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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
210/566

黙して語らない騎士、記憶はないよ。


キラさんが記憶を失って、3日目。


変化なし・・・!

・・いや、時間が掛かると思えば・・うん、そう思おう・・。


目下の悩みは、朝起こしてくれるキラさんがいないので、朝の目覚ましが必須!ものすごい眠気と格闘しながら起きる事だな・・。本当に朝に強くなりたい。



支度して、食堂で朝食を取ろうと外を歩いていると、キラさんが詰所から歩いてこちらへ来るのが見えた。普段だったら、嬉しそうにこっちを見るんだけどな・・、そう思ったら、ちょっと胸が痛んだ。


「・・おはようございます」

「・・おはよう」


挨拶して、食堂へ行こうとした私をちょっと見つめて、



「・・ナル、は・・、今日の昼の予定は?」



あ、初めて名前を呼んでくれた!

ちょっと嬉しくて、頬が緩む。


「昼ですか?今日は、食堂の仕事はないので執務室で食べる予定です。だからキラさんが野菜をちゃんと食べたかチェックしますね!」


ヘラっと笑うと、キラさんがふっと小さく笑った。


あ、笑った・・。


いつものような小さな笑顔に、それだけで胸が一杯になってしまう。


やばい・・・泣いてしまいそうではないか・・。

思わず俯いて、泣きそうになるのを堪える。


「え・・っと、そんな訳で・・また後で・・」

「・・ああ」


ちょっと足早に、キラさんの所から離れる。


早く思い出して欲しい・・。キラさんの笑顔が見たいな・・、そう思って食堂に入る前に、そっと振り返るとキラさんがまだこちらを見ていて・・、なんだかその姿が以前のように私を見ているようで・・胸がぎゅうぎゅうに痛くなった。



食堂に入って、一番奥の席に駆け込んでちょっとだけ泣いた。

早く思い出してよ〜・・・寂しいよ・・。




朝食を片付けて、執務室へ行く間に顔をバシバシと叩いて、気合を入れる。

仕事はしっかりするんだ!私。


ドアを開けると、書類を隠し持っていた団長さんが泣きそうな顔をしながら書類にサインをしていた。泣きたいのはこっちなんですけど・・。でも、昨日ルーナさんを心配して連れてきてくれたしな・・。


はぁっとため息をついて、お茶を淹れた。


「団長さん・・、お願いですから書類は隠さないで下さい・・。なんで、あえて隠すんですか・・」

「だって〜・・・遠征もあったし」

「理由になってなーい!」


フランさんとライ君が、横のデスクで仕事しながら笑って見ている。

ラフさんは部屋へ入ってきて、「もっと言ってやれ」というので、言っておきます!


「キラさんが書類、大分手伝ってくれたんでしょ?」

「・・こっちは、僕がやっておけって」


王都の遠征のやつ・・終わってなかったんかーい!!

期限は二週間って言ってたのに・・。まぁ、途中嵐が来たから、それどころじゃなかったけど。



「・・私が出来そうな所は、手伝いますからこっちは自分でやって下さいね?」

「ありがと〜、ナルさん大好き!!」


「いや、そういうお気持ちは結構です」


そういうと、キラさんが執務室へ入ってきた。

あ、こっちでお仕事?と思っていたら、キラさんが団長さんをギロっと睨んでいる。あれ・・?お仕事してなかったの怒ってる??


私が団長さんを見て、


「お、怒ってますよ・・?」


思わず言ったら、団長さんは私を見て、



「・・・・記憶がなくなっても、ウルキラはウルキラだな・・」


そう呟いた。

そうなのか・・・?キラさんを見つめると、私の持っている書類をそっと掴んで、



「・・ナルは、自分の仕事を」

「あ、はい・・」



キラさんがそういうなら・・、そうさせてもらおう。

団長さんを見ると、団長さんは「ええ〜〜〜〜・・そういう感じ???」と、なんか面白そうだ。真面目に仕事をして欲しい。本気で・・。




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