黙して語らない騎士、団長補佐仕事3
港に着くと倉庫に火をつけられたようだったが鎮火されていた・・。すでに警備隊や、騎士さん達が周囲の人を避難させていた・・よ、良かった・・。
ホッとして、周囲を見渡すと海の向こうに小舟が一隻見えた。
「・・・夜なのに、船・・・?」
暗くてよく見えない・・もしかして怪しい小舟ってあれ??なんとか目を凝らして船を見ていると、不意に肩を叩かれてビクリと体が跳ねる。
慌てて後ろを向くと、キラさんが立っている!!
「え?!キラさん、隣町では?!」
「ニルギが迎えに来てくれた」
「あ、なるほど??」
それでこちらへ来たのか??
え、でもこっちに来ちゃっていいの?思わず船とキラさんを交互に見ていると、私の隣からニルギさんがひょっこり現れて、びっくりして飛び跳ねた。
「に、ニルギさん!!びっくりした・・」
「ふふ、ナルが止めるのも聞かず、走って行った罰だ」
「・・す、すみません・・」
「まぁ、心配する気はわかるがな・・」
そういって船をニルギさんも見てから、キラさんをちらりと見る。
「・・ノーツが追っている」
「まったく手の焼ける王子様だ」
そういって、また小舟を見ると・・どこから現れたのかもう一隻の船がグングンと近寄って小舟に横付けしたと思うと、花火なのか、一本赤い光が高く打ち上げられた。
「・・花火??」
「捕まえたようだな・・。いくら手薄でも、こっちにはウルキラがいるというのに・・」
キラさんは、手の平から淡い光を出して同じように赤い光を高く打ち上げた。
「え?ええ???」
「こちらに俺がいる事を知らせた」
「なるほど・・」
捕まえた王子一派が取り押さえることができたので、すぐにこちらへ連れてくるそうだ・・。その後の事は、秘密・・って言われちゃった。ま、そうだよね・・。
ニルギさんと先に戻るよう、キラさんに言われて転移で執務室へ戻ることになった。転移しようとすると、キラさんはニルギさんをじっと見る。
「・・・ニルギありがとう」
「ホールでケーキを用意しておけよ」
キラさんが小さく笑うから、私も笑ってしまった・・。私の足・・、明日筋肉痛にでガクガクしてなければ・・買ってこよう。
執務室へ戻ると、フランさんがホッとした顔で出迎えてくれた。す、すみません・・。
そうして、明け方近くまで王子や手引きした人の聴取や、収容、騎士さん達に夜食の手配や、怪我した人の治療に医務室で手伝ったり・・・と、フランさんと奔走したのだった。ちなみにニルギさんは夜食を食べて、執務室のソファーで寝ていた・・。
朝陽が上がってきて、ようやくひと段落したのだろう。
お茶を淹れて、フランさんと飲んでいるとキラさんとノーツさんが部屋へ入ってきた!
「お疲れ様です!お茶、飲みますか?」
「ああ、頼む」
キラさんとノーツさんにお茶を出すと、一口飲んで・・ようやく息を吐いた。
「・・いきなりの大仕事でしたね、お疲れ様でした」
フランさんが、キラさんとノーツさんに優しく話しかけると、二人が静かに頷く。本当にお疲れ様です・・。
今回の課題点と、今後の事を二人で話をしているのを見ていると、喋ってる!!っていうことにも感動するけど、キラさんが団長補佐してる!!っていう事実にも、感慨深くなってしまう・・。
その後、交代で2時間だけ休憩したら、また仕事をするそうだ・・。マジか、トップって大変だな・・。キラさんが一旦休憩するために寮へ行くので、私もついていく。
寮のベッドに、キラさんはバタッと倒れこむと、私を呼ぶのでベッドに座ると、そのまま抱きかかえられた。ちょ、ちょい!!
「・・・・・疲れた」
「!!」
珍しい!
キラさんが、疲れたなんて言った!?
でも、そうだよな・・。きっと緊張してたよね。失敗が許されない仕事をしてるし・・・。そう思って、そっと綺麗な銀髪を撫でた。
「お疲れ様でした。2時間したら起こしますから、ゆっくり休んでください」
そういうと嬉しそうに私を見つめ・・ぎゅっと私を抱きしめると、すぐに爆睡したキラさん。一緒に寝たら起きられる気がしなかったので、睡魔と戦いながらキラさんを2時間後に起こした私を褒めて。
2時間後には起きてバリバリ仕事して、訓練場で騎士さん達の訓練してたキラさんに驚愕したよ。ねぇ、本当に体どうなってるの??私??爆睡した上に、足が筋肉痛です・・。死にそうになりながら、ニルギさんにホールケーキ買ったよ!
やっぱり誰か褒めて!!