黙して語らない騎士、お手紙に不満。
調理のおじさん達は、キラさんから貰った薬が効いたらしく、食堂へ復帰してきた。
私はというと、執務室へすぐに戻る・・かと思えば、
食堂の片付けを手伝って欲しい!と、切実に頼まれた。まだおじさん達も治ったばかりだし・・と、いう事で朝食と夕食の片付けを手伝う事になった。
キラさんは、ちょっと内心不服・・ではあるようだけど、食堂からのタレコミで野菜をたらふく食べさせられるのが嫌なのか、渋々了承してくれた。
手紙は、執務室へ戻ってきたものの・・、まだ続いてる。
なんとなく、終わっちゃうのが勿体無い気がしてね・・うん。
朝、お互いに書いておいて・・、休憩時間にそれぞれ読んでいる。なんか・・、自分にだけ書いて貰うのって、やっぱり嬉しいしなぁ〜。
そろそろ団長さん達も遠征から帰って来るので、キラさんの手紙の文面からも嬉しい感じが伝わってくる。早く一緒に家でゆっくりしたいと書いてあって、笑ってしまった。
キラさんは、今日はノーツさんのいる訓練場へ行って、ちょっと指導をしてくるらしい。すでに書類は終わってるそうだ・・。団長さん、帰ってきたらどうなるんだろ。
お茶の時間になって、フランさんや、ライ君にお茶を渡すと、
「は〜〜・・・やっぱり、ナルさんがいると空気が和みます」
「そうですね。食堂へ行った時は、どうなるかと思いました」
「え?何かありました?」
思わず聞いてしまった・・。
「ウルキラさん、食堂をずっと見ながら仕事してました〜」
「あと野菜は、ここぞとばかりに残してました」
「タレコミ、感謝します。あとでしっかり指導しておきます」
遠い目になりつつ、二人にお礼を言った・・。
キラさん、頼むよーーー。
私が思わずため息をつくと、二人はクスクス笑っている。まだ、何かあるの・・?フランさんを見ると、窓を指差す。
「そこの窓から、食堂の外のベンチが見えるんですよ。ウルキラさん、ナルさんが手紙を読んでいる姿を、愛おしそうに見てましたよ」
「え、えええーーーー?!!」
なんと!!あのニヤニヤしてた姿・・見てたの?!
うわ、恥ずかしい!!
っていうか、キラさん、見ないで欲しいんだけど!!!
フランさんは、ニコニコ笑いながら・・
「お手紙を書くなんて素敵な提案ですね。そのおかげで、ウルキラさん落ち着いてくれたので、こちらとしては助かりましたよ〜」
「・・・・ご、ご迷惑をおかけして・・」
赤い顔で謝罪とお礼を言いましたとも!!
頼むよ、キラさん!!!
ライ君が、笑いつつ・・私に手紙を渡してくれた。
「え・・?これ・・」
「これは、僕からです!お手紙、いいなって思って・・」
「おや、ライ君も同じ事考えていたんですか?」
そういって、フランさんもお手紙を私に渡してきた。
ええ、二人から貰えるとは思ってなかったので、目を丸くする。思わず手紙と、二人を交互に見る。
「なんか楽しそうでいいなって、思って・・」
「わかります〜。せっかくだし、感謝も込めて書いてみました!」
「え、ええ〜〜〜、すっごく嬉しいです!!ありがとうございます!!」
嬉しくて笑っていると、フランさんが後ろに置いてあった箱からも、手紙を出す。え、なんか束感すごいな。結構な枚数の手紙を私に手渡すけど・・、これは一体??
「ちなみにこれは、騎士さん達からです〜。」
「・・え?」
「あ、こっちの手紙は、食堂の皆さんからです!」
「・・へ?!」
ライ君からも、結構な枚数の手紙を渡される。
結構な枚数の手紙を呆然と見ていると、フランさんがニコニコ笑って・・、
「なんか皆さん、考えてる事・・似てるんですかね。なんだか嬉しそうに文通をしているのを見て、真似したくなったようです」
「え、ええーーーー、嬉しい、嬉しいけど、枚数がすごい!!!」
これ・・、キラさんに見られたら、まずいかもしれない・・。
そう思って、慌てて仕舞おうとすると、キラさんがナイスタイミングで執務室へ戻ってきて、私の手元の手紙を見る。
「ナル、それは・・・?」
「え、ええと・・・?」
「「ファンレターです!」」
フランさんとライ君がバッチリ声を合わせて言うので、キラさんが驚いて私の手元の手紙をまた見た。・・・今度は、大変不服そうな顔で・・・。
とりあえず、お返事を書くべく必死に夜中じゅう書いていたのは、キラさんには秘密だ・・。ファンは大事にするべきでしょう?




