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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
215/566

黙して語らない騎士は、今日も平常通り。


訓練場の真ん中で、魔術と剣のぶつかり合いである。

しかも、最強親子で。


団長さんが、「訓練場・・どうしよう・・」と、遠い目で見つめている・・。

周囲には集まってきた騎士さん達が、「すげぇ!!」「マジカッケェ!!」「どっち勝つか賭けようぜ!」って言ってるけど、団長さんが殴りに行った・・。お疲れ様です。



キラさんが、剣に魔法を纏わせているのか・・ニルギさんの魔術が大きな音を立てて、雷鳴のように落ちてきても簡単に薙ぎ払うけど、その瞬間にキラさんの足元の土が波打つように動いて、足を絡め取ろうとする。


「まだまだ・・だな、ウルキラ!」


ニルギさんは、面白そうに笑ってキラさんの足元を土を縄のように動かして足を掴むが、キラさんは足元の土を剣で切り落として、高く飛んで足元に魔法陣をいくつも浮かび上がらせると、その上をジャンプして体制を整える。



「えーと・・・これは、私ごときがどうにかできますかね?」



思わず団長さんを見ると、遠い目で賭け事をしようとした騎士さんの首を絞めている。わ、わかったよ・・、なんとかしてみるよ・・。


訓練場の柵の内側で暴れているようだし・・、ちょっとずつ近付いて気付いてもらおう。そう思って、ゆっくり訓練場の中へと歩いていく。


うう・・、せめて団長さんを盾にすれば良かった・・。

そう思った時、飛んできた土の塊がこちらへ向かってきた。



「ナル!!!」



キラさんの声が聞こえて、スローモーションのように駆けてくるキラさんを見た。


咄嗟に守護魔法が出る手を出すと、バチン!!と、大きな音を立てて、土の塊が跳ね返った。



が、それがキラさんに思いっきりぶつかってしまった!!!



キラさんが後ろに倒れこみそうになった所をニルギさんが魔法陣で受け止めてくれたけど・・、キラさんが動かない!!

おぉ〜〜!!!と、騎士さん達が感心した声をあげてるけど、そういう場合じゃないよね!??



「き、キラさあぁああああん!!!!」

「うまいぞ、ナル!!」


ニルギさんが、すっごくいい笑顔で私を褒めるけど、そういう場合と違う!!!


慌てて駆け寄って、キラさんの頭を抱き上げる。

目を閉じてるけど、意識を失ってるの・・??団長さんが急いでお医者さんを連れて、駆けてきてくれた。


「ウルキラは?!」


「だ、団長さん・・キラさんが・・・・」


泣きそうになって、キラさんを見つめると・・、意識を取り戻したのか・・目を開けた!


「キラさん!!大丈夫??!」

「・・・ん、ナル・・?ここは・・?」


お医者さんが急いでキラさんを診てくれた。

私がハラハラしながら側でキラさんを見ると、大丈夫だったのか・・ちょっと頭をさすりながら起きてきた。


「キラさん、起きて大丈夫なの?痛い所は??」

「・・頭は少し痛いが・・」


「なんだ・・記憶は戻ってないのか?」



ニルギさんがつまらなさそうに言うけど、そういう場合と違う〜〜〜。

キラさんは、少し目をパチクリして・・



「記憶・・・?」

「そうだ!ほら、これは誰だ?」


ニルギさんは、私をぐいっとキラさんの前に押し出す。


「ナルだが・・」

「お前、ナルを知らないと言ったのは覚えるか?」


「・・・なぜ、ナルを知らないと言うんだ?」


キラさんが、不思議そうに尋ねると・・その場にいた私達が一瞬体が固まる。

団長さんがキラさんに、


「嵐があったのは覚えている?」

「覚えているぞ、見回りに行ったろ」


「ウルキラ、ナルさんを初めてここに連れてきた時、手を繋いでたか?」

「繋いでいたな・・」


「ナルさんが王都で着たドレスは誰が選んだ?」

「・・俺だが?」



私とニルギさんが思わず顔を見合わせた。

キラさんは私を見て、


「記憶がなくても、ナルを好きになったから、昨日告白したばかりだが・・」

「き、キラさん!!!?」


ギョッとしてキラさんを見ると、嬉しそうに私を見つめる。



「今日も好きだ」



水色の瞳がキラキラして私を見つめるので、私は真っ赤になるし、ニルギさんは「ほら叩くのが一番だ」って言うし、団長さんは面白そうに笑って口笛を吹くし、騎士さん達は拍手喝采するし・・。



とりあえずキラさんの手を引っ張って、私は逃げ出す事にした。




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