黙して語らない騎士、仕事かも?
シーヤ騎士団では、前回の戦いで大きな成果を収めた事で、皆昇進をそれなりにしたらしい。
キラさんは、団長補佐になったそうだ。
・・団長さんに言われて知ったけど、すっごく嫌だったのか・・私は知らなかった。キラさん・・、めっちゃ大事な事だから!!今後はラフさんと一緒に、騎士団で団長さん不在の折には(仮)団長となって働くらしい。
キラさんは、副団長として新人騎士を育成して、なおかつ次の副団長を決めて仕事を引き継いでいくらしい。その選定もあるとかで・・大変だな。
団長さんは、王都の騎士団との関係を強固にする役目を仰せつかったらしく・・王都騎士団の副団長も兼務する事になったそうで、白目を剥いている。
今、現在も剥いている。仕事して。
ラフさんは、変わらず団長補佐だけど、仕事量が増したらしい・・。
「・・ルーン、あいつ仕事押し付けすぎだろう・・」
と、ぼやいていた・・。頑張れ!後少しで結婚だ!!
ニルギさんも勲章を貰ったそうだけど、「いらない」と蹴ったらしい。え?そんな事、できるの???ただ、魔術の術式開発には協力するらしい。
フランさんと、ライ君と執務室でお仕事しつつ、色々と環境が変わった事を話すと、
「そうですね〜、まぁ、でもやる事は変わりないですよ〜」
「そうですね・・、目の前の書類はなくならない・・。おかしいなぁ、私・・掃除係に戻れるって信じてたのに」
「え〜〜、ナルさんがいないと寂しいです!!」
「ライ君〜〜〜!!」
うう、この二人のほんわかした所・・好きだ!
フランさんは、書類の角を揃えるようにトントンと、机で直しつつ・・
「そういえば、王都からお祝いでお酒が送られてきたんです。ミラファさんは、王族出身なので、結婚式は王都でするそうですけど、騎士団内でもお祝いする事が決定して、今度送られてきたお酒を皆に振る舞うらしいですよ」
「え??そうだったんですか!?てっきり、こっちで結婚式するって思ってた・・。そうだ〜〜、王族出身だった」
「・・・物腰の柔らかい方だから、忘れちゃいますね」
ニコニコとライ君に言われたけど、最初は違ったの・・。
メンチ切った仲なのよ、実は・・とは言えない。
「そっか〜、結婚式派手にお祝いしたかったけど・・、じゃあ、こっちで戻ったら騎士団でお祝いしよっかな」
「そうですね〜、食堂の皆さんも張り切ってましたよ」
なんだか久々の楽しいイベントに胸がワクワクしてきた。
よーし!!食堂の皆とも、相談しよっかな。
そんな事を話していた、矢先・・。
「ここの所、失踪事件が多発している・・」
と、団長さんとラフさんが執務室で話していたのを、ちょうど書類を持って部屋へ入った時に聞こえてしまった・・。あ、これ・・聞かない方がいいかな?そっと部屋を出ようとしたら、団長さんが手招きしてくれたので、入っておいた。
書類を机に置いて、整理していると・・、団長さんとラフさんでヒソヒソ話し合っていた。・・大変だな。
と、団長さんと目が合って、
「ごめん、ナルさん・・ウルキラ呼んできてくれる?」
「はい!行ってきます」
・・どうやら事態は、深刻なようだ。
さっと走って、訓練場へ行くと・・新人騎士さんや、騎士さん達の訓練をしているキラさんが見えた。
「キラさーーーーん!!団長さんが呼んでます!!」
そういうと、キラさんはこちらを向いて、手を振る。
よしよし、聞こえたようだ。
後ろで新人の騎士さん達がホッとした顔をしてる・・。今日もハードな訓練だったんだろうなぁ。そんな事をまったく感じないキラさんは、こちらへ駆け寄ってニコニコしているのであった。
・・・・うん、大変な事態らしいけど、平和だ。