黙して語らない騎士、団長補佐仕事。
キラさんの仕事っぷりに、舌を巻く我ら執務室三人衆!!
いや事務員さんも、もちろんいますけど・・。
キラさんは、二週間分の仕事をフランさんが持ってくると、期限別に分けて書類をサクサクとやっつけていく。魔物じゃないけど、サクサクだな・・。フランさんが、感激の涙を流してる横で、ライ君は「団長さんって、普段・・何してるんでしょうね・・」と、遠い所を見るような顔してた。
お茶を淹れて、3時にみんなでソファーに座って休憩する。
「キラさん、書類仕事・・意外に得意なんですね〜」
「・・特に言われた事はないが・・」
そう言いつつ、眉間の辺りをちょっと揉む。
「目元、疲れちゃいました?」
「・・・元々、近い所を見るのは弱いから」
「「「ええ!!!???」」」
初めて知った!!!
フランさんも、ライ君も驚いているから、初めて知ったのか・・。
フランさんは、ちょっと考えて自分のカバンから、眼鏡ケースを出してキラさんに眼鏡を渡す。
「僕も、時々使ってるのですが・・、もしかしたら使えるかも・・」
そう言われて、銀縁の眼鏡を渡されたキラさんは眼鏡をかけて、書類を見る。
「・・そうか、眼鏡を使えば良かった」
ふむ・・と、納得してるキラさんを私は三度見した。
え・・・・・
眼鏡かけたキラさん・・、格好いくない???
なに??いきなり眼鏡かけちゃうとか、インテリなの??インテリ眼鏡なの???はぁ〜〜〜??眼鏡姿も格好いいとか、反則じゃない???!!思わず凝視してしまった・・。
不意にキラさんと目が合って、小さく微笑まれた途端・・心臓が死んだ。
執務室でよかった・・・、普通に倒れてたわ・・家だったら。
ちょっと赤い顔を誤魔化すようにお茶を飲んだ横で、フランさんが小さく笑っていた・・。すみません・・、ちょっと取り乱してしまいました・・。
「眼鏡、良かったらお貸ししますよ。でも、今後も書類仕事があるなら作っておいてもいいかもしれませんね」
「・・そうだな、帰りに行ってくる」
眼鏡!!!
思わず、キラさんを見上げた。
「ナル、帰りに・・「行く!!!」
キラさんの発言に、思わず食い気味に言ってしまった・・。
ハッとして、「・・・い、行きますよ?」と、言い直すとフランさんに笑われた・・。良かった、団長さんいなくて・・。
そんな訳で仕事を終えて、早速意気揚々と眼鏡屋さんへ行った。
主に意気揚々としてるのは私だけど・・。
団長さんが不在の時は、すぐに出勤できるようキラさんは寮住まいになるので・・、眼鏡を買ったら一緒にまた寮に戻るので手早く決めなければいけない。とはいえ、ワクワクしつつ眼鏡屋さんに入ると、早速一緒に見て回る。
店員さんがやって来てくれて、色々勧めてくれるのを付けてみるけど・・、
「・・・キラさん、どれも似合いますね・・」
「とりあえず、仕事が出来れば問題ないが・・」
「いや!ここは、至高の眼鏡を探してかけて下さい!」
「・・眼鏡が好きなのか・・?」
う、キラさん・・そこ、あえて聞いちゃいます?
ちょっと目線を逸らして、全力で誤魔化した。眼鏡をかけたキラさんが、思ったより格好いいと言ったら・・大変な事になるのは間違いないし。
結局、つや消しの銀縁眼鏡を注文して、後日取りに行く事になった。
後日・・・、めっちゃ楽しみだ。
そうして、二人で騎士団の詰所へと戻ると、ニルギさんが立っていた!
「ニルギさん、何かありました!?」
慌ててキラさんと駆け寄ると、ニルギさんはちょっとため息をつきながらキラさんを見る。
「ラトルから仕事の依頼だ」
「・・・・・団長さんから仕事???」
「王都の第一王子が、幽閉されてたんだが・・どうやらこっちへ逃亡してるらしい・・」
キラさんと、私の体に一気に緊張が走った。
ニルギさんは、ちょっと不敵に笑ってキラさんを見る。
「ウルキラ団長補佐、仕事をするぞ」
おおっと・・、団長補佐らしい初仕事・・。思わず私の方が体が固まってしまった・・。