黙して語らない騎士、変幻?!
どうも失踪事件が、このシーヤの街で多発してるらしい・・。
女性が特に多いらしく・・しかも、私達が住んでいる側で、失踪していると聞けば、キラさんの私への警戒レベルが爆上がりだ。・・・執務室では団長さんと、ラフさん、キラさんがソファーで相談していたので、お茶を出しておいた。
「どうも、最近できた店が怪しいらしい」
団長さんがラフさんをちらっと見ると、
「見に行ってみたが、特段・・怪しい感じは見受けられなかったが・・」
最近できた店・・と言えば、リルケさんが言ってた・・宝石店の事かな?書類を整理しつつ、思い出してみた。なんか王都のデザイナーが来るとか言ってたような・・。
「・・噂では、王都の方からデザイナーが来ると言う話だったが・・、どうも違うらしい。勤めている女性に話を聞いてみたら、宝石は確かに売っているが、デザイナーの姿は一度も見た事がないと証言があった」
おっとー・・、怖い展開が来た?
そういえば、もっと繁盛するのかな〜と思ってたけど最初だけであとは、ちらほらって感じだったな・・・。あら、怪しさ満載ですな。
「ただ、あの店・・女性しか募集してないんだよね」
団長さんがちらっと私を見た。
・・それは、潜入捜査をしろと?隣にいるキラさんの険しい視線にご注目下さい・・団長さん。
「・・・私ですか?」
仕方なく、団長さんに声をかけると・・、パッと顔を明るくする。
「え〜〜、分かっちゃった〜〜?」
「白々しい・・。まぁ、キラさんが守護魔法かけてくれてるし、大丈夫だと思いますけど・・」
キラさんは、静かに首を横に振っている・・分かってますよ・・、絶対嫌なの。
団長さんは、キラさんを見て、
「でも、他に女性騎士もいないし・・適任者っていえば、ナルさんでしょ?」
「ダメだ」
「ウルキラ〜〜〜〜!!」
「キラさん、女性になれればねぇ・・」
私が、何気なく言った言葉に団長さんが固まる。え、なに?なんかすごい事言った??
「それだ!!!ニルギ、変幻の魔術・・使えたよな!?」
「え??そうなんですか!!?」
私がびっくりして、団長さんを見る。
ニルギさん、万能すぎじゃない?そう思った時、お菓子の袋を持ちながら、執務室へニルギさんがやって来た。
「ナルいるか?新作のお菓子、王都から買ってきたんだ、が・・・・?」
一斉に、ニルギさんを皆で見るので、流石のニルギさんも足を止めて周囲を見る。
団長さんは、ニルギさんにツカツカと歩み寄って、
「ニルギ、仕事だ!!早速頼む!!」
めちゃくちゃいい笑顔で、ニルギさんの両肩に手を置いた。
ニルギさんは、ロクでもない事だと察したのだろう・・、甘いお菓子を持っているのに、苦い顔になった・・。
事の経緯を説明して、ニルギさんはキラさんを見る。
「変幻の術を、ウルキラに??」
キラさんは、静かに頷いて・・
「ナルを危険な目に合わせるよりは、自分が行った方がいい」
「ええ・・でも、キラさん・・私もそれなら一緒に行きますよ。二人ならカバーしあえるし・・」
「ああ、それもいいね〜」
団長さんの気楽な声に、思わず睨む。
キラさんは、首を横に振るけれど・・私はキラさんを見上げる。
「女性だから分かる事もあると思うし・・、お手伝いさせて下さい。危ない事はしないって約束しますから・・」
ニルギさんは、面白そうに私たちを見る。
「そうだぞ、ウルキラ・・。他の騎士を女性に変幻はできるが、女性の仕草はすぐに出来るようなもんじゃない・・。ましてやここの騎士達は武骨者が多いしな・・」
キラさんは、ニルギさんに言われて・・ようやく諦めたのか、小さくため息をついた。よし!オッケーとみた!ニルギさんを見ると、ニヤっと笑って団長さんを見る。
「じゃあ、潜入はいつからだ?」
「すぐだ。失踪した女性達の身柄を確保したい」
「ふむ・・、潜入できるのか?」
「・・・紹介状を用意したので、大丈夫だろう」
団長さんの仕事・・、本当に早いなぁ〜〜・・、つまり私が行くのは、ほぼ決定・・という事だったのか。ニルギさんは、キラさんを見ると、キラさんはゆっくり立ち上がって、ニルギさんに近付く。
「では、魔法をかけるかな・・」
ニルギさんは、キラさんの頭の上へ手を向けると淡い光が出て、光がキラさんの体全体を包む。眩しくて目を細めて見ていると、あっという間にキラさんの体が変化して・・
絶世の美女がそこに立っていたのだった・・・。
ええええ、キラさん!!???