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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
208/566

黙して語らない騎士、記憶はまだない。


キラさんが記憶を失って、2日目。


未だに記憶はないものの、キラさんは淡々と仕事をしている。

マイペースなところは本当に変わらないな・・。あ、待てよ?私が知らない時のキラさんを、今まさに見ている・・と、いう事か。


それはそれで、面白いのか・・?


いや、そんな場合ではないな。我ながらどこかシリアスになりきれない自分にちょっと大物だなって思う。



ニルギさんは、時々仕事を手伝いながら私を心配して、声を掛けてくれる。

優しいなぁ・・、そう思ってこの間、見つけた新しいお菓子屋さんのクッキーをそっと進呈しておいた。めちゃくちゃ喜んで頂き、恐悦至極に存じます。


「ナル、これ・・美味しい!店はどこのだ?」

「ふっふっふ、最近出来た店なんですけど、もう見た目から可愛くて買っちゃったんです!」


ニコニコ喜んでもらえると、やっぱりしょげてても嬉しかったりする。笑いながらニルギさんに、地図を書いて教えていると、そばにいたキラさんが驚いた顔をしている。


「・・ニルギと、親しいんだな」


「ふふ、ニルギさんは、団長さんをいじる会の会長で、私は弟子ですから!」

「え、ナルさん・・何かサラッと初耳の単語を聞いたな〜僕」


団長さんが、うげっ・・と苦い顔をした。


「気のせいだと思いまーす」


私がそういうと、ニルギさんがクスクスと笑う。

キラさんはそんな私達をまた驚いた顔で見ていた。ニルギさんとこんな風に笑ってる存在、今までいなかったのかな?フランさんが時計を見て・・、



「ナルさん〜〜、そろそろお茶にしましょうか?」

「あ、そうですね。ニルギさん、お茶も淹れますから食べ切らないで下さいよ!」



ちょっと目を逸らして頷いていたけど・・。

あれは食べ切るな・・。


給湯室で、お湯を沸かしているとフランさんは、私を見て優しく笑った。


「ナルさんが大変な時だっていうのに、悪いな・・とは思うんですが、笑顔でいてくれると・・やっぱり和みますね」

「え?そうですか?私の笑顔で良ければ、和んで下さい!」


ヘラっと笑うと、フランさんが珍しく頭を撫でてくれた。


「キラさんの代わりにはなりませんが・・」


っていうので、なんか・・ウルっとしてしまうではないか・・。

優しいフランさんの気遣いに、ありがたいなぁって心が温かくなる。癒し担当・・流石です!



お茶を皆に配って、書類を書庫と事務員さんに渡しに行く。

お昼ご飯は、団長さんとラフさんとキラさん、ニルギさんは執務室で食べるから・・、後で届けないとなぁ・・そう思いつつ、書庫へ入る。


ぎっちりと書類が入ってるけど、いつかここもちゃんと片付けしないとだなぁ・・。脚立を持って書類を棚の上に片付けていると、キラさんが入ってきた。


「あ、ウルキラさん・・」

「キラでいい」

「え、でも・・」

「キラでいい・・・」


「あ、じゃあ・・キラさん・・」


まぁ、夫婦ですけど・・、記憶がないのに、いいのかな?

一応、団長さんに夫婦って説明はあったはずだし・・いっか。書類をしまって脚立から降りようとすると、キラさんが両手で腰を掴むと、無言で床に降ろされた。



・・・うん?なんで突然??



「え、キラさん・・・なんで、突然・・」

「下りるんじゃなかったのか?」

「いや、下りますけど・・」


記憶がなくても、言葉が足りない!!!

そうだった・・、出会った時は言葉がもっとなかった!!


変わらないなぁ・・、そういうとこ。・・そう思ってキラさんを見上げると水色の瞳は、今日もキラキラ光っている。


「キラさんは、記憶がなくなっても変わらないですね」

「・・そうか」


「なんか・・、出会った時みたいで、ちょっと面白いです」

「・・・・そうか」



大変な時なのに、面白がっちゃ失礼か・・、そう思ってヘラっと笑うと、キラさんはちょっと目を丸くして私を見た。




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