黙して語らない騎士、変幻してお仕事。
キラさんが、物凄い美女に変幻した!!!
皆の視線が一気に集まって、キラさんは不思議そうに見ている・・。
ニルギさんは、満足そうにキラさんを上から下まで見て、
「うちの息子は、女性になっても綺麗だな!」
と、いうから・・結構な親バカだと思う。
背が低くなって、私と目線が近くなったけど・・隊服がダブっとしているので、サイズの合う服をフランさんが倉庫から早速持ってきてくれた。仕事が早い!!
「ウルキラさん、とりあえずこれに着替えて下さい」
「ああ」
フランさんから、ワンピースを受け取って・・、目の前で脱ごうとするから、私が慌てて止めた。
「ま、待って!!キラさん!!今、女性!!女性ですから!!!」
ニルギさんがゲラゲラ笑うし、団長さんとラフさんは、回れ右するし・・ライ君は真っ赤になっちゃうし・・。ああ、いきなりやらかしている・・。第二ボタンまで外したキラさんの胸元を急いで私はとめた。
・・・胸が私よりある事に、ちょっと傷ついたのは内緒だ。
急いで、他の空き部屋に連れていって、着替えてもらった・・。良かった・・一緒に行く判断は間違っていないと思った・・・。
空き部屋から出てきたキラさんは、紺色のロングワンピースを綺麗に着こなして出てきた・・。女性になっても綺麗って、いいなぁ。思わず見とれちゃったよ。
「キラさん・・、女性になっても綺麗ですね」
「・・・ナルの方が綺麗だ」
「うーん・・・・、私よりも美女に言われると複雑・・だけど、はい・・ありがとうございます」
大変複雑な顔をしつつ、執務室へ戻ると皆、おお・・と声が出た。
わかるわ〜・・こんな美女なかなか見ないもんね。
団長さんから、宝石店への紹介状を貰うと早速向かう事になる。
綺麗な大理石の室内へ足を踏み入れると、店長さんだろうか・・灰色の髪を後ろに撫で付けた品の良いおじさんがやってきた。私達をさり気なく上から下まで見てる・・。
「いらっしゃいませ、何をご所望でしょうか?」
「あ、すみません・・お買い物でなくて、こちらでお仕事を募集していると聞きまして・・、これ、紹介状です」
私が紹介状を渡すと、品の良いおじさんはその紹介状を読んで・・
もう一度私達を見る。
「・・そうですか、これは助かります・・。店長のカーンと申します。どうぞよろしくお願いいたしますね」
「え?働かせて頂けるんですか?」
思わず驚いて聞いてしまった・・・。
カーンさんと名乗った店長さんは、綺麗に笑って・・、
「はい、店員が少なくて困っていましたからね、コリンさん、こちらへ」
後ろのショーケースのそばにいた女性が呼ばれてこちらへ来る。
「こちらの二人に制服をお渡しして、着替えてもらって。仕事は、コリンに聞いて・・まず今日は慣れていきましょう」
「あ、ありがとうございます!」
私がペコっとお辞儀すると、キラさんも静かにお辞儀した。
コリンさんは、私達に制服なのだろう・・黒いシンプルなワンピースを渡してくれて早速部屋で着替えようとする。
私が自分のワンピースのボタンを外していくと、キラさんが固まっているのに気が付く。
「・・?キラさん・・?」
「・・・今は、女性だけど、その・・」
あ、そうだった!!
ついキラさんが女性だったから、忘れていた・・。
中身は男性でしたね。顔がちょっと赤くなる。・・・・うん、普段も着替えは見てないもんね。
「う、後ろ、向いてて下さい・・」
キラさんは、慌てて後ろを見る。・・・いや、まぁ、すでにお互いの体は見てるけど・・、こういう時はちょっと・・ね。急いで着替えて、キラさんにも着替えるよう話すと目元が赤い。・・・もう夫婦なんですけど、慣れないものですねお互い。
私を後ろを向いて、キラさんが着替える。
「ナル」
「あ、もう着替えた?」
着替えが終わったキラさんが、そっと私の手を握る。
「・・危険な事はしないように」
「・・・・はーい・・・・」
ちょっと目が逸れたのは、あれだ・・、キラさんが美女すぎるからだ。そういう事にしておこう。