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黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
203/566

黙して語らない騎士、訓練指導・・?


団長さんや、ラフさん、ニルギさん達が帰ってきて、シーヤ騎士団はまたいつもの日常を取り戻した・・かのように見えたが、副団長になったクリスさんと、ノーツさんとの間で現在問題が起きているようである。


その問題が・・



「厳しくしすぎちゃうんだよねぇ・・クリス・・」



団長さんがポツリと訓練場を見て呟くと、私に書類を渡したキラさんが小さく頷く。というか、キラさんが頷くって相当なのでは・・・?団長さんが眉間にシワを寄せて・・


「どうしたもんかなー・・動けない人を実際に指導すれば分かるかな・・」

「ああ、そうですね・・。下手に騎士さん達って動けるから・・」


私が呟くと、団長さんがにっこり笑う。


あ、すっごいやな予感・・。



「ナルさん、ライ君、フラン、訓練に参加して!」


「な、なんでですか?!私なんて、全然動けないんですけど?!」

「だからいいんじゃない〜?ほら、女性ならきっと無理言わないし!」


キラさんを見ると、確かに・・みたいで頷かないでーー?!


「え・・、ほ、本気ですか?」

「本気!!こればっかりは言っても聞かないから・・、ナルさん、ライ君、フランお願い!!・・・・団長命令でーす」


「最後にさらっとなんか入れたのは、聞かない事にします」


とはいえ、確かに騎士さん達が疲弊しているのは問題だ・・。私はライ君とフランさんを見ると、二人は静かに頷いた。


「とりあえず、僕はクリスさんの情報を掴んでおきます」

「ありがと、ライ君」


「僕は過去を知る人の話、聞いてきますね〜」

「流石です、フランさん」


「え・・ねぇ、なんでまず情報掴む所から始めるの??」


団長さんが不安そうな顔で見るけれど、私達は非戦闘員なんです!まず情報を掴み、相手を知る事が先決なんです。私達の命は、私達で守る!!



「よし!!打倒、クリスさん!!絶対生き残りましょう!!」


私とライ君、フランさんで高く拳を上げ決意を固める!

横で団長さんが、「まじ?」って言ってる側で、キラさんとニルギさんは静かに頷いていたけど、気にしない!!



そうして、我々は・・情報を掻き集め・・、来たる訓練に備えた。



今日は、「一般人でもできる訓練」という名目で団長さんが、騎士団に勤める職員に訓練の疑似体験をしてもらう・・という企画をクリスさんに任せたのだ。


そうとも知らないクリスさんはめちゃくちゃ張り切っている。なんなら心配しているキラさんに、良いところを見せようと張り切っており、ノーツさんはキリッとした顔で青ざめている。器用だな・・。


「それでは、まず訓練場を20周します!」


クリスさんが、意気揚々と言う。まじか、序盤で死ぬ。

フランさんが手を挙げる。


「あの〜、クリスさんは、最初の訓練で5周走って倒れちゃったって聞いたので、5周がいいです〜」


クリスさんは、思わず目を丸くする。皆、「え?そうだったの?」とばかりに見ると・・クリスさんはちょっと顔を赤くして・・


「そ、そうですね・・。まずは5周にしましょう・・」


焦りつつ、そう言うので我々は5周をゆっくり走った。

全力疾走無理ですし。

そうして5周を終えると、クリスさんは、


「それでは、腹筋、背筋、腕立てを50回ずつ・・」


今度はライ君が手を挙げて、


「あの〜、僕達初心者なので、クリスさんみたく最初は10回ずつがいいです!」


クリスさんはまた目を丸くした。皆、「あ、最初はそうだったんだ・・」みたいな顔になると、クリスさんはちょっと咳払いしつつ、10回ずつにしてくれた。


「じゃ、じゃあ・・次は剣を持つやり方から・・」


そう言うと、私が手を挙げた。


「あの、昔クリスさんの剣がすっぽ抜けてキラさんの頭に直撃したみたいなんで、短刀がいいです〜」


クリスさんは膝から崩れ落ちそうになったけど・・、も、持ち堪えた!!

キラさんが、感心したように頷く。いや、頷くな。

クリスさんは、震える声で・・


「た、短刀からにしましょう・・」


赤い顔で指導してくれた。


皆、「そっか・・最初はそんな感じだったんだな・・」と生温かい目線で訓練したので、クリスさんは大変塩っぱい顔をしていた。



私達のおかげかどうかは分からないけれど、訓練は大分優しくなったらしい。

「いや〜、活躍しましたね!私達!!」と、執務室三人衆は納得だったけれど、団長さんはずっと首を捻っていた。キラさんは、その横で静かに頷いていたのでオッケーだと思うよー?




あれ・・?いつの間にか200話超えていたぞ・・?

いつもブクマや評価、感謝です〜!おかげでここまで書くことが出来ました!

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