黙して語らない騎士、王都から帰る。
朝起きると、色々と分かったらしく・・周囲がバタバタしていた・・・らしい。
キラさんの手短な説明の解読誰かよろしく。
キラさんに起こされて目をゴシゴシ擦っていると、当然の流れのように頬にキスしてくる。
「キラさん・・今日も甘い」
思わずキラさんに言うと、嬉しそうに笑う。
「ナルだけだ」
「・・・知ってます」
朝から、照れくさくなるような事・・言わないで欲しい。結婚しても、こんな格好いいとかどうなんだろ・・ちょっと恥ずかしいの・・いい加減慣れたいのに。
ひとまず着替えて、朝食を取るとニルギさんがやってきた。
「ウルキラから、一応話は聞いたか?」
「あ、はい・・めちゃくちゃ手短に?」
ニルギさんは、ちょっと苦笑しつつキラさんを見ると、近くのソファーに座るので私達も座った。
「第一王子の一派の残党が、まだ少しいるんだ」
「・・・この城にですか?」
「・・蜘蛛の子を全部潰すのは、なかなか骨が折れるんだ」
さらっと怖い事、言ったなぁ・・。
「ま、昨日は揺さぶりをかける気持ちだったんだろうが、問題は騎士や給仕・・・内通者がいた事だな」
「王都の騎士団に・・って事ですか?」
「もっと身近な近衛隊だ」
近衛兵・・って、前の団長さんがいった・・っていう部署?
「・・まずいんじゃあ・・」
「まぁ、それについては王都の騎士団が手を打った。・・ただ、今回から、もしかしたら信用がおける騎士をルーン様の側に置くかもしれない」
ちらっとキラさんを見る。
「・・ウルキラ、王命だけは断れないからな」
「・・・・分かっている」
ドキンと胸が鳴って、キラさんを見る。
こっちで仕事する・・って事?
「まぁ、まだ現時点では確定ではないけどな。王都の騎士団から選出される可能性の方が大きい。なにせシーヤも大事な拠点だ。守りが固くなくては困る」
「そんな中・・、今日、帰っちゃっていいんでしょうか?」
「あ、それは大丈夫。ルピス殿にも転移の術は教えて来たし。何かあればすぐ来てくれるから」
・・・そんな簡単に良いのか?
ニルギさんは、ニンマリ笑う。
「しかし、昨日のナルはなかなか勇ましかったな。やはり隊服を着ていた方が良かったかもな」
「・・・そうですね。でも、キラさんの魔法がかかってないと」
ちらっとキラさんを見ると、静かに頷く。
「見習い騎士なんで・・ああいう時は、大人しくドレス着てます」
そういうと、ニルギさんは、ハハっと笑った。
うん、守られてるお姫様も結構楽しいなって思ったのは内緒だ。
そうして予定通り帰るために、魔術師さん達のいる部屋へ向かうと、オルク団長さんとルピスさんが部屋にいた!
「オルク団長さん!わざわざ来て頂いて・・ありがとうございます。二日間・・お世話になりました!」
「なんとも楽しい二日間でした。王都へいらしたら、今度は騎士団にも顔を出してください、お待ちしてますよ」
「はい!ありがとうございます!」
うん、良い人だなぁ・・。団長さんより良い人だ!!
キラさんを見ると、何も言ってないのに頷いた。同意してくれた。
ルピスさんの所へも行くと、少し照れ臭そうに私と、キラさんを見る。
「・・・気をつけて」
「はい!ルピスさんも気を付けて下さいね。あ、ルーンさんにもよろしくお伝えください」
「・・ありがとう」
ルピスさんが、静かに笑う。私とキラさんを見て、
「・・・また会いたい家族が増えるのはいいものだな・・」
ボソッと言うから、最初うまく飲み込めなくて・・でもじわじわと、そんな風に言ってもらえて、なんだか嬉しくて・・ちょっとくすぐったい気分になる。キラさんも私を見て、ちょっと嬉しそうだ。
「さ、そろそろ帰るぞ〜!」
なんだかちょっとそこまで!みたいな口調でニルギさんに言われつつ、荷物を持ってニルギさんの側へ行くと、みんなが手を振ってくれて・・、手を振ると・・足元から魔法陣が浮かび上がる。
キラさんは、私の手をぎゅっと握ってくれて安心すると、淡い光と共に私達は、あっという間にシーヤの・・自分の家に帰ってきたのだった・・。
たっだいまー!!!部屋の中へ思いっきり言いたい気分だった。