黙して語らない騎士、お祝いしますよ!
キラさんは、副団長の仕事をクリスさんとノーツさんに引き継いでいるらしく、お昼を訓練場まで持っていく度に、日に日に騎士さん達の疲労の色が濃くなっているように思うんだけど、大丈夫かな・・。
新人騎士の一番若い男の子が訓練場の入り口で倒れてたから・・・慌てて起こした。
「大丈夫?え、えーとミリヤ君だっけ?」
「・・・すみません・・、なんとかここまで来たんですけど・・・」
顔・・土気色なんだけど、医務室に運んだ方がいいかな・・。そう思っていると、訓練場からウルクさんが、のしのし歩いて来て、私とミリヤ君を見ると、
「お、ここまでよく歩いてきたな〜。今日、クリスさん張り切ってたしなぁ〜。ほら、一緒に飯食いに行こうぜ」
さっとミリヤ君に肩を貸してあげるウルクさん・・!成長したね!!
思わず感動して見ていると、先輩騎士さんが「オメーが、編成崩すからだろ!」って鉄拳を喰らいつつ突っ込まれてた・・。頑張れ・・。
訓練場を見ると、キラさんがこちらへ歩いてくる。
鬼のクリスさんと、天使のノーツさんの姿は見えなかったけど、もうお昼に行ったのかな?
「お疲れ様です。今日はハードだったんですか?」
「クリスが張り切ってたな」
キラさんが、分かるくらい張り切ってたのか・・、それは相当だな。
一緒に木陰に行ってお昼を食べると、クリスさんとノーツさんが相談している。もうお昼終わったのか?仕事張り切ってるのかなぁ。二人を見つつ、今日のサンドイッチを食べる。
「明日、お祝い会・・楽しみですね〜食堂で美味しいご馳走いっぱい作ってくれるって言ってました!!」
「・・そうか」
ニコニコ笑う私に、静かに微笑み返すキラさん。
「キラさんも、今度はいよいよ書類仕事ですね・・」
「・・・・ああ」
すっと目が遠くなった・・。
やっぱりキラさんも書類仕事は嫌なのかな・・。
「こうして、ここでナルと食べる機会が減る・・」
「ブレない!!本当にキラさんブレない!!いや、言ってくれれば一緒に外で食べますよ・・」
キラさんは、私をじっと見つめると困ったように笑う。
「・・・ナルが、ここへ来てくれる瞬間が好きなんだ」
ああ・・そういう・・。
そういえば、歩いて行くとキラさんはすごく嬉しそうに見つめてたな。そんな風に思い出していたら・・、
「付き合う前にも、ナルがここへ来てくれるのを楽しみにしてた」
「・・・・・・ちょ・・、ずるい・・」
キラさんに見つめられて、思わずキュンと来た〜〜〜!!
そ、そんな事思ってたの?!確かに、じっと見つめてたなって思ってたけど・・。くそ、まだいきなりの甘い攻撃には、太刀打ちできる気がしない・・。
キラさんが、私を見つめてくるけど・・先手必勝。
「・・き、キスはダメですからね!!クリスさんとノーツさんがすぐ見える所にいますからね!」
そう言うと、ちょっと面白そうに笑って私の頭をそっと撫でる。ボソッと「後で」って言うけど、いつでしょうね〜・・、いや〜、私にはよく分からないなぁ!赤い顔を誤魔化すように、訓練場を見つめたのだった・・。
そうして、あっという間にお祝い会当日を迎えた。
今日は、午前中で仕事を終えて準備に走る!騎士さんは、こんな時でも交代でお仕事らしい・・。大変だな。差し入れをいつもより豪勢にしておく。
団長さんが、食堂に運ばれた酒樽をウキウキしながら見つめていた・・。
「団長さん!今日はルーナさんも参加ですからね!飲みすぎちゃダメですよ!」
「はいはい」
怪しい・・。
絶対ルーナさんを横にくっ付けておこう。なんかやらかした騎士さんには、キラさんを送ろう。
今日は夜まで参加オッケーを貰ったライ君。
私の背をとうとう抜いてしまったけど、ちょっと大人の世界に入れて嬉しいのかニコニコしていて可愛い。一緒に手伝ってくれるから、本当に助かるよ〜〜!
「ナルさん!ミラファさんと、リルケさんいらっしゃいました!」
「オッケー!じゃあ、迎えに言ってくるから、よろしくね!」
そういって、詰所前まで二人をウキウキした気分で迎えに行くのだった。
よーーし!!目一杯お祝いするぞ〜〜!!!