表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙して語らない騎士に花束を。  作者: のん
黙して語らない騎士と異世界人の日常編。
184/566

黙して語らない騎士、潜入捜査だよ!


ひとまず、キラさんはお弁当を食べに行ったので、キラさんの代わりに宝石を磨く。


うーん・・怪しさ満載なんだけど、表立っておかしい所はないな。

ふと、カーンさんがいないな・・って思って、コリンさんに聞いてみた。



「・・ああ、時々商談に行くって言って出かけるのよ」

「そうなんですか・・、仕入れとかもあるでしょうしね・・」



コリンさんは、「そうよね〜」と言いつつ、帳簿をつけているようだ。

宝石を拭く布を取りに行くふりをして、コリンさんに近付く。


「コリンさん、帳簿までつけてるんですか?」

「あ、見えちゃった・・?そうなのよ・・、こんなの私がやっていいのかしら・・て思うんだけどね」

「え〜〜、お給与弾んでもらわないとですね」

「ふふ、そうよね」


「宝石店って、やっぱり儲かってるんですか?さっきもお客さん来たけど、結局買わずに帰っちゃったし・・」


そう・・、さっき男性が入って来たけど、ちょっと話をして帰ってしまったのだ・・。デザインの話はしてたみたいだけど。


「そうね〜、トントンって感じかしら?まぁ、売れる時は売れてる感じね」


コリンさんは、帳簿をパラパラとめくってそう答えた。

・・・そうか・・、トントンなのか・・。

帳簿付けを任せちゃうくらいだし、店の運営に薄暗さはなさそうだな・・。


そんな事を話していると、キラさんが小部屋から出てきた。

コリンさんは、キラさんと私をみて、


「二人は一緒に来たけど、お友達なの?」

「あ、はい。私がこっちに来てから、キラさんにお世話になってて・・、仕事がちょうどお互いなくて・・、ツテを頼って紹介状を書いてもらったんです」


・・・と、いうことにしてまーす。

横でキラさんが静かに頷く。


「一緒に仕事までしようなんて・・仲がいいのね」

「あ、はい・・」


コリンさんに言われて、キラさんを見ると柔らかく笑ってくれるので・・、ちょっと照れる。

そんな風におしゃべりしてると、カーンさんが店へ戻ってきた。


カーンさんは私達を見ると、


「お疲れ様です。二人とも初めてのお仕事なのに落ち着いていて、素晴らしいですね・・。前職は事務員だったと紹介状に書いてありましたが、どんな事務仕事を?」


「えーと、雑貨店の事務員です。ただ、そこの店主さんが引退して閉めちゃって・・」


急に話を振られて、慌てて設定を作った。

うう、突っ込まないでくれよ・・・。


「・・・そうですか、雑貨店、店頭での販売も手伝っていたのですか?」

「いえ、そこまでは・・何ででしょう・・?」


カーンさんはキラさんをちらっと見る。


「・・・佇まいが、綺麗だから・・ですかね」

「ああ、キラさん・・綺麗ですよね〜!私も見習いたい所です!」


キラさんから、視線を外したくてカーンさんに思いっきり笑いかけてみると、カーンさんは私を見て静かに笑う。


「・・ナルさんは、そういう人が好む笑顔がいいですね」

「そうですか?それは良かったです!!」


隣に立っているキラさんから、警戒レベルが上がる圧を感じる。大丈夫・・、大丈夫だから・・。


そうして、就業時間まで仕事は何事もなく終わる。

キラさんと制服を順番に着替えて部屋を出ると、カーンさんがやってきて、私を呼び止める。


「ナルさん、明日ここへ宝石を持って行って欲しいんですけど、出勤したらお願いできますか?」


小さな地図が描かれた紙を見せてくれて、場所を把握する。

もちろんキラさんも後ろから見ている。


「・・あまり高価な物だと緊張しますけど・・」


そろっとカーンさんを見ると、小さく笑う。


「これは、あくまでイミテーションです。お客様にこの形でいいかを確認したいので・・、安心して下さい」

「あ、それなら良かったです〜!」


にっこり笑って、宝石店を後にするとキラさんがものすごい早さで手を繋いでくる。・・・えーと、女子同士だけど・・。まぁいっか・・、キラさんを見上げると、ちょっと思いつめた顔をしている。


「キラさん、明日・・」


小さく頷いて「団長に伝えておく」と言うので、ホッとすると、キラさんが手をギュッと握る。



「・・・・ナルといるのに、話せない。寂しい」

「・・キラさん、家まであと少しですよー・・、我慢して下さいねー」



うちの旦那さんは、本当に私が好きすぎるな。ちょっと照れ臭いけど、遠い目で答えた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ