞ?
キラさんは、何事かと思って私を見て、団長さんをじっと睨むように見る。
あ、そこは気にしないでいいですから・・。
フランさんが、ちょっと困ったように笑って・・、
「団長さんが、お茶しようと話していたんです・・。もし良ければ一緒にどうですか?」
「フランさんが言うなら行きましょう」
「え、なんで、そんなに態度違うの?ナルさん??」
信頼度ですかねぇ・・・。
無言でにっこりと微笑んでおいた。
フランさんが、よく行く・・というお店へ行くと・・、少し路地裏にあるそのお店は、白く塗られた店内は天井が高くて、シーリングファンっていうの?天井でゆっくり回っていて、観葉植物が所狭しと置いてある。
「お、お洒落・・」
思わずポツリとこぼすと、横にいたキラさんもコクリと頷く。
フランさんは、ニコニコ笑って、
「なかなか素敵でしょう?お気に入りなんです」
「素敵です〜〜!」
ラタンで編まれた大きなソファーには白いクッションがいくつも置いてあって、座り心地が良くて最高である。お、大人な空間だ!!!
そこに、フランさん、団長さん、キラさんの三人の各種取り揃えたイケメンが座っている・・。周囲にお茶をしている人達が見惚れているけど、分かります・・。ちょっと異空間です。
頼んだケーキセットもお洒落で、なんていうか・・素敵がすぎて・・、感動していると、キラさんがにっこり微笑むから、あれ・・?もしかして、私が今日誕生日だった?って、勘違いしてしまいそうになる。
しかし、団長さんが絡んで何か穏便に済むわけがない。
ケーキを食べ終わると、にっこり笑って・・、
「今日はね、この裏の店で武器の裏取引があるんだ!ちょっと手伝ってね!」
・・・団長さん、今日はキラさんの誕生日な上に、さっき窃盗犯を捕まえてきたんですけどー・・。私とキラさんは、一緒にジトッと団長さんを見つめる。




